群馬県みどり市に位置するわたらせ渓谷鐵道の神戸駅は風情ある古い駅舎が残り、映画やCMのロケなども行われて鉄道ファンにはよく知られた駅だ。九月の半ば、わたらせ渓谷鐵道神戸駅を訪ねた。
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
すぐ近くまで山々が迫っている。周囲を見渡してみても鬱蒼と木々の茂る山肌が見えるばかりだ。そのようなところに、わたらせ渓谷鐵道の神戸駅がある。「神戸」と書いて「ごうど」と読む。かつてJR足尾線だった時代には兵庫県神戸市の「神戸」との混同を避けるため「神土」と書いていたらしいが、第三セクターのわたらせ渓谷鐵道に移行した際に本来の「神戸」へ戻されたものという。駅舎入口の上部に掲げられた駅名の「戸」が、いかにも訂正されたように書かれているのはそのためだ。
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
神戸駅の駅舎は古い木造駅舎だ。大正時代に建てられたもののようで、昭和初期と昭和30年代に改築されているらしい。緑の中に包まれるようにして建つ小さな木造駅舎は郷愁を誘うような興趣に満ちている。鉄道ファンにはよく知られた駅だが、駅舎と駅そのものの歴史的価値も認められており、「わたらせ渓谷鐵道神戸駅本屋及び下り線プラットホーム」、「わたらせ渓谷鐵道神戸駅上り線プラットホーム」、「わたらせ渓谷鐵道神戸駅休憩所」、「わたらせ渓谷鐵道神戸駅危険品庫」がそれぞれ国の登録有形文化財に指定されている。

神戸駅の特徴のひとつに、「列車のレストラン 清流」というものがある。神戸駅構内、駅に3線あるうちの、今は使われていない最も南側の線路に、かつて東武鉄道日光線を走っていたデラックスロマンスカーの車両を置き、レストランとして使用しているのだ。その話題性もあってか、神戸駅を訪れる人は少なくないらしい。そもそも神戸駅は北東側に位置する草木湖や富弘美術館への鉄路の玄関口として機能していることもあって、利用者は比較的多いのだという。駅前の広場はなかなか広く、観光バスがやってくることもあるらしい。神戸駅そのものを訪ねたり、神戸駅をわたらせ渓谷鐵道の乗車下車の拠点として利用したり、さまざまな観光ルートがあるのだろう。
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
わたらせ渓谷鐵道神戸駅
今回は神戸駅へ車で訪ねた。駅前の広場の片隅では路線バスが発車時刻を待っていた。やがて桐生行きの列車が到着したが、乗り込む人も降りる人もほとんどなかった。「列車のレストラン 清流」ではお弁当の販売も行っているようだ。到着した列車の乗客へ向けて係の人が昔ながらに駅弁の立ち売りを行う姿があった。

訪れたのは九月の半ば、ときおり雨の降る曇り空の日だった。早春の神戸駅では梅の花が美しいらしいが、九月の半ばでは周囲はすべて緑に覆われている。その緑も、駅舎もプラットホームも、すべてしっとりと雨に濡れている。山々は雲なのか靄なのか、白く霞んでいた。雨の神戸駅、なかなか良い風情である。
参考情報
交通
わたらせ渓谷鐵道の詳細については公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

車で神戸駅に来訪する場合、大間々方面から国道122号を北上、あるいは日光方面から国道122号を南下すれば良いが、神戸駅は国道122号沿いには位置していないため、「神戸」交差点から県道268号へと逸れなくてはならない。駅前は充分にスペースがあり、短時間の駐車なら充分に可能だ。

飲食
神戸駅へ訪れたなら、レストラン「清流」で食事を楽しむのがお勧めだ。駅前に店舗などはなく、駅周辺にも飲食店はない。車で訪れたなら国道122号沿いに飲食店を見つけることも可能だが、数は少ない。

周辺
神戸駅は草木湖や湖畔に建つ富弘美術館への最寄り駅だが、駅から徒歩で訪れるには無理がある(1時間ほどかかるらしい)。路線バスが運行しているので利用するとよい。

車で訪れたなら国道122号沿いに気ままに観光を楽しむといい。少し北へ行けば草木湖、富弘美術館、さらに行けば足尾、足尾銅山跡を見学するのもいい。南へ下れば花輪、旧花輪小学校記念館も見ておきたい。旧花輪小学校記念館の内部にはかつての教室を利用して鐵道資料展示室が設けられ、足尾線時代の神土駅の待合室が再現されている他、昔の時刻表や駅名標などが展示されている。鉄道ファンなら必見だ。わたらせ渓谷鐵道の大間々駅や上神梅駅、足尾駅など、風情ある駅舎を訪ねてみるのもお勧めだ。
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