石川県羽咋市から宝達志水町にかけての海岸に、車で走ることのできる砂浜がある。「千里浜なぎさドライブウェイ」の名で呼ばれ、観光名所にもなっている。晴天に恵まれた九月の初旬、千里浜なぎさドライブウェイを訪ねた。
千里浜なぎさドライブウェイ
能登半島の“付け根”の辺りの西側、石川県羽咋市から宝達志水町にかけての海岸に車で走ることのできる砂浜がある。「千里浜なぎさドライブウェイ」という。浜辺の砂がたいへんにきめ細かく、水を含むことで固く締まり、四輪駆動ではない一般の車でも走行が可能ということらしい。もちろんバイクや自転車も走行可能、大型バスも走行可能(大型貨物車は通行禁止らしい)で、ここを経由する定期観光バスもあるようだ。一般車で走行が可能な砂浜というのは日本では唯一ここだけ、世界でも類例は少なく、他にはアメリカのデイトナビーチとニュージーランドのワイタレレビーチがあるだけだという。
千里浜なぎさドライブウェイ
千里浜なぎさドライブウェイ
「千里浜なぎさドライブウェイ」は石川県羽咋市と宝達志水町に跨って全長8kmほどの距離がある。車で走る距離としては決して長くはないが、“砂浜を走る”という経験をするには充分に楽しめる距離だ。道路交通法が適用されるということなので公道扱いなのだろうと思うが、基本的に砂浜なので走行車線を示すラインなどはない。初めて訪れたときにはどこを走ればよいのか少し戸惑うが、走行した車による轍を目安にするとわかりやすい。基本的に固く締まったところ(すなわち走行可能なところ)は水を含んで少し黒っぽい色をしている。内陸部側の白っぽい色のところは乾いた砂で、その部分へ入り込むとスタックして脱出困難になる(今回訪れたときにもそうした車を見かけた)ので特に停車するときには注意が必要だ。もちろんあまりに海側に寄ってしまうのも危険だ。
千里浜なぎさドライブウェイ
千里浜なぎさドライブウェイ
オフロード車などの“特別な”車ではない、普通の乗用車、しかも自分が普段乗っている車(もちろんレンタカーなどでもかまわないが)で砂浜を走るというのは希有な体験と言っていい。何しろすぐ横に海を見ながら波打ち際を8kmに渡って走行できるのだ。海沿いのドライヴというものは気持ちの良いものだが、ここでは何と言っても“砂浜を走る”わけで、“海沿いの道路”を走るときとはまったく違った爽快感が味わえる。砂浜のところどころには小さな川が流れているところもあり、「川あり 段差注意」の警告標識が設けられている。普通の道路では決して見ることのできない標識で、これもなかなか楽しい。

実際に走ってみると、砂浜の上はとてもフラットな走行感だ。荒れた舗装路などよりずっとフラットで、しかも柔軟な路面を走っているという独特の感覚がある。このような走行感は他では味わうことができない。急加速や急減速などはもちろん行うべきではないが、普通に走行すれば不安感などもまったく感じることはない。
千里浜なぎさドライブウェイ
千里浜なぎさドライブウェイ
8kmという距離は一気に走り抜けてしまえばあっという間だ(時速40kmで走れば12分、30kmなら16分という計算になる)。あまり先を急がず、ときどき脇に寄って車を停め、ひととき車から降りて潮風に吹かれながら海を眺めたり、行き交う車を見送ったりしながら、のんびりと「千里浜なぎさドライブウェイ」を楽しむのがお勧めだろう。ところどころに焼貝の店なども建っており、そうしたところへ立ち寄ってみるのも悪くない。車の運転の好きな人、ドライヴの好きな人なら一度は自分の運転で走ってみたいところだろう。もちろん自分で運転しなくても充分に楽しめる。他に例のない、素晴らしいドライヴコースだ。
参考情報
千里浜なぎさドライブウェイは通行料金などは必要ない。波が高い日などには通行が制限されるようだが、その日の状況次第ということで、訪れるときにはその点を了解しておきたい。

また「千里浜なぎさドライブウェイ」のある砂浜は潮干狩りや海水浴もできるそうで、それらのシーズンには行楽客の車で混雑するようだ。純粋に砂浜のドライヴを楽しむのであれば、それらのシーズンを外して訪れるのがお勧めだろう。2010年9月に訪れたとき、夏の喧噪が退いた浜辺で爽快なドライヴを楽しむことができた。

交通
「千里浜なぎさドライブウェイ」へは海岸に沿って延びる「のと里山海道(旧能登有料道路)」を利用するのがわかりやすい。千里浜ICで降りれば「千里浜なぎさドライブウェイ」の北端近く、今浜ICで降りれば南端付近だ。「のと里山海道(旧能登有料道路)」より内陸部を通る国道249号からもアクセスが可能だ。国道249号から訪れる場合も「のと里山海道(旧能登有料道路)」のそれぞれのICを目指すとわかりやすい。

「千里浜なぎさドライブウェイ」を経由する定期観光バスもあるようだから、車以外の手段で観光に訪れた人でも楽しむことが可能だ。

飲食
「千里浜なぎさドライブウェイ」の北端近くには「千里浜レストハウス」という施設があり、休憩や食事が可能だ。ド「千里浜なぎさドライブウェイ」の途中には焼貝などを販売する店があり、立ち寄って楽しむのもいい。

「千里浜なぎさドライブウェイ」に他に飲食店は無いようだが、国道249号に移動すれば道沿いにさまざまな飲食店が点在している。羽咋市中心部へ向かえばさらに数が多い。

周辺
羽咋市には気多大社が鎮座している。社寺への参詣が好きな人なら一度は詣でてみたい神社だ。宇宙科学博物館の「コスモアイル羽咋」も興味のある人なら訪ねてみたいところだろう。

「のと里山海道(旧能登有料道路)」もドライヴコースとしてたいへんに魅力的だ。海岸に沿って延びる南側部分では海を見ながらの爽快なドライヴが楽しめる。
海景散歩
石川散歩