佳景探訪
平塚市総合公園
神奈川県平塚市の総合公園は競技場や体育館などを備え、子どもたちの遊び場の施設も充実した規模の大きな公園だ。四季折々にさまざまな花々を楽しむこともできる。陽光輝く五月中旬、平塚市総合公園を訪ねた。



平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園

平塚市総合公園
神奈川県平塚市のほぼ中心、JR東海道線平塚駅から北に2kmほど離れたところに平塚市の総合公園が設けられている。30ha超という広大な敷地を有した規模の大きな公園だ。「総合」の名が意味するように、広い園内には競技場や野球場、体育館、テニスコートなどの運動施設を備え、さらに日本庭園や広場、各種の遊具や水遊び場などの子どもたちのための施設、さらには規模は小さいながらも動物園まで設けられている。園内には約230種、10万本の木々が植えられているとのことで、梅や桜、バラ、紫陽花など、四季折々の花々を楽しむこともでき、たいへんに充実した公園だと言っていい。

この場所には、もともとは農林省果樹試験場があった。農林省果樹試験場は1902年(明治35年)に農商務省農事試験場園芸部として発足、当時は静岡県庵原郡興津町(現在の静岡県静岡市清水区興津中町)にあった。1921年(大正10年)に農林省園芸試験場として独立した後、1947年(昭和22年)に神奈川県中郡大野町(現在の平塚市)へ移転した。1973年(昭和48年)には園芸試験場から蔬菜(そさい)・花卉(かき)部門が分離され、果樹試験場が発足した。その4年後の1977年(昭和52年)、果樹試験場の本場が茨城県筑波郡谷田部町(現在のつくば市)筑波研究学園都市へ移転、その跡地に平塚市の総合公園が設けられたというわけだ。

平塚市総合公園は市制施行50周年を記念して(平塚市の市制施行は1932年(昭和7年))1982年(昭和57年)に着工、完成したのは1991年(平成3年)のことという。着工から完成まで10年の歳月を要したわけだが、規模の大きさと充実ぶりを見ればそれも納得できるところだ。市民のスポーツやレクリエーションの場として、そしてまた憩いの場として親しまれている公園だが、防災備蓄倉庫や飲用貯水タンクを備えており、災害時には総合防災基地としての役割を担う公園でもある。

約30haという面積は充分に広い。競技場や野球場などを併設する公園ではそれらに敷地の多くをとられ、体感的にはあまり広さを感じないものだが、平塚総合公園は体感的にも広い。運動施設の周囲にも木々を多く植栽し、その配置が巧みに設計されているからだろう。公園は北側に競技場と野球場、西側に体育館とプール、テニスコートなどを配し、東南側の区画に原っぱや樹林地を置いた構成だが、それらの運動施設は緑濃い公園の中に巧みに取り込まれている印象で、運動施設の存在が憩いの場としての公園の雰囲気を邪魔していない。だから体感的にも広いのだ。

その広さを活かして、園内にはさまざまなレクリエーション施設が設けられている。大小さまざまな広場を配し、日本庭園や樹林地もあり、さらには「ふれあい動物園」や暑い季節には子どもたちの水遊び施設となる流れなど、家族連れに嬉しい施設も充実している。「桜の広場」や梅林、バラ園など、四季折々に花を楽しめる工夫も凝らされている。その充実ぶりは特筆ものだと言っていい。これが無料で利用できるのだから驚く。子ども連れの家族なら園内で一日を過ごしても飽きないだろう。

多くの木々に包まれた園内は散策を楽しむ場所としても魅力的だ。梅や桜の季節はもちろん、初夏の新緑も美しい。夏の深緑や秋の紅葉も素晴らしいに違いない。それぞれの季節に訪ねてみたくなる、素晴らしい公園である。
日本庭園
園内東側の中央部、管理事務所前に「日本庭園」が設けられている。1989年(平成元年)10月に開設されたものというから、公園全体の完成に先立って開設されたのだろう。8150平方メートルの敷地面積を有し、池と流れを中心に、園内を巡りながら景観を楽しむ、回遊式庭園として整備されている。

この日本庭園がなかなか本格的な造りである。こうした総合公園内に設けられた日本庭園では、往々にして“園内に日本庭園風に設えた一角を設けただけ”というものになりがちだが、平塚総合公園の日本庭園は周囲から完全に独立した区画を与えられ、修景にも充分に気を配り、見事な日本庭園として仕上げられている。

日本庭園内は東から西に向けて水の流れが造られ、それに応じて「山のゾーン」、「森のゾーン」、「水のゾーン」の三つのエリアに分けられている。もちろん明確に分けられているわけではなく、三者が一体となって庭園を形作っているのは言うまでもない。

日本庭園の最も東側の部分は小高い丘状に造られ、流れの源流部が設けられている。ここが「山のゾーン」だ。源流部から湧き出した水は山中の渓流を彷彿とさせる流れを辿り、やがて滝を経て庭園中心部の池に至る。園路を辿れば深い山中の小径を歩いているかのような錯覚を覚える。その北側に設けられているのが「森のゾーン」で、林地や竹林などが設けられ、里山の風景を思い起こさせるような風景を楽しむことができる。

中央部に設けられた池から西へ小川が延びる。「水のゾーン」だ。小川には風雅な意匠の橋が架けられ、見事な景観を見せる。池の岸辺には四阿が建てられており、ゆったりと庭園の景観を楽しみながら時を過ごすことができる。西へ流れる小川も自然のせせらぎのような表情を見せて情趣に富んでいる。小川を渡る石橋や飛び石なども設けられ、風情を味わいながらの散策が楽しめる。

決して広大な敷地を与えられているわけではないが、雅趣に溢れる見事な庭園である。平塚市総合公園を訪れたなら、ぜったいに立ち寄っておかなくてはならないところだと言っていい。
平塚市総合公園/日本庭園

平塚市総合公園/日本庭園

平塚市総合公園/日本庭園

平塚市総合公園/日本庭園

平塚市総合公園/日本庭園
平塚のはらっぱと野外ステージ
日本庭園の南西側には「平塚のはらっぱ」と名付けられた草はらの広場が設けられている。この広場は市民の憩いの場としての平塚総合公園を象徴するものだろう。週末や休日には大勢の家族連れが広場を利用し、穏やかな公園の光景を見せてくれる。「平塚のはらっぱ」の北側から西側にかけて、園路を挟んで「梅林」や「桜の広場」、「わんぱく広場」などが設けられ、それらと一体となって公園の中心部を成しているという印象だ。

「平塚のはらっぱ」の東側に「野外ステージ」が設けられている。さまざまなイベントの際にステージとして利用されるものだと思うが、なかなか特徴的な形状のステージで、その存在自体が風景のアクセントになっていると言っていい。

野外ステージの横手に、印象的なモニュメントが設置されている。このモニュメントは「ひらつか・グリーンタッチ'89 自然との対話」とのタイトルがあり、「かながわ都市緑化平塚フェア」の開催を記念して設置されたものという。金属製のモニュメントは風を受けて形状を変える構造のようだ。表面の光沢に日差しが跳ねて美しい表情を見せる。
平塚市総合公園/平塚のはらっぱ

平塚市総合公園/平塚のはらっぱ

平塚市総合公園/野外ステージ

平塚市総合公園/モニュメント
ふれあい動物園
「平塚のはらっぱ」の南側にはフェンスで囲まれた独立した区画が与えられて、「ふれあい動物園」が設置されている。園内には「展示コーナー」や「ふれあいコーナー」、「ポニー乗馬」などが設けられ、37種、約760等の動物を見学でき、触れ合いを楽しむことのできる小動物園だ。

子どもたちの人気を集めているのは、やはり「ふれあいコーナー」と「ポニー乗馬」だ。うさぎやモルモットなどの小動物との触れ合いのひとときや、ポニーの乗馬体験などは、動物好きの子どもたちにとってこの上なく楽しい時間だ。

園内には大きなケージが設置され、その中で小動物や鳥が飼育されており、自由に見学することができる。ひとつひとつ見てゆくのも楽しく、動物たちの可愛らしい仕草を見ていると飽きることがない。

子ども連れの家族なら必ず立ち寄るべきところだ。と言うより、「ふれあい動物園」を目当てに平塚市総合公園を訪れる家族も少なくないのだろう。魅力に溢れる施設だと言っていい。

「ふれあい動物園」は平塚市総合公園とは別に開園時間と開園日が設けられている。詳細は平塚市の公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
平塚市総合公園/ふれあい動物園

平塚市総合公園/ふれあい動物園

平塚市総合公園/ふれあい動物園

平塚市総合公園/ふれあい動物園
わんぱく広場
「平塚のはらっぱ」の西側、「ふれあい動物園」の北側には「わんぱく広場」と名付けられた広場が設けられている。その名から容易に推測できるが、子どもたちのための遊び場として各種の遊具を備えた広場だ。長いすべり台を組み合わせた大型の複合遊具が子どもたちの人気を集め、その前にはいわゆる“ツリークライミング”も設置され、子どもたちの歓声が響いている。その他にも工夫を凝らした小型の遊具も各種備えており、なかなか充実した施設だと言っていい。

東に「平塚のはらっぱ」、南に「ふれあい動物園」が隣接する配置も奏効し、また北側に隣接する「桜の広場」にも遊具類が備えられており、この一角だけで子ども連れの家族は素敵な休日を過ごすことができるだろう。
平塚市総合公園/わんぱく広場

平塚市総合公園/わんぱく広場
流れの広場
公園の北側に位置する競技場と野球場に挟まれる形で、子どもたちのための水遊び施設が設けられている。北端部に巨大な岩塊に見立てて造られた噴水を設置した池があり、そこから水の流れが南へ導かれている。流れは自然の渓流を模した造りだが、修景目的より安全な水遊びの場としての目的に重きが置かれて造られている印象だ。

流れは途中に小さな段差を設けたり、岩を配置して変化を付け、子どもたちを飽きさせない。流れの南端部は池となり、その一角には“岩山”を思わせる施設が設けられ、もちろんその“岩山”の上部からも水が湧出して子どもたちの冒険心をくすぐる造りだ。

流れは全長約110m、かなり規模の大きい水遊び施設だと言っていい。これほどの規模の水遊び施設はなかなか類例が少ない。素晴らしい施設だ。初夏から夏、暑い季節には子どもたちの人気を集め、水遊びを目的に公園を訪れる家族連れも少なくないだろう。充分に安全に配慮した造りだと思えるが、子どもたちを遊ばせるときには保護者は決して目を離してはいけないことは言うまでも無い。
平塚市総合公園/流れの広場

平塚市総合公園/流れの広場

平塚市総合公園/流れの広場
子供広場
「流れの広場」の北側には「子供広場」と名付けられた一角がある。広場には一般的な複合遊具や砂場などが設けられ、「わんぱく広場」よりさらに年齢の低い子どもたち向けの遊び場だ。それほど規模の大きな広場ではないが、北駐車場から近いこともあって、小さな子どものいる家族なら身近な遊び場として気軽に使うことができるだろう。何しろ広い公園だから、こうして各所に子どもたちの遊び場が用意されていることは利用者の立場では嬉しいことだ。
平塚市総合公園/子供広場

平塚市総合公園/子供広場
バラ園
平塚総合公園内には北側の野球場北西側と、南側の野外ステージ東側の二箇所にバラ園が設けられており、初夏には美しいバラの数々が園内の風景を彩る。北側のものは510平方メートル、南側のものは450平方メートルの規模で、合計で約800本のバラが植えられているという。

どちらも“バラ園”と言うより“バラ花壇”と呼ぶべき様相だが、花壇のデザインにも工夫が凝らされ、楽しいバラ観賞のひとときを過ごすことができる。園路と花壇との間に特に隔たりはなく、手を伸ばせば触れることのできる距離で(もちろん触れるべきではないが)観賞できるのも嬉しい。写真趣味の人ならバラの花の接写も簡単だ。

決して規模の大きなバラ園とは言い難いが、整備が行き届いて美しく、バラ観賞を目的に公園を訪れても後悔することはないだろう。バラ観賞を目的に来園したなら、北側と南側との二箇所とも見学しておこう。
平塚市総合公園/バラ園

平塚市総合公園/バラ園

平塚市総合公園/バラ園
園内の樹木
平塚総合公園には美しい並木道がある。「わんぱく広場」と「桜の広場」の間を体育館南側から延びる「さわらの並木」と、「西入口」から公園中央部への延びる「メタセコイア並木」だ。園路脇に整然と並ぶ樹木が見事な景観を見せる。

そもそも平塚総合公園内には約230種、10万本の木々があるとのことで、園内の随所で見事な樹木の姿を見つけることができる。球場北側では平塚市保存樹木のケヤキ(指定第六十三号)が堂々とした姿で枝を広げ、「平塚のはらっぱ」の東端部近くではこれも平塚市保存樹木のタイサンボク(指定第六十五号)が立っており、そのすぐ近くには景観重要樹木第2号のクスノキがこんもりと葉を茂らせている。

その他にも丁寧に園内を巡れば数々の見事な樹木を見つけることができる。樹木の好きな人ならそれらを丹念に見ておきたいものだろう。特に樹木に興味がなくても、さまざまな樹木が織り成す景観は楽しめるものに違いない。
平塚市総合公園/園内の樹木

平塚市総合公園/園内の樹木

平塚市総合公園/園内の樹木


平塚市総合公園

平塚市総合公園
「平塚市総合公園」は30haを超える面積を活かしてさまざまな施設が設けられ、その充実ぶりは驚異的と言っていい。子どものいる家族なら一日遊べるだろう。多くの木々を植栽して緑濃い園内は景観も美しく、散策に訪れても充分に楽しめる。梅や桜、バラ、紅葉など、季節毎の表情も美しいだろう。それらの見事の時期に何度も訪れたくなる公園だ。その公園が入園無料だ。驚くしかない。

あくまで平塚市民の憩いの場として設けられた公園だとは思うが、レジャースポットとしての魅力も大きく、遠方から訪れても期待以上に楽しめる。「平塚市総合公園」という、その名に相応しい、素晴らしい公園である。
参考情報
交通

平塚市総合公園はJR東海道線平塚駅が最寄り駅だが、駅から2kmほどと少しばかり距離がある。歩けば30分ほどを要するだろう。駅北口からバスを利用するのも一案だ。バス路線などの詳細は平塚市の公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)などを参照されたい。

平塚市総合公園には来園者用の有料駐車場(平成30年9月21日から有料化された)が複数設けられており、全部で1000台分ほどの駐車スペースがある。それでも休日やイベント開催時には混雑する。余裕を持って来園することをお勧めする。

平塚総合公園は国道1号の「宗善小学校東」交差点や「検察庁前」交差点から北へ折れるのがわかりやすい。北方から訪れる場合は国道129号や県道606号、県道61号などを利用するのが便利だ。遠方から訪れる場合は小田原厚木道路の平塚ICや新湘南バイパスの茅ヶ崎西ICを利用するのが近い。

飲食

園内のレストハウスでは本格的な食事の可能なレストランが営業している他、体育館プール棟2階では「福祉ショップかざぐるま」という軽食堂も営業している。また「ふれあい動物園」前には売店もある。手ぶらで来園しても食事は可能だが、来園者が多い日にはレストランも混み合うのは必至だ。

規模が大きく行楽感覚で訪れても楽しめる公園だから、陽気の良い季節ならお弁当持参で来園することをお勧めする。素敵な“青空ランチ”が楽しめる。

公園の周辺は住宅や企業などが建ち並ぶところで、飲食店はほとんどない。園外に出て飲食店を探すなら平塚駅周辺へ移動するのが賢明だ。

周辺

平塚総合公園の西南の方角には高麗山公園がある。高麗山公園の頂上部は標高180mほど、眺望が魅力の公園だ。平塚総合公園から高麗山公園の駐車場まで車で6kmほど、20分ほどで着く。

北西の方角、小田原厚木道路の平塚IC近くには「花菜ガーデン(神奈川県立花と緑のふれあいセンター)」がある。バラ園が有名だから、平塚市総合公園のバラと併せて楽しむのがお勧めだが、「花菜ガーデン」はたいへんに人気があり、バラの見頃の時期には駐車場は混雑し、平日でも駐車待ちの列ができる。時間に余裕を持って訪れるのが賢明だ。平塚総合公園から花菜ガーデンまでは車で5km弱、十数分で着く。

南へ移動すれば湘南海岸、ひととき海岸散歩を楽しむのも悪くない。
平塚市総合公園

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