神奈川県綾瀬市のほぼ中央部、光綾公園の西に「長峰自然の森」という樹林地がある。民有地だが地権者の協力を得て一般公開されているものという。新緑が色濃くなった五月の半ば、長峰自然の森を訪ねた。
長峰自然の森
神奈川県綾瀬市のほぼ中央部、深谷通りを挟んで光綾公園の西側に「長峰の森」あるいは「長峰自然の森」と呼ばれる樹林地がある。「綾瀬市緑の保全及び緑化の推進に関する条例」に基づき、地権者の協力を得て公開されているものという。面積は5.6haほど、2000年(平成12年)に開設されたものらしい。長峰の森管理委員会が組織されて保全管理に当たり、ボランティアの人たちがさまざまな活動を行っているという。
長峰自然の森
長峰自然の森
樹林地内は鬱蒼と木々が茂っているが、荒れた印象は全くなく、丹念な保全整備活動がなされていることを窺わせる。木々の間を縫うように散策路が延び、その総延長は1kmに及ぶという。散策路脇には随所にベンチが置かれ、樹林内で見られる植物や野鳥などについての解説パネルなども設置されている。木々そのものにもネームプレートが取り付けられているのも嬉しい。

樹林地内にはさまざまな木々が茂っている。クヌギ、コナラ、ケヤキ、エノキ、エゴノキ、ミズキ、ヤマザクラ、スギ、ヒノキ、サワラ、シラカシ、クスノキ、イヌシデ、ヒサカキ、クリ、カキ、ツツジ、ゲッケイジュ等々、落葉広葉樹から常緑広葉樹、針葉樹まで、高木から低木まで、細かく挙げてゆけばきりがない。おそらく昔ながらの植生を保った林地がそのままに残されているのだろう。
長峰自然の森
長峰自然の森
長峰自然の森
長峰自然の森
長峰自然の森
木々の緑に包まれて木漏れ日の小径を歩けば、雑木林散策の醍醐味を存分に愉しむことができる。深谷通りに近い辺りでは道路を走る車の音が聞こえてくるが、道路から離れるにつれて車の音も遠ざかり、風にそよぐ木々の音と野鳥の声が聞こえるばかりだ。自然林というものはやはり特別な魅力があるように思える。見上げれば木々の枝葉が日差しを浴びて輝き、下草の茂った林の奥へ目を凝らせば低木の葉が木漏れ日を受けて浮かび上がる。樹林の見せるさまざまな表情を愉しみながら散策路を辿れば木々と土の匂いに気分は清々しく、心安らぐひとときを過ごすことができる。

散策路を辿っていると、樹林地の西入口近くに手動ポンプの取り付けられた井戸があるのに気付いた。水問題で困っていた「長峰の森管理委員会」のために、井戸掘りを専門にしている市内企業の代表者の方が無償で掘られたものだそうだ。周辺が住宅地となった中で、長峰自然の森は貴重な樹林地だ。その管理と保全にはさまざまな苦労があると思えるが、地元の人々によって大切に守られているのだろう。そのご苦労に感謝しつつ、樹林散歩を愉しみたい。
参考情報
交通
長峰自然の森は相鉄線さがみ野駅が最寄り駅だが、駅からは3kmほどの距離があり、徒歩では少し距離がある。さがみ野駅と長後駅西口とを繋ぐバス路線を利用し、「上深谷」バス停で下りれば近い。

長峰自然の森は米軍厚木基地の西南側、光綾公園の西側に位置している。藤沢方面からは県道42号を北上、座間方面からは県道42号を南下するとわかりやすい。県道42号の「市民スポーツセンター入口」交差点から東へ折れて進めば丁字路になった「光綾公園前」交差点に出る。「光綾公園前」交差点の西南側に広がる樹林地が長峰自然の森だ。

「光綾公園前」交差点から数十メートル南に辿ったところに専用駐車場が設けられているが、駐車スペースは十数台分、木々の間の“空き地”を利用して駐車場を設けたもので、「落木、倒木等により車両等が損傷しても責任はおいません」との注意書きがある。

飲食
長峰自然の森内にはレストランや売店などはない。近辺にも飲食店はない。お弁当持参でピクニック感覚で訪れるのもお勧めだ。

周辺
公園東側の光綾公園にもぜひ立ち寄っておきたい。春には桜、初夏にはバラの美しい公園だ。
神奈川散歩