埼玉県飯能市の「飯能河原」は身近な行楽地として人気で、行楽シーズンには川遊びやバーベキューなどを楽しむ人たちで賑わう。晩秋になれば河岸の木々が紅葉に染まり、美しい景観を見せる。木々が紅葉に染まった十一月下旬、飯能河原を訪ねた。
晩秋の飯能河原
埼玉県飯能市の中心部の西方、「飯能河原」と呼ばれる行楽地がある。蛇行する入間川に広く河原が現れたところで、行楽シーズンには川遊びやバーベキューを楽しむ人たちで賑わう。そもそもは江戸時代から明治期頃までは入間川を使った木材搬出の中継地として賑わい、大正期から昭和初期にかけては行楽地として賑わった。その歴史のお陰か、飯能河原の知名度は高く、今も身近な行楽地として親しまれている。
晩秋の飯能河原
初夏から夏にかけては河岸の深緑と川の流れの涼やかな風情が魅力の飯能河原だが、秋が深まれば河岸の木々が紅葉に染まり、興趣に富んだ美しい景観を見せてくれる。辺り一面が紅葉に染まるような圧巻の景色が楽しめるわけではないが、モミジやケヤキなどのさまざまな落葉樹の紅葉が見せる景観は穏やかな晩秋の表情を見せて散策は楽しい。
晩秋の飯能河原
飯能河原と言えば下流側に架かる割岩橋の真っ赤なアーチが印象的で、飯能河原の象徴的景観と言っていい。河岸の緑に映える割岩橋はたいへんに美しいが、季節が晩秋を迎えて河岸の木々が秋色に染まった景観もなかなか美しい。低い角度で差す陽光に紅葉の木々が映えて、それを背景に真っ赤な割岩橋のシルエットが浮かぶ。素敵な風景である。
晩秋の飯能河原
飯能河原の左岸側、木製のデッキが設けられている辺りにイチョウの木がある。イチョウは黄葉が早く、モミジが紅葉に染まる頃にはすでに落葉も進んでいるが、それでも鮮やかな黄金色で陽光を浴びる景観は美しい。少し早めに訪れれば見事な景観を楽しめるだろう。
晩秋の飯能河原
飯能河原の右岸から北(左岸側)に視線を向けると、河岸に並ぶ家々の向こうに見事な紅葉に染まった木々が並ぶ光景が見える。入間川の左岸側、一段高みを東西に通る県道28号青梅飯能線の道沿いに並ぶ木々が見えているのだ。これがなかなか美しい。
晩秋の飯能河原
河岸から離れて、その県道28号青梅飯能線を歩いてみるのもお勧めだ。道の北側には観音寺や諏訪八幡神社などの寺社が並び、南側にはモミジやケヤキなどが並んで並木を成している。その並木の紅葉が美しい。その木々の向こうに飯能河原の風景が見え隠れするのも素敵だ。
晩秋の飯能河原
県道28号から斜面を降りてゆく小径がある。降りた先には豊川陀枳尼真天神社(とよかわだきにしんてんじんじゃ)が鎮座している。小さな祠が崖を背負って建っていて、紅く染まったモミジが包んでいる。風趣に富んで美しい風景だ。
晩秋の飯能河原
飯能河原の周辺を気の向くままに歩いてみると、思わぬところで美しい紅葉の景色に出会うこともある。晩秋の風情を味わいながら、のんびりと散策を楽しむのがお勧めだ。
晩秋の飯能河原
参考情報
本欄の内容は飯能河原関連ページ共通です
交通
飯能河原は飯能駅(西武池袋線)から1km弱、徒歩で15分ほど、東飯能駅(西武池袋線、JR八高線)からは1.5kmほど、徒歩で25分ほどだ。

飯能河原には駐車場はない。車で訪れる際には駅周辺に点在する民間駐車場を利用しよう。

飲食
飯能河原はお弁当とレジャーシート持参で訪れるのがお勧めだ。河原に場所を見つけて“青空ランチ”を楽しもう。

飯能河原ではバーベキューを楽しむ人たちの姿も多い。直火は禁止なので用具一式を準備していこう。近くにはバーベキュー用具を貸し出す店もあるから、そうした店を利用するのもいい。

河岸にも食事の可能な店が何軒かあるが、飯能駅周辺の市街地中心部へ戻ればさらに選択肢も増える。予定に合わせて選ぶといい。

周辺
飯能河原から北へ辿ると飯能市中央公園や能仁寺がある。その北は天覧山だ。桜の名所として知られ、春には大勢の花見客で賑わうところだ。天覧山からは素晴らしい眺望が楽しめる。足を延ばしてみるのもお勧めだ。

飯能市街には古い建物も残っている。昔の風情を探しながらの町散歩も楽しい。
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