佳景探訪
羊山公園/芝桜の丘
埼玉県秩父市の羊山公園は芝桜の名所として広く知られている。2ha近くにもなる「芝桜の丘」に40万株以上の芝桜が植えられるという。芝桜が見頃となった五月の初旬、羊山公園を訪ねた。



羊山公園/芝桜の丘

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羊山公園/芝桜の丘

羊山公園/芝桜の丘

羊山公園/芝桜の丘

羊山公園/芝桜の丘
埼玉県秩父市、市街地の東方の丘の上に羊山公園がある。この丘に戦前には埼玉県の綿羊種畜場があり、綿羊を飼育していたことから、羊山(ひつじやま)と呼ばれるようになったものという。丘陵地を利用して造られた羊山公園は広大な面積を有し、春の桜の名所としてもよく知られている。

この羊山公園、近年では芝桜の名所として広く知られるようになり、四月下旬から五月上旬の見頃の時期には大勢の観光客を集めるようになった。芝桜は羊山公園の南側の一角に場所を設けて植栽されており、「芝桜の丘」と名付けられている。「芝桜の丘」は毎年拡張と増殖作業が行われているとのことで、2010年現在、17,600平方メートルの面積に40万株以上の芝桜が植栽されているという。

「芝桜の丘」は丘陵地の緩やかな斜面を巧みに利用して造られている。尾根と尾根とに挟まれた低地部分を中心に、その両脇の斜面に芝桜が植栽されており、それが南北に延びた形になっている。そのため、「芝桜の丘」のどこからでも芝桜に彩られた丘陵地のほぼ全景を見ることができる。濃いピンクや淡いピンク、白や薄紫の芝桜に埋め尽くされた丘の景観はまさに大地に描かれた「花のパッチワーク」、素晴らしいものだ。この「芝桜の丘」のデザインは秩父夜祭の屋台や笠鉾の囃し手の襦袢の色合いと躍動感を表現しているものだそうだ。

尾根の高所部に立てば遠い山並みが視界に入って開放感に富み、眼下に広がる芝桜が壮観な眺めだ。中央部の低地部に立てば芝桜に包まれたような視界を楽しむことができ、これもまた見事な眺めだ。芝桜に彩られた斜面を縫うように散策路が巡り、辿ってゆけば場所によって表情が変わり、その度に美しい景観が眼前に広がる。さまざまな景観を楽しみたくなってあちらから眺めてみたり、こちらから眺めてみたり、そうするうちに日差しの角度が変わって色合いが微妙に変わり、長い時間を過ごしても飽きることがない。

「芝桜の丘」はどこから眺めても美しいが、その中でも北西側の端に立って武甲山を背景にして見るときの景観が最も素晴らしいように思える。武甲山は標高1300mほど、“秩父のシンボル”と言われる。古くから霊山として崇められた山らしいが、セメントの原材料である石灰岩が採掘されている山でもあり、その採掘跡が独特の景観を見せている。その武甲山と「芝桜の丘」の組み合わせは、まさに秩父を代表する景観と言っていいのだろう。

芝桜は大地を染めるように咲き広がる景観を楽しむ花で、一輪一輪を愛でる花ではないと思うが、足元に目を向けて芝桜の花の可愛らしい姿を楽しむのもいい。品種によって花弁の形も微妙に違い、もちろん色も違う。「芝桜の丘」には9種類の品種の芝桜が植栽されているという。「スカーレットフレーム」や「オータムローズ」、「リットルドット」、「エメラルドクッション」など、その品種名を見てゆくのも楽しい。淡いピンクに白い縁取りのある花弁の品種は「多摩の流れ」という名だそうだ。

芝桜が見頃となる四月上旬から五月上旬には「芝桜まつり」が開催される(四月下旬から五月上旬の花の最盛期には「芝桜の丘」は入園料が必要となる)。「芝桜の丘」西側に設けられた「中央口」の付近には観光案内所や秩父の特産市などが設けられ、まさに“お祭り”のような賑わいだ。「中央口」の近くには「ふれあい牧場」もあり、羊山にちなんで羊が飼育されている。子ども連れなら立ち寄ってみたいところだろう。毎年、観光客向けのパンフレットが用意されるようだ。パンフレットには「芝桜の丘」の案内をはじめ、秩父市の観光案内、種々のイベントの開催案内なども掲載されている。訪れたときはまずこのパンフレットを貰っておこう。




羊山公園/芝桜の丘

羊山公園/芝桜の丘
「芝桜の丘」を「菖蒲田口」から出て北へと辿ると、緑濃い里山の風景が広がっている。散策路脇にはヤマブキが黄色い花を咲かせていた。散策路に沿って並んでいたから自然に生えているものではなく植栽されたものだろう。尾根に挟まれた“谷戸”には菖蒲田も設けられているようだ。もちろん芝桜の時期では花菖蒲の花は見られないが、花の時期には美しい景観を見せてくれることだろう。

散策路を辿ってゆくと「まちなか無料バス」の発着所がある。「まちなか無料バス」を利用して羊山公園に訪れたなら、この散策路を辿って「芝桜の丘」に向かうことになるわけだが、それもまた楽しいのではないかと思える。芝桜の見頃の時期、山々は新緑の萌える季節だ。瑞々しい緑に包まれて、ヤマブキの花を見ながら歩く散策路は「芝桜の丘」へのアプローチとしてなかなか素敵だ。
参考情報
「芝桜の丘」は芝桜の見頃の時期には入園料が必要だ。入園料などについては秩父市観光協会サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)などを参照されたい。

交通

電車で来訪する場合は西武秩父線の西武秩父駅や横瀬駅、秩父鉄道の御花畑駅(芝桜駅)などが最寄りだ。各駅とも羊山公園までは少しばかり距離があるが、歩けないほどではない。四月下旬から五月上旬の土曜、日曜、祝日には「まちなか無料バス」が市街地と羊山公園とを繋いで運行しているようだから、これを利用するのもいい。

車で来訪する場合は、公園内の駐車場や市街地の特設駐車場などが利用できる。ただし芝桜の見頃の時期には公園内は交通規制が行われるため、その時期には公園内の駐車場は利用できないようだ。少し離れた臨時駐車場に車を置き、公園まで「まちなか無料バス」を利用する方法もある。また秩父市だけでなく、公園東側の横瀬町にも観光客用の駐車場が用意されるようだ。秩父市サイトなどに駐車場情報が掲載されるから、充分に下調べをして訪れることをお薦めしたい。

今回(2010年5月初め)訪れたときは、公園西側に位置する南小学校の校庭を利用した臨時駐車場を利用し、そこから羊山公園まで歩いた。朝の8時頃に駐車場に着いたが、すでに続々と車が集まってきていた。少し遅い時刻になると駐められなかったかもしれない。

秩父市外から羊山公園に訪れる場合、関越自動車道花園ICから国道140号を南下、あるいは関越自動車道狭山日高ICから国道299号を西進することになるが、芝桜の見頃の時期にはこれらのルートはたいへんに渋滞する。今回(2010年5月初め)、入間市方面から国道299号を利用して秩父市へ向かったが、朝の8時頃には秩父市に着く予定で出発したため、往路は渋滞もなく快適に走ることができた。午後の早い時刻には秩父市を出発して国道299号を入間方面へと帰ったのだが、このとき、秩父方面へと向かう方はたいへんな渋滞で、秩父市から飯能市まで渋滞の列が続いていた。

飲食

芝桜の見頃の時期には公園内に露店などが出ているようだが、本格的なレストランなどはない。食事は秩父市街で楽しむのがお薦めだ。また公園内に場所を見つけてお弁当を広げることも不可能ではない。「芝桜の丘」以外の区域ならのんびりとしたアウトドラランチが楽しめるだろう。

周辺

芝桜の景観を楽しんだ後は秩父市街の散策がお勧めだ。市内には古い建物も残り、町歩きの好きな人にはとても魅力的だ。また芝桜の見頃の時期には市内でさまざまなイベントも開催されており、そうしたものを見てゆくのも楽しい。
羊山公園/芝桜の丘

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