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通常、関東での花菖蒲の花期は六月だ。早くても咲き始めるのは五月の末になってからだ。この花菖蒲を五月の節句に咲かせたいと、房州(今の千葉県)の阿部市右衛門という人物が河津の峰温泉で温泉熱を利用して栽培、伊豆の温暖な気候も手伝って五月の初めに開花させることに成功した。昭和初期のことという。以来、河津では町中で花菖蒲の栽培が盛んになり、現在ではその出荷数は関東一となり、全国でも有数の生産地として知られる。1975年(昭和50年)には花菖蒲は河津町の「町の花」に制定されている。 「かわづ花菖蒲園」は、その河津の花菖蒲を象徴する施設だ。花期は5月初旬から6月半ばまでで、この期間に「かわづ花菖蒲園」は観光客を迎えるために開園する。河津町では「日本一早く開花する花菖蒲園」と謳っている。菖蒲園は5haほどの面積で、その中に約130種、25000株の花菖蒲が植えられているという。もちろん品種によって早咲き、遅咲きがあるから、25000株の花菖蒲のすべてが咲き揃うということはないが、開園期間中は常に花菖蒲が咲き、見事な景観を楽しむことができる。 「かわづ花菖蒲園」は伊豆急河津駅からやや山側に入ったところに設けられており、周辺には緑濃い風景が広がっている。菖蒲田の中には木道が設けられ、その木道を辿って咲き誇る花菖蒲をさまざまな角度から鑑賞することができる。広々とした風景の中だから実感しにくいが、5haほどの菖蒲園はなかなか広く、規模の大きな菖蒲園だと言っていい。菖蒲園内には休憩所や四阿も設けられており、ベンチに腰を降ろし、花菖蒲を眺めながらのんびりとしたひとときを過ごすこともできる。 河津町に於ける花菖蒲の栽培は基本的に出荷することが目的であるためか、「かわづ花菖蒲園」も“庭園”としての美しさという点にはあまり重きが置かれていないようにも思える。周囲の景観には少しばかり雑然とした印象もあって興をそぐが、菖蒲園を囲む生け垣の外側に農家のビニルハウスが見えたりするのもひとつの興趣かもしれない。都会の喧噪から離れて、緑の山々を背景に花菖蒲を楽しむのは、やはり素敵なひとときだ。 今回訪れたのは6月初旬、開園期間も終わりに近い時期だったからか、花もそろそろ終わりという印象もあった。やはり開園期間の中盤、5月半ばから5月末にかけての頃が最も見応えのあるものなのだろう。それでも園内に咲き誇る花菖蒲の数々は充分に見応えのあるものだった。訪れた日はあいにくの天気で、曇り空の下、ときおり雨粒も落ちてくる空模様だったが、しっとりと雨に濡れた花菖蒲は良い風情があり、とても美しいものだった。 |
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かわづ花菖蒲園は花菖蒲の花期のみ開園し(例年、5月1日から6月15日までが開園期間のようだ)、開園期間中は無休とのこと。入園には料金が必要だ。
「かわづ花菖蒲園」は伊豆急の河津駅から数百メートルの距離で、徒歩でも10分ほどだ。駅前の道路を山側へと辿ってゆけば迷うことはない。 周辺には無料駐車場が用意されており、車での来訪も便利だ。東伊豆を辿る国道134号線からなら河津町の「浜」交差点から山側へと折れて、そのまま道なりに辿ってゆけばいい。天城峠側から下りてくる場合には、河津町中心部へ、伊豆急の河津駅を目指してコースをとれば迷うことはないだろう。近くまで行けば案内標識があるから、それに従えばいい。 「かわづ花菖蒲園」には飲食の可能な店はなく、またお弁当を広げられるようなスペースもない。伊豆急河津駅周辺や河津町役場周辺にさまざまな飲食店が点在しているから、そこで気に入ったお店を探すといい。 「かわづ花菖蒲園」の西側の道を300メートルほど北へ進むと来宮神社があり、境内には樹齢千年とも言われる大クスがある。「かわづ花菖蒲園」の西方を流れる河津川の川岸は有名な河津桜の並木だが、花菖蒲の花期にはもちろん河津桜は咲いていない。その川の向こう、西方の丘の上にはバラで有名な「河津バガテル公園」がある。「かわづ花菖蒲園」の花菖蒲は開花が早いから、バラと同時に楽しむことも可能だ。 河津川に沿うように山側へと辿ってゆけば河津七滝ループ橋、河津七滝、さらに行けば天城峠だ。車で訪れたときにはドライブを楽しみつつ行ってみるといい。 |
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