静岡県浜松市、浜名湖の北方に竜ヶ岩洞と呼ばれる鍾乳洞がある。総延長は1046m、そのうち約400mが一般公開されている。洞内の神秘的な景観には驚くばかりだ。夏の暑さの残る九月半ば、竜ヶ岩洞を訪ねた。
竜ヶ岩洞
静岡県浜松市、浜名湖の北岸からさらに北の山々に入り込んだところに、「竜ヶ岩洞(りゅうがしどう)」と呼ばれる鍾乳洞がある。「秩父中古生層」という約2億5千万年前の地層の中に生じた鍾乳洞であるという。
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞
この鍾乳洞は、昭和初期、石灰岩の採石場に発見されたものという。本格的な学術調査が行われたのは1970年代の終わり頃になってからのことで、名古屋大学の塩崎平之助教授らによって1978年(昭和53年)と1982年(昭和57年)の2度に渡る調査が行われている。さらに洞窟探検家による探索も行われ、次第に鍾乳洞の全貌が明らかになってゆく。

観光鍾乳洞としての開発が始まったのは1981年(昭和56年)6月のことである。開発を行ったのは戸田貞雄氏、当初は氏による手作業だったという。さまざまな苦労を経て洞窟の整備は進み、1983年(昭和58年)10月、約2年半の歳月をかけた洞窟開発の作業が終了し、観光鍾乳洞「竜ヶ岩洞」が完成、オープンを迎えた。現在では東海地方でも屈指の観光地として常に多くの観光客を集める人気スポットになっている。
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞は総延長は1046m、そのうちの400mほどが一般公開されている。東海地方最大の観光鍾乳洞であるという。洞内の気温は年間を通して18℃、冬は暖かく、夏は涼しい。真夏の猛暑の日などには外との気温差が大きく、洞内は肌寒いほどだ。

鍾乳洞は、ほぼ人ひとりが歩けるほどの大きさで続く。ところどころ背を屈めなくてはならなかったり、意外に広くなっていたりする場所もあるが、概して狭い。さまざまな洞内の景観を楽しみながら進むと、奥まったところでUターンするように屈曲し、入口近くに設けられた出口に戻ってくるという形だ。
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞の見所は何と言ってもさまざまな鍾乳石や石筍の見せる神秘的な景観だ(狭義には上から垂れ下がるものを「鍾乳石」、床面から筍状に上に伸びたものを「石筍」というが、広義にはそれらを合わせて「鍾乳石」と呼ぶこともある)。本来は真っ暗な洞内だが、観光鍾乳洞として整備されて照明が施され、その陰影によって洞内の景観はますます神秘性を帯びて見る者を魅了する。
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞
洞内でも特に奇観と呼ぶべき特徴的な景観を見せるところには「ワニの岩」や「マリア観音」、「布袋様」、「慈母観音」、「龍宮」といったように、その形状が連想させる事物になぞらえて名が与えられている。人の想像力というものは素晴らしいもので、自然の産物である鍾乳石や石筍に聖母マリアや観音様、羅漢様などの姿を見てしまうわけだが、大自然の造形というものはそうした人間の想像力を遙かに超えている。まさに驚異の景観である。

洞内には落差30mという「黄金の大滝」もある。こうした洞窟内の滝としては日本最大級であるという。この「黄金の大滝」も竜ヶ岩洞の見所のひとつである。

前述したが洞穴内は概して狭く、景観に見とれて足を止めていると後から来た人たちが通れない場所もあって留意が必要だ。他の人たちに迷惑がかからないよう、気を遣って洞内見学を楽しみたい。
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞
竜ヶ岩洞には付属施設として資料館や土産物店、食事処などが設けられている。資料館は広く「洞窟」というものをテーマにしたもので、人間と洞窟との関わりやコウモリの生態など、さまざまな展示がなされていて興味深い。竜ヶ岩洞の開発史を写真とジオラマで解説したコーナーもあり、これもなかなか見応えのあるものだ。

竜ヶ岩洞を一通り見学すると所要時間は約30分、混雑していて途中で“渋滞”したりすると1時間近くかかることもあるが、気構えなく気軽に見学できる規模である。洞内は観光鍾乳洞として整備が行き届き、特別な靴などを用意する必要も無い。洞内の写真を撮りたい人は、レンズの明るいコンパクトなカメラを用意しておくことをお勧めする。

太古の地層の中に気の遠くなるほどの時間を費やして形作られた鍾乳洞の景観、必見である。
参考情報
竜ヶ岩洞は見学に料金が必要だ。営業時間や料金については竜ヶ岩洞管理事務所による公式サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
竜ヶ岩洞は鉄道の駅からは距離があり、訪ねるときは車を利用するのが賢明だ。

遠方から訪れる際には東名高速道路や新東名高速道路を利用するといい。最も近いインターチェンジは新東名高速道路引佐連絡路の浜松いなさICで、約9km(約15分)。新東名高速道路の浜松スマートICからは約16km(約30分)、東名高速道路の三ヶ日ICからは約15km(約30分)、東名高速道路の舘山寺スマートICからは約12km(約25分)、東名高速道路の浜松西ICからは約14km(約25分)だ。

来訪者用の無料駐車場が用意されており、駐車台数にも余裕があるが、行楽シーズンの休日には混み合うので余裕を持って予定を立てた方がいい。

鉄道を使って訪れる場合は、天竜浜名湖鉄道の金指(かなさし)駅からバス、あるいはJR東海道線の浜松駅からバスを利用しなくてはならない。

飲食
竜ヶ岩洞入口横に「竜ヶ岩洞食堂ふるさと」があり、駐車場付近にも飲食店が建っている。周辺には他に飲食店は見当たらない。天竜浜名湖鉄道沿線に移動すれば見つけられるだろう。選択肢を増やすなら浜松市街へ移動するのが賢明だろう。

周辺
竜ヶ岩洞から南東の方角へ約4kmで井伊直虎縁の寺として有名な龍潭寺だ。

南へ10kmほど辿れば浜名湖湖畔、湖畔の道路を辿ってドライヴを楽しむのもお勧めだ。浜名湖東岸を辿れば15kmほどで舘山寺温泉、「かんざんじロープウェイ」や「浜名湖オルゴールミュージアム」、「はままつフラワーパーク」などを訪ねるのも楽しい。
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