佳景探訪
文京あじさいまつり
東京都文京区白山に建つ白山神社の境内から隣接する白山公園にかけて約3000株の紫陽花が咲き誇る。紫陽花が見頃となる六月中旬には「文京あじさいまつり」が開催され、多くの来訪者を迎えて賑わう。「文京あじさいまつり」を訪ねた。



文京あじさいまつり

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文京あじさいまつり
東京都文京区白山六丁目の町に白山神社という神社が鎮座している。そもそもは天暦年間(947〜957年)に加賀一宮白山神社を勧請して建立されたものだそうだからなかなかの古社である。創建時は現在の本郷一丁目にあったそうだが、二代将軍秀忠の命を受けて巣鴨原(現在の小石川植物園内)に移り、さらにそこに館林藩主徳川綱吉(後の五代将軍)の屋敷が造営されるというので、1655年(明暦元年)に現在地へ移ったものという。その縁で綱吉とその母である桂昌院の帰依を受け、その後も徳川将軍家に崇敬されたという神社である。ちなみにこの辺りの地名「白山」は、この白山神社が由来である。

かつては木々の茂った丘に鎮座していた神社だと思うが、現在は北側には東洋大学が、西側には京華中学・高校と京華商業高校が建ち、東側と南側は住宅地だ。決して広大な敷地を有するわけではないが、それでも境内地には木々が茂り、往時の面影を残している。社殿の裏手は白山公園という小公園になっており、小さな広場が設けられている。

この白山神社と白山公園には3000株ほどの紫陽花が植えられ、都内有数の紫陽花の名所として知られる。紫陽花が見頃となる六月中旬には「文京あじさいまつり」が開催され、週末には模擬店が出店し、コンサートなどのイベントも行われ、多くの来訪者を迎えて賑わう。

都営地下鉄三田線白山駅から白山神社へ向かうと、参道沿いに「白山紫陽花祭」と記した提灯が提げられてお祭り気分を盛り上げている。鳥居をくぐって石段を上ると「文京あじさいまつり」と記したプレートが掲げられて来訪者を迎えている。境内に入ると右手に社務所があり、その奥に本殿が南向きに建っている。まず参拝を済ませておきたい。本殿前付近にも手水屋の付近にも紫陽花が数多く咲いている。本殿前から南へ延びる参道も両脇に紫陽花が植えられ、風情ある景観を見せてくれる。

本殿前から少し南へ進むと本殿の西側に建つ松尾神社への参道が分かれている。松尾神社は正しくは関東松尾神社といい、江戸時代に白山神社境内に京都の嵐山松尾大社の分霊を勧請して建立されたものだそうだ。松尾大社は酒造の神として崇敬されており、この関東松尾神社も酒造関係者の信仰を集めているという。1953年(昭和28年)には酒類関係業者によって老朽化した社殿の改修が行われたそうである。

松尾神社の前から神社の脇を抜けて裏手の白山公園へと小径が辿っている。その小径脇にも紫陽花が咲いている。小径を抜けると白山公園の広場だ。広場の脇ではテントで場所を設けて来訪者へのお茶の接待や地元物産の販売などが行われている。広場は週末にはコンサートの会場にもなるようだ。訪れたときにはちょうど“猿回し”が行われていた。

広場の周囲の植え込みにも紫陽花が咲いている。この広場はちょうど白山神社の社殿の裏手に当たるわけだが、その社殿裏の境内地に数多くの紫陽花が咲いている。広場からはフェンス越しに見ることになるが、紫陽花はそのフェンスより高い位置に花を咲かせている。広場から見れば紫陽花の花の向こうには社殿の建物が(裏側だが)見える。なかなか風情に富む景観だ。

白山公園の広場の東側、白山神社社務所の裏手に当たるところには浅間神社を祀った小高い丘がある。浅間神社を祀る小高い丘とは、すなわち富士山を模して造られた、いわゆる富士塚である。この富士塚、通常時は立入禁止になっているようだ(塚のすぐ北側に民家が建っており、塚に上るとそれらの民家の窓辺を見下ろすことになってしまうため、その配慮のためのようだ)が、「文京あじさいまつり」開催中の昼間は解放されている。この富士塚の紫陽花が見事だ。塚に上る小径の両脇を紫陽花が埋め尽くし、紫陽花の花に包まれるようにして楽しむことができる。小径は狭く、上る人と下る人とで互いに譲り合わなくてはならないが、「文京あじさいまつり」に訪れたときにはぜひとも、この塚の紫陽花を見ておきたい。

白山神社と白山公園で見られる紫陽花はほとんどが西洋アジサイだ。場所によってはガクアジサイやカシワバアジサイなども植えられているようだが、さまざまな品種の紫陽花を集めた“アジサイ園”のような施設とは性格が異なっているから、品種の数はそれほど多くはないようだ。また3000株ほどという数も特筆するほど多いわけではない。しかし都内の古社の境内を埋め尽くすように咲き誇る紫陽花は風趣に富んで良い味わいがあり、神社の境内という場の持つ空気感が紫陽花の風情と相俟って格別の魅力を醸している。そしてまた「文京あじさいまつり」としての賑やかさもまた、ひとつの興趣というものだろう。そうした意味では“紫陽花の名所”と言って差し支えないだろう。紫陽花好きの人なら一度は訪れてみるべきと言っても過言ではない。

今回訪れたのは六月半ば、機会を設けて平日に訪れたのだが、それでもかなりの人出で賑わっていた。紫陽花を観賞しながらのんびりと境内を散策したり、紫陽花を背景に記念撮影をしたり、熱心に良い構図を探してレンズを向ける写真愛好家らしい人の姿も少なくない。皆それぞれに白山神社の紫陽花と「文京あじさいまつり」を楽しんでいる様子だった。

訪れた日、ちょうどNHKの取材チームが来ていた。テレビでもよく見る女性アナウンサーが同行していた。ニュース番組などの“東京の季節の話題”のようなコーナーで取り上げたのだろうか。「文京あじさいまつり」は東京における梅雨時の風物詩のひとつ、ということなのだろう。
参考情報
交通

「文京あじさいまつり」の会場となる白山神社と白山公園へは都営地下鉄三田線白山駅が近い。徒歩で3分ほどだろうか。東京メトロ南北線本駒込駅からも徒歩で10分足らずだ。

白山神社には参拝者用の駐車場があるようだが、「文京あじさいまつり」の開催中はイベント会場などとして使用されるようだ。周辺にも駐車場は少ない。国道17号線、旧白山通り、白山通り沿いなどに民間駐車場が点在しているようだが、小規模のものがほとんどだ。車での来訪は避けた方が無難だ。

飲食

都営地下鉄三田線白山駅の周辺、旧白山通り沿いを中心にさまざまな飲食店がある。またそこから白山神社へと続く参道沿いにも飲食店が並び、観光地的な賑わいを見せている。好みのお店を見つけて食事を楽しむといい。東京メトロ南北線本駒込駅近くの本郷通り沿いには飲食店が少ないようだ。

白山神社に隣接する白山公園は小さな公園で、「文京あじさいまつり」の開催中はイベント会場となっているため、お弁当を広げるのは難しい。

周辺

都営地下鉄三田線白山駅のやや北側に位置する「白山上」交差点から都道452号線を東へ辿れば1kmほどで千駄木だ。千駄木から南へ下れば根津、町歩きの好きな人なら散策の足を延ばしてみるのがお勧めだ。

都営地下鉄三田線白山駅の南側に位置する「白山下」交差点から南西側へと辿れば東京大学附属植物園も近い。東京大学附属植物園の南側には桜の名所として有名な播磨坂がある。桜の季節には訪ねてみたい。
文京あじさいまつり

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