第43回(11月15日放送)
2001年7月になった。若葉は相変わらず草引きに精を出す毎日だ。一方、宮崎では光が神戸への「家出」を決行しようとしている。
飫肥の町を俯瞰する風景が映し出され、物語の舞台が宮崎へ移る。詩子と幸恵、のぶの三人がラベル貼りの作業としているところに、頼まれた配達を終えた光が帰ってくる。夏休みになって、光は毎日工場を手伝い、啓太は遊び呆けているらしい。それを幸恵が嘆く。幸恵が光に「てげてげでいいとよ、工場の手伝いは」と言う。「てげてげ」という言葉は宮崎の方言の代表的なもののひとつと言っていいだろう。「てげ」は「たいがい」が訛って転じたものか。標準語で言えば「ほどほどに」といった意味合いだが、「そんなに熱心にやらなくても」とか「そんなに張り切らなくても」といったニュアンスが付加されている。
光のもとに級友の山下厚子が訪ねてくる。どうやら光の「家出」のことを啓太に聞かされて心配してやってきたようだ。そこへ啓太が帰ってくる。なかば冗談のように啓太は光をけしかける。啓太は光のいちばんの理解者である。「家出」のことを口にしながらいっこうに実行に移さない光に対して、啓太は啓太なりに応援しているのだ。煮え切らない光に対して啓太が「おまえを相手にしちょると、てーげだり」と呆れる。「だり」は「だるい」の訛ったものだ。「てーげ」は「てげ」と短く発音することが多い。この場合の啓太の台詞の「てーげだり」では「(おまえの相手をしていると)ほんとに疲れる」といった意味合いだ。前述の「てげてげ」とは意味が違って、この「てげ」は強調するときの接頭語と言っていい。「てげ言う」などと言えば、「よく(たびたび)口にする」といった意味になる。
光の「家出」をけしかける啓太は、山下厚子に対して「えーか、山下、誰かに言うたらくわらすぞ」と口止めする。「くらわす」は「殴る」という意味で、さらに短く「くらす」と言ったりもする。だからこの啓太の台詞は、直訳すれば「いいか、山下、誰かに言ったら殴るぞ」となるわけだが、それほど直接的な意味はなく、「絶対に誰にも言うなよ」という意味合いの、いわば「脅し文句」である。子どもの口喧嘩などで、よく「くらすぞ」と口にする。受け身の形で「くさらるっぞ」などとも言う。
一夜明けて、いよいよ光の「家出」決行の日、村上酒造の玄関が映し出され、ウォーキングに出かける詩子を啓太が見送る。その背景に「わしわしわし」とクマゼミの鳴く声が聞こえている。詩子は田ノ上八幡神社の参道でふと足を止めてふりかえる。詩子なりに光と啓太が何かを企てていることを察しているのかもしれない。光は啓太の手配で啓太の先輩のバイクに乗って飫肥の町を後にする。光を乗せたバイクが走っているのは、酒谷川の河岸、前鶴橋の下流側のあたりだ。
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