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八王子市南大沢
南大沢八幡神社
April 2003
南大沢八幡神社
八王子市南大沢一丁目に八幡神社が鎮座している。すぐ南側には多摩ニュータウン通りが走り、南大沢駅にも近く、周辺は大型スーパーやアウトレットモールなどが立ち並んで賑やかだが、神社の建つ一角はそうした喧噪から少しだけ距離を置いて今も静けさを保っているようにも見える。神社はこのあたりが多摩ニュータウンとして造成される以前から、この同じ場所に建っているという。その境内から見える風景もすっかり変わってしまって昔の面影を探すのも難しいが、その変遷をこの神社はじっと見つめ続けてきたのだろう。
南大沢八幡神社南大沢八幡神社

造成された新興住宅街の中に残される社寺は、その敷地と社殿だけが辛うじて残され、周囲に広がっていた「鎮守の森」は跡形もなくなくなってしまうことも少なくないが、南大沢の八幡神社はその北側に松木日向緑地を背負って今も深い森の中に佇んでいるような印象がある。その意味ではニュータウンの中に残された神社としては幸せな方であるかもしれない。
南大沢八幡神社オオツクバネガシ
この八幡神社は境内に市指定天然記念物のオオツクバネガシがあることでよく知られている。鳥居をくぐって階段を上り、社殿を前にしてその右手に、そのオオツクバネガシが立っている。一見するとそれほどの巨木には見えないが、樹木の傍らに設置された解説によれば、樹高25メートル、目通り5.8メートル、樹齢はおよそ六百年という堂々とした樹木で、市内最大級のカシであるという。この樹木はその古さ、大きさだけでなく、明治13年の神社の火災で焼けながらも生きながらえているという点でも注目に値する。その被災のために太い幹には大きな空洞があるが、それでも衰えることなく、生き続けている。

オオツクバネガシはアカガシとツクバネガシの間種であるらしい。解説によれば、「ツクバネガシ」は「衝羽根樫」と書き、葉が小枝に先に四枚出ているのが正月の遊びの「追い羽根」に使う羽根に似ていることから、この名があるのだという。
神社の境内は南大沢駅周辺の賑やかさからも少し離れて穏やかな空気に包まれている。横手には末広稲荷大明神の祠が建っており、この一角だけが周囲とは違う時の流れの中にあるような印象もある。普段はあまり人の姿もないが、正月にはそれなりに初詣の参拝客が訪れるという。神社前の道路を西に少し上がると松木日向緑地の梅林の一角への入口がある。それらと併せて、少し散策を楽しむのもよいものだろう。
南大沢八幡神社