横浜線沿線散歩街角散歩
八王子市中野上町
中野上町東部
Visited in February 2022
中野上町東部
八王子市中心市街の北側、浅川の北岸に中野上町という町がある。浅川と川口川の合流点の西側に位置しており、浅川と川口川に挟まれた立地だ。今回、浅川橋から中野上町へと歩を進めて、中野上町の東部を歩いてみたい。
中野上町東部 八王子市の市街地を甲州街道(国号20号)が東西に抜けている。そもそも八王子は甲州道中の宿場として賑わった土地柄だ。「八日町」交差点から「八幡町」交差点までは甲州街道(国道20号)と国道16号の重複区間で、国道16号は「八幡町」交差点から大横町を抜けて北へ延び、浅川橋で浅川を渡る。

この浅川橋の橋上、真ん中辺りに「浅川橋」バス停が設けられている。なぜ橋の上にバス停が設けられたのか、少し興味を覚える。この「浅川橋」バス停から中野上町散策へ出発したい。

中野上町東部 「浅川橋」を北へ渡ると「中野上町」交差点、周辺は中野上町一丁目だ。まずは浅川と川口川との合流点を見ていこう。信号が変わるのを待って国道16号を横断し、浅川沿いの道を東へ辿る。

200mほど歩くと中野橋が川口川を跨いでいる。そのすぐ下流側で川口川が浅川に合流する。川の合流点というものに何故か心惹かれる。中野橋の上から浅川に合流する川口川の様子をしばらく眺めてみる。立春を過ぎてもまだ季節は冬と言っていい。河原の草も冬枯れの姿だ。河原には白鷺の姿があった。ダイサギだろうか。

中野上町東部 中野橋は1987年(昭和62年)に架けられた橋で、比較的新しい橋だ。幅員は広くないが、ほとんど通り抜ける車はなく、広い橋でなくても不便はないようだ。

中野橋の親柱にはアユを象ったレリーフやモニュメントが施されている。浅川にはアユが遡上し、鮎釣りの解禁期間には釣り人の姿を見ることもある。川口川との合流点近く、この中野橋の付近は鮎釣りのポイントでもあるらしい。
中野上町東部 中野橋付近の眺めを堪能した後は、川口川に沿って上流側へと辿っていこう。すぐに国道16号だ。川口川橋が川口川に架かっている。信号を待って国道16号を横切り、川口川の左岸の道を上流側へと辿っていく。国道16号の西側の川口川右岸側(南側)は中野上町二丁目、左岸側は中野山王一丁目の町だ。

国道16号から200mと少し行ったところに「咳守橋」という人道橋が架かっている。不思議な名の橋だ。「堰」ではなく「咳」なのか。調べてみると、そもそもは「堰守」の地名があったようだ。川口川も昔は雨が続くと氾濫などが起こって大きな被害をもたらすことがあった。かつてこの付近に川の様子を見張るための小屋があり、水害に備えていたらしい。そこから「堰守」の名があるようだ。それが時代を経て「咳守」に転じたものだが、昔、百日咳が流行った際に近くの稲荷社に祈願して収まったことから「咳守」になったとも言う。いずれにしても昔のことで、正確な詳細はわからない。

中野上町東部 咳守橋からさらに川口川の右岸を上流側へと進もう。川の両岸は住宅地だ。やがて川口川は緩やかな蛇行を見せる。八王子市立第九小学校の北側を通り、山王橋を過ぎると中野上町二丁目から中野上町三丁目になる。咳守橋から山王橋までおよそ400mだ。

山王橋から150mほどで新山王橋、「中野中央通り」が川口川を跨ぐ。新山王橋の上流側、川口川の左岸には都営住宅が建っており、“団地マニア”の心をくすぐるような風景が楽しめる。団地の中には中田遺跡公園もあるから、のんびりと一回りしてみるのも楽しい。
中野上町東部 新山王橋の辺りで川口川の河岸を離れて、中野中央通りを西へ向かおう。中野中央通りは秋川街道の「八王子市役所北」交差点と国道16号の「稲荷坂南」交差点を繋ぐ市道で、全線が開通したのは比較的最近のことだ。新山王橋の架橋が2008年(平成20年)のことだから、中野中央通りの全線開通もその頃だろう。

中野中央通りが全線開通するまで、特に新山王橋の西側辺りでは細い路地を通り抜けなくてはならなかった。その頃に比べれば今はすっかり便利になった。

中野上町東部 新山王橋の西、中野中央通りの南側に、鬱蒼と木々の茂る一角がある。何かの施設だろうかと思ってしまうが、個人宅のようだ。このお宅の周囲を回る細道がなかなか良い風情だ。特に南側の道がいい。ところどころで南側へ下りる坂道があるが、この坂道の風情はさらにいい。

この辺りは段丘崖の崖線が通るところで、少し西側に位置する日本機械工業はこの崖線の南側の際にあり、敷地内には今も湧水があるという。この日本機械工業の敷地は八王子の織物産業が盛んだった頃には片倉製糸紡績の大きな工場があったところだ。湧水に恵まれていたからだ。
中野上町東部 この辺りから東へ戻っていこう。第九小学校西側の交差点の角に小さな稲荷神社が祀られている。社の横には「御大典記念」と刻まれた石碑が建っている。

稲荷社の横から第九小学校南側の細道を東へ進んでいこう。進んで行くと車両の通り抜けができないような細道があった。「この先行き止まり 車両通過出来ません」との注意看板も立てられていた。こういう細道を抜けて行くのも町散策の楽しみのひとつだ。細道を抜け出たら少し西へ戻って交差点を南へ向かおう。
中野上町東部 中野上町二丁目の町から中野上町一丁目の町へ、気の向くままに道を選んで歩いてみる。住宅街の中に細い道があったり、興味深い建物があったり、いろいろな出会いがあって楽しい。

とりあえず浅川の河岸に出てみよう。ちょうど荻原橋の東側の辺りだ。河原の草木もまだ冬枯れの風景で、澄んだ冬空が美しい。すこしだけ河岸の道を歩き、再び中野上町一丁目の町中へ戻る。

中野上町東部 中野上町一丁目の町を歩いていると“のこぎり屋根”の建物に出会った。かつて織物工場として使われていた建物だろう。最近では見かける機会も少なくなった“のこぎり屋根”の建物に、懐かしいような思いでカメラを向けた。

八王子の織物産業が斜陽の時代を迎えてもしばらくは、かつての隆盛を物語るかのように市内各地にこうした建物が残っていたが、近年、すっかり少なくなった。この建物が今どのように使われているのかわからないが、やがて取り壊されてしまう日がやってくるだろう。

中野上町東部 中野上町一丁目の町を北へ向かう。やがて少し広い道に出る。国道16号の「川口川橋南」交差点から秋川街道を繋ぐ道路で、この道路が中野上町一丁目と二丁目の境になっている。道路の南側が一丁目、北側が二丁目だ。

この道路沿い、北側の中野上町二丁目に中野町公園という公園がある。広場を中心に構成された、小さな街区公園だが、公園名が「中野町公園」であるところが興味深い。そもそも「中野上町」は1977年(昭和52年)に中野町と元横山町の各一部地域を再編して誕生した町だが、中野町公園はそれに先立つ1974年(昭和49年)に開園している。だから「中野上町公園」ではなく「中野町公園」というわけだ。

中野上町東部 中野町公園の道路向かいに南へ入り込む細い道がある。そこへ進んで途中で折れて東へ向かう。細道が途中で屈曲し、小さな用水路のような川の横に出た。進んで行くと別の細道にぶつかり、橋を渡って南に進むことができる。住宅地の中を細道が迷路のように抜けている。“探検気分”で道を選んでいくのが楽しい。進んで行くとやがて国道16号に抜け出た。

国道16号のこの辺りは昔は2車線(片側1車線)しかなく、慢性的に渋滞が発生するところだった。以前から拡幅工事が進められていたが、2017年(平成29年)から2018年(平成30年)にかけて4車線化の拡幅工事が終了、現在は交通の流れもスムーズになった。昔のことを思うと隔世の感がある。今回の中野上町散策はこの辺りで終わりにして、近くのバス停から帰路を辿ろう。
中野上町東部
中野上町や中野山王の辺りを、以前から歩いてみたいと思っていた。今回ようやく機会を設けて訪ねることができた。いろいろな発見があったが、中野上町一丁目で“のこぎり屋根”の建物に出会ったのも嬉しいことだった。次の機会には中野上町四丁目から五丁目、中野山王の辺りも訪ねてみたい。
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