幻想音楽夜話
Picks Log
ちょっと気になっている音楽やアーティストについて、あるいは気になった音楽シーンの話題について、「幻想音楽夜話」のトップページの「Picks」欄に短いコメントで気ままに記しています。このページはその「Picks」欄の過去ログです。「Picks」欄の過去ログは年毎にまとめてあります。メニューから表示ページを選択して下さい。最新のものは「幻想音楽夜話」トップページでどうぞ。
2017年個人的年間アルバムベスト3
このところ個人的に年末の恒例となった「個人的年間アルバムベスト3」。今年もやろう。購入したCDの中から、2017年に発売された「新作アルバム」と「復刻アルバム」、それぞれ3枚、選んでみた。順番は発売日順、上のものから1位、2位、3位ではない。「復刻アルバム」は必ずしも今年が初めての復刻というわけではない。

【新作】
「Return To Ommadawn / Mike Oldfield」
「Windy City / Alison Krauss」
「Chinese Butterfly / The Chick Corea + Steve Gadd Band」

今年も完全な新作アルバムをあまり買っていない。若いミュージシャンの音楽に食指を動かされることが少なくて、どうしてもベテランミュージシャンの新作の方に眼が向いてしまうので仕方が無い。その中で印象に残っていて、よく聴いたアルバムが上記の3作。Mike Oldfieldの「Return To Ommadawn」は70年代の「Ommadawn」へのオマージュ的作品だが、満足度は高かったぞ。Alison Kraussの「Windy City」は素晴らしく良かった。卓越した歌唱の生み出す情感というものを久しぶりに味わった気がする。個人的に今年のNo.1だ。The Chick Corea + Steve Gadd Bandの「Chinese Butterfly」は年末も近くなってからの発売だが、何しろChick CoreaとSteve Gaddの双頭バンドだ。悪いはずがない。素晴らしい演奏だ。「Return to Forever」の再演も収録されてて、これもなかなか聴き応えがあった。今年、The Pen Friend Clubは新作とベストアルバムを発表したが、新作も良かったし、ベストアルバムも良かった。しかし、まぁ、今年は次点ということにしておく。David Gilmourの「Live at Pompeii 2016」も悪くなかった。Pink Floyd時代の楽曲も演奏してて、にやにやしながら聴いたぞ。あ、そうそう、これも次点にしたが、ADAM atの「Echo Night」もよく聴いた。ADAM atの他のアルバムも聴いてみたいと思いつつ、まだ購入には至っていない。

【復刻】
「The September Wind / 松岡直也 & Wesing」
「COME ALONG / 山下達郎」
「Hotel California [40th Anniversary] / Eagles」

今年もいろいろと魅力的なリイシュー作品が発売されたな。まずは何と言っても松岡直也関連のアルバムのリマスタリングだ。お値段もリーズナブルで大人買いしたぞ。その中から個人的に当時よく聴いていたということで「The September Wind」を代表に挙げておく。山下達郎の「COME ALONG」と「COME ALONG 2」もまさかのリイシューだったな。もちろん「COME ALONG 3」とまとめて3枚買いましたとも。Eaglesの「Hotel California」の40th Anniversary EditionはBlu-ray Audio付きの「Deluxe Edition」じゃなくてCD2枚組の「Expanded Edition」の方を購入した。何と言っても、ボーナスディスクに収録されたライヴ音源が良かったな。 ウエストコースト関連では「SOUNDS OF WEST COAST 1300」シリーズのリイシューがなかなか良くてTom Johnstonの「Everything You've Heard Is True」やらThe Souther-Hillman-Furay Bandの「Trouble In Paradise」、Nicolette Larsonの「Radioland」、Jim Messinaの「Messina」といったところを購入したぞ。「アントニオ・カルロス・ジョビン生誕90周年」で発売されたStan Getz関連の「Stan Getz With Guest Artist Laurindo Almeida」とか「Jazz Samba Encore!」、Astrud Gilberto関連の「Beach Samba」や「A Certain Smile, A Certain Sadness」といった作品がお手頃価格でリイシューされたのも個人的には嬉しかった。金澤寿和氏監修の「AOR CITY 1000」シリーズ第2弾もいいものが多くて、Eric Carmenの「Sunrise」と「Change Of Heart」、Bob Welchの「「Bob Welch」と「Eye Contact」などは持っていなかったので買ってしまった。ボックスものでも嬉しいリイシューが多くて、金子マリ&バックスバニーのアルバム・コンプリート・ボックスとか、輸入盤だがGrand Funk Railroadの「Trunk Of Funk Vol.1」と「Trunk Of Funk Vol.2」、Focusの「Hocus Pocus Box」、Sweetの「Sensational Sweet (Chapter One: The Wild Bunch)」などは購入したぞ。The Moody Bluesの「Days Of Future Passed [50th Anniversary Edition]」ももちろん買ったぞ。それから今年のリイシューで忘れてはいけないのが、Vol.1からVol.4まで4枚発売された「Soft Rock Nuggets」のコンピ盤だ。これが素晴らしい内容だった。来年も魅力的なリイシューをお願いしたい。
December 28, 2017
Give More Love / Ringo Starr
リンゴ・スターの19枚目のオリジナル・アルバムだ(国内盤は9月15日発売)。また例によって豪華なミュージシャンとの共作曲を豪華なゲストを迎えて録音している。リンゴ・スター、御年77歳。この年齢になれば、“枯れた味わい”というものを漂わせる作風になってもよさそうなものだが、そんなことはない。未だに現役感バリバリのアルバムだ。「バック・オフ・ブーガルー」や「想い出のフォトグラフ」の再演も注目。
November 11, 2017
君はロックを聴かない / あいみょん
8月2日に発売された、あいみょんのメジャー・サード・シングルだ。このところInterFM897で何度もオンエアされていたので知っている人も多いだろうと思う。あいみょんというシンガー/ソングライターのことをそれほどよく知らないし、特にファンだというわけでもないが、この楽曲は希に見る名曲だろうと思う。今までありそうでなかった詞世界、せつないメロディー、そして何より、あいみょんの歌唱と声が素晴らしい。力強くぐいぐいとこちらの心に食い込んでくる。思わず聞き惚れてしまう。こんな感触、久しぶりだ。
September 22, 2017
ウォルター・ベッカーを悼む
Walter Beckerが9月3日に亡くなったと公式サイトで発表された。67歳だった。Steely Danは大好きだった。「Do It Again」や「Rikki Don't Lose That Number」とか、特に好きだったな。もちろん、「Peg」や「Babylon Sisters」も大好きだ。心よりご冥福をお祈りします。
September 12, 2017
Soft Rock Nuggets
同好の諸氏よ、Soft Rock NuggetsシリーズのCD(全4枚)はもう入手したかな。まだの方があったら、今すぐに入手すべし。素晴らしい内容だぞ。Harpers BizarreやThe Association、Roger NicholsなどのSoft Rockの有名どころからJohn Carter関連物、The Tokens、The Vogues、The Anita Kerr Singers、さらにコアなものまで、これでもかという網羅ぶりだ。恥ずかしながら「こんなの初めて聴くぞ」というものも少なからずあった。収録されているのは1965年から1970年にかけての楽曲だ。こんな素敵な音楽に溢れた時代があったのだ。
July 5, 2017
Windy City / Alison Krauss
アリソン・クラウスの最新作が17年ぶりのソロ・アルバムで、カントリー/ブルーグラスのスタンダード曲のカヴァー集だというので、ちょっと期待したものがあって購入した(国内盤は3月8日に発売済み)。いや、期待通りの素晴らしさだ。そもそもアリソンは歌のうまい人だし、楽曲も名曲揃い。悪いわけがない。心に染みいる歌声、というやつだ。しばらくは愛聴盤になりそうだ。
June 8, 2017
グレッグ・オールマンを悼む
グレッグ・オールマンが27日、亡くなった。69歳だった。70年代当時はオールマン・ブラザース・バンドをあまり聴かなかったが、今では大好きだ。「Idlewild South」や「At The Fillmore East」、「Eat A Peach」などなど、80年代以降になってからよく聴いた。ついにグレッグもデュエインのもとへ行ったのだな。今夜はオールマン・ブラザース・バンドを聴こう。心よりご冥福をお祈りします。
May 30, 2017
Novum / Procol Harum
プロコル・ハルムの14年ぶりのオリジナル・アルバムだ。アルバム・タイトルの「Novum」はラテン語で、「New」の意味だそうだ。プロコル・ハルムと言っても、要するにゲイリー・ブルッカー&バンドなわけだが、彼の歌声を聴くだけで「プロコル・ハルム」だなぁと感じてしまうのも確かだな。なかなか良いアルバムだぞ。往年のファンは聴くべし。
May 22, 2017
Echo Night / ADAM at
このところ車の中で聴いているのが、これだ。「ADAM at」というのは、キーボーディスト/ピアニストを中心に、他のメンバーはセッション毎に異なるというバンドだそうだ。「Echo Night」が3枚目のフル・アルバムだそうで、2011年から浜松で活動していて、2014年に最初のミニ・アルバムが発表されている。ジャズの分野では話題になったようだが、まったく知らなかった。それにしても、この怒濤のグルーヴ感は何だ。すごいぞ。
April 27, 2017
アラン・ホールズワースを悼む
アラン・ホールズワースが亡くなった。彼の娘が16日のFacebookで訃報を伝えたそうだ。個人的には特に彼のファンだというわけではなかったが、ソフト・マシーンやテンペストなど、彼の参加した作品は大好きだった。彼の卓越したギター・プレイも好きだった。彼を偲んでテンペストを聴こう。心からご冥福をお祈りします。
April 18, 2017
Return To Ommadawn / Mike Oldfield
できれば国内盤で買いたいと思っていたのだが、国内盤がリリースされないので、けっきょく輸入盤を購入して、ようやく聴いている。「Ommadawn」の続編的作品ということで、1970年代当時のようにMike Oldfieldがひとりでさまざまな楽器を操り、制作したもののようだ。パート1とパート2の二部構成、それぞれ20分ほどという楽曲の長さも往年の作品を踏襲したものだ。うん、やっぱりMike Oldfieldはこうでなくちゃ、と思いながら聴いている。随所に「Ommadawn」のモチーフが見え隠れするのもいいぞ。大満足だ。
March 29, 2017
チャック・ベリーを悼む
3月18日、チャック・ベリーが亡くなった。90歳だった。偉大なロックン・ローラーだった。心からご冥福を祈りします。
March 20, 2017
ムッシュかまやつを悼む
ムッシュかまやつが、1日、亡くなった。78歳だった。個人的には、今も彼はザ・スパイダースのメンバーだ。だから、彼の名は今でも「かまやつひろし」、「ムッシュ」が通称という感覚で、「ムッシュかまやつ」の芸名には違和感がある。「あの時君は若かった」や「フリフリ」、「バン・バン・バン」、「いつまでもどこまでも」などの楽曲が好きだったな。心よりご冥福をお祈りします。
March 3, 2017
Wonderful World Of The Pen Friend Club
The Pen Friend Clubの4作目だ。またリード・ヴォーカルが替わった。しかし新しいボーカリストもしっかりThe Pen Friend Clubのコンセプトに相応しい声質と歌唱の持ち主だ。収録曲は全10曲、例によってステレオとモノの両ヴァージョン収録で全20トラックだ。日本語詞のオリジナル曲が前回より増えた。どの曲も素敵だ。大滝詠一の「夏のペーパーバック」やロネッツの「Born To Be Together」、ビーチボーイズの「Sherry She Needs Me」といったカヴァーはいかにも、といったところだが、アイク&ティナ・ターナーの「River Deep - Mountain High」やフィフス・ディメンションの「Love's Lines, Angles and Rhymes」のカヴァーは新境地といったところか。それも悪くないぞ。それにしても「Sound Of」、「Spirit Of」、「Season Of」ときて、次は何だろうと思っていたら「Wonderful World Of」だ。さて、次は何かな。そのアルバムタイトルをそのまま曲名にしたインストゥルメンタル曲「Wonderful World Of The Pen Friend Club」もとってもいいぞ。
February 15, 2017
ジョン・ウェットンを悼む
ジョン・ウェットンが、1月31日、亡くなった。癌で闘病中だったそうで、就寝してそのまま亡くなったらしい。享年67。個人的には特に「ジョン・ウェットンのファン」だったことはないが、ロック・シーン、特にプログレッシヴ・ロック・シーンに於ける彼の貢献度の大きさには改めて敬意を表したい。彼を偲んで、久しぶりにキング・クリムゾンの「Red」を聴こう。心からご冥福をお祈りします。
February 2, 2017
Kikagaku Moyo(幾何学模様)
Kikagaku Moyo(幾何学模様)というバンドのことがちょっと気になっている。東京出身の日本人のバンドだが、アメリカで活動中らしい。だから日本で買えるCDは“輸入盤”なのだな。InterFMの「Ready Steady George!!」でGeorge Williamsがプッシュしていて、それで知ったのだが、なかなかサイケなサウンドでいいんじゃないかと思っている。「Kogarashi」という曲がお気に入りだが、他の曲もいいぞ。それにしても、この「Kogarashi」という曲を聴いて、既視感に似た思いを抱いたのだが、何に似ているのだろう。思い出せない。
January 27, 2017
ピエール・バルーと石坂敬一氏を悼む
遅くなってしまったが、やはり書いておこう。昨年の暮れ、ピエール・バルーと石坂敬一氏が亡くなった。ピエール・バルーはフランスの俳優、ミュージシャン。クロード・ルルーシュ監督作品の映画「男と女」(1966年公開)で主役と主題歌の作詞、歌を務めた。28日、心臓発作だったそうだ。享年82。石坂敬一氏はユニバーサル・ミュージック会長や日本レコード協会会長、ワーナーミュージック・ジャパン会長などを歴任した日本音楽業界の重鎮だが、若い頃には東芝EMIの音楽ディレクターとしてビートルズやピンク・フロイドなどを手がけた。1960年代から1970年代にかけて洋楽を聴いていた者なら石坂氏の名を知らない者はいない、と言っていいほど、当時の日本に於ける洋楽のマーケティングに貢献した。ピンク・フロイドの「Atom Heart Mother」に「原子心母」という秀逸な邦題を付け、さらに帯に「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」という有名なキャッチコピーを付けたのも石坂氏である。このコピーが「プログレッシヴ・ロック」という呼称を一般に広めたと言っても過言ではない。31日、入浴中に倒れているのを家族が見つけたそうだ。71歳だった。心よりご冥福をお祈りします。
January 11, 2017
昨年の紅白歌合戦への批判に思う
ちょっと遅くなってしまったが、紅白歌合戦の話題だ。まるで恒例になったかのように、今回も紅白への批判が目についた。まぁ、確かに、いろいろと不満はある。首をかしげたくなるような演出も少なくなかった。「原点に立ち返れ」的な意見にも賛同できる部分もある。しかし、だ。昨今の紅白批判には少し違和感を覚えることがある。「紅白が面白くなくなった、楽しめなくなった」的な論調だ。では、訊くが、昔の紅白は面白かったのか? 昔の紅白は楽しめたのか? そうは思わない。昔から、紅白歌合戦は面白くなく、楽しめないものだった。それでも見ていたのは、親が見ていたから一緒に見ていたという理由だったり、好きな歌手が出演するからという理由だったり、「年末は紅白だよね」といったわけのわからない理由からだった。ある年代の頃にはまったく見ていない時期もあった。それでいいんじゃないかと思う。だから昨年の紅白も、あれはあれでいいと思うのだ。基本的に面白くないが、どこかひとつは、楽しめる部分があるものだ。それでいい。シン・ゴジラの登場も、タモリさんとマツコさんの寸劇も、個人的には楽しめたぞ。残念なのは、そして致命的なのは、誰の歌唱も印象に残っていないということだ。でも、ま、それもそれでいいんだろうと思うのだ。最後に一言だけ言っておく。ガッキー、ほんの数秒、手の振りだけでも踊ってくれてありがとう。あれが昨年の紅白の最高の瞬間だった。
January 8, 2017