横浜市港北区大倉山の太尾見晴らしの丘公園には数は少ないながらも梅が植えられており、早春には鮮やかな色彩を添えてくれる。梅の咲く風景に春の訪れを感じながら、のんびりと散策を楽しむことができる。

太尾見晴らしの丘公園に植えられた梅はほんの数本、“梅林”と呼べるほどの規模ではない。植えられているのは公園の北端部、「眺めの広場」と名付けられた一角だ。白梅もあるようだが、紅梅が多い。疎らに植えられた梅が、場所によってさまざまな表情を見せて美しい。北側から眺めれば中央部の広場で遊ぶ人たちの姿が梅の花の向こうに見えて、なかなか興趣に富んだ景観だ。

「眺めの広場」は、「眺め」という名が意味するように、北端部から鶴見川河岸の風景を見下ろすことができる。梅の花と共にその眺望を楽しむのもよいものだ。

中央部の広場の草地ではオオイヌノフグリやホトケノザが咲いている。これも春の訪れを告げる花のひとつと言っていい。珍しい花ではないが、可憐な姿が良い風情だ。こうした花々にも目をとめておきたい。

園内には地元の人の姿がちらほらとあるくらいで、観梅客の姿はまったくない。観梅を楽しむには物足りないということもあるのか、地元の人以外にはこの公園に訪れる人もあまりいないのかもしれない。そのお陰で喧噪とは無縁の静かな観梅散歩を楽しむことができる。

早春の太尾見晴らしの丘公園は、梅の木の数も多くはなく、“名木”と言えるような梅も無く、観梅を目的に訪れるには物足りなさがあるだろう。しかし、人の姿の少ない公園で、のんびりと梅の咲く風景を楽しむのも良いものだ。人混みの喧噪が苦手な人にはお勧めかもしれない。