横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市緑区北八朔町
北八朔公園
Visited in July 2024
北八朔公園
横浜市緑区の北部、青葉区に接する北八朔町の北端部近くに、公園名に町の名を冠した北八朔公園が設けられている。1999年(平成11年)に開園した公園で、7.7haの面積を有している。谷戸の地形を活かした、昔ながらの里山風景を残した公園だ。自然豊かな園内ではさまざまな山野草を見つけることもでき、里山散策の愉しみを存分に味わえる。
北八朔公園 北八朔町は鶴見川流域の農耕地帯と緑豊かな丘陵が広がる長閑なところで、昔ながらの里山と谷戸の風景が多く残っている。北八朔公園の谷戸もそうした場所のひとつで、しかし公園として整備される以前は放置されて荒れ果てていたのだという。

1998年(平成10年)に緑区役所からの呼びかけで北八朔公園愛護会準備会が発足、自然環境の保全活動や整備などを経て、1999年(平成11年)の春に里山と谷戸の景観を残す公園として、北八朔公園が開園している。公園としての整備からその維持に至る経緯は、半ば見捨てられ荒れ果てていたこの地を誰もが身近に自然に触れることのできる公園として蘇生させることであったと言うこともできるかもしれない。

面積は7.7ヘクタールほどで決して広大な敷地というわけではないが、雑木林の丘に囲まれた谷戸の風情はどこか懐かしく心落ち着くものだ。公園の整備管理は地元有志による北八朔公園愛護会によって行われているという。園内は荒れた印象はまったくなく、愛護会の人々の公園に対する愛情を感じる。
北八朔公園 東側、道路に面して公園正面口が設けられている。公園の名標が置かれ、花壇も整備されて、いかにも公園のメインエントランスという佇まいだ。花壇には季節の花が植えられており、普段から整備が行き届いていることをうかがわせる。

公園正面口から園内に入ると「里山広場」と名付けられた広場が出迎えてくれる。草はらになった広場には随所にベンチが置かれ、ケヤキが葉を茂らせて木陰を落としている。基本的に谷戸の地形だから開放感という点では物足りないが、木々に包まれて落ち着いた空気感が魅力的だ。

北八朔公園 広場の南側脇を園路が公園奥へ向かって延びている。園路と南側の丘との間には沢が沿っていて、水際まで降りていけるように整備されている場所もあって楽しい。進んでいくと、遊歩道右手、広場の西側にも池がある。谷戸が公園として整備された時に併せて整備されたものらしい。池には葦が茂っている。

さらに園路を谷戸の奥へと進んでいくと、やがて谷戸は狭まって両脇に雑木林が迫る。炭焼き小屋などもあって、昔ながらの里山を彷彿とさせる光景が広がっている。谷戸の最も奥まったところはぽっかりと開けた空間だ。「チョウチョ広場」と名付けられ、木々に包まれてひっそりとした草はらが横たわっている。

北八朔公園 谷戸に沿った園路の途中から南側の斜面林に分け入る小径がある。辿っていった先には見事な竹林がある。竹林の中の小径を歩けば、谷戸の園路とはまた違った表情を愉しむことができる。

炭焼き小屋の脇からは北側の斜面林の中を辿る小径へ入っていける。鬱蒼とした雑木林だ。林の中を東西に辿る小径を西へ進めば、東名高速道の港北PA横手に抜け出る。東名高速道路を小さな橋で渡れば、梅が丘と千草台の住宅街が広がっている。
北八朔公園 公園のすぐ北側には横浜市立緑が丘中学校が、南側には横浜市立山下みどり台小学校が建っている。以前、公園内でスケッチをする中学生の姿を見たことがあった。学校の生徒、児童たちはおそらくそうやって日常的に公園を利用しているのだろう。公園整備のためのボランティア活動にも参加しているのかもしれない。

今回訪れたとき(2024年7月)、園内の随所に小学生による“案内解説板”が設置されていた。可愛らしい絵と筆致に思わず笑みがこぼれる。画用紙に描いたものにラミネート処理を施しただけのもののようだから、常にあるわけではないのだろう。素敵な案内板である。
北八朔公園
北八朔公園は特筆するほど規模の大きな公園ではなく、間近まで住宅街の迫る立地では少々興をそがれるところもあって、「里山の自然」といったものを期待して遠方から訪れるような性格の公園ではないかもしれない。しかしそれでも園内は雑木林に囲まれた谷戸の風情を充分に保っており、ひととき喧噪を忘れてゆったりとした散策を楽しむことができる。この地域に暮らす人々にとっては大切な場所であることだろう。

北八朔公園は東急田園都市線藤が丘駅や横浜市営地下鉄グリーンライン川和駅などが最寄りだが、どちらも少しばかり距離がある。北八朔公園には来園者用有料駐車場が設けられており、さらに近くにコインパーキングもあり、車での来園が便利だ。
北八朔公園
北八朔公園
北八朔公園
北八朔公園
北八朔公園