八王子市別所
蓮生寺公園
Visited in May 2023

八王子市別所一丁目の北部に蓮生寺という寺がある。その蓮生寺の北側に蓮生寺公園という野趣溢れる公園が設けられている。1998年(平成10年)に開園したもので、6.7haほどの面積を有する「近隣公園」だ。このあたりは多摩ニュータウンの近代的な街並みの広がる地域だが、造成以前は豊かな自然の広がるところだった。その自然を活かし、蓮生寺の“鎮守の森”だった樹林もそのまま残し、自然保全型の都市公園として整備されたのが蓮生寺公園だ。公園は雑木林の丘とその周辺部で構成されており、その中を散策路が辿り、広場などが置かれている。散策路は「ふくろうの道」、「どんぐりの道」、「ひぐらしの道」などといった名が付けられている。気軽に自然に触れることのできる公園だ。

「門前広場」はそれほど広い場所ではないが、四阿なども置かれ、のんびりとした雰囲気だ。「門前広場」の南側の一角には藤棚も設けられている。特筆するほど規模の大きな藤棚ではないが、咲き誇る藤はやはり美しい。

尾根道は「どんぐりの道」という名で、北の「展望広場」と南西側の「とちの木ひろば」とを繋いでいる。「どんぐりの道」は比較的広く造られており、勾配もなく、木々に囲まれて野鳥の声を聴きながらの散策が楽しい。

「ふくろうの家」は屋上部分に上がることができる。屋上からは西南の方角に視界が開けており、多摩ニュータウンの街並みの向こうに丹沢の山々を望むことができる。天候に恵まれれば富士山の姿を見ることもできるようだ。

「さえずり橋」と名付けられた吊り橋は林の湧水を集めた沢に架けられたもので、堅牢な造りだがわずかに上下にふわりふわりと揺れるあたりは吊り橋の風情を感じさせて楽しい。下から見上げる様子もよく、傍らのミズキが枝を伸ばした様子も美しい。

京王線の線路が近いためにときどき電車の音が聞こえてくるし、横の道路を通る車の音も届くが、「さえずり橋」の方へと入り込むとそれらの音もほとんど気にならなくなり、あたりは鳥の声が満ちるばかりだ。

その「めがね橋」を渡る道路は、公園の西側を回り込んで抜ける「蓮生寺公園通り」で、橋の袂の階段を南へ上がると公園駐車場がある。「めがね橋」をくぐって北方へ歩を進めるとすぐに京王線の線路をくぐり、松木小学校や松木川端公園の傍らを抜けて多摩ニュータウン通りへと抜け出る。

「展望広場」はその名が示すように、かつては北へ向かって視界が開け、大栗川河畔の町並みを一望できたのだが、現在は公園内の木々が大きく茂って視界を遮り、あまり眺望は楽しめない。それでも尾根の上は気持ちが良く、吹き抜ける風は爽快だ。多摩ニュータウン通りを通る車の音も届いてはくるが、それほど気になることもない。ひととき腰を下ろして風に吹かれて過ごすのもいい。

広場には滑り台やジャングルジム、幼児用のスプリング遊具などが設置され、隅には四阿も置かれ、トイレも設置されている。

「みはらしの道」は送電線の鉄塔の建つ敷地の傍らを抜けて丘を登ってゆき、やがて南側の「門前広場」の方から延びてきた道と合流する。そちらの小道には「つみくさの道」という名がついている。「つみくさの道」は「門前広場」から草はらの脇を通り抜けて「みはらしの道」へと合流する形で延びているのだが、このあたりも昔ながらの風情が感じられて楽しい。「つみくさの道」というその名もなかなか素敵なネーミングだという気がする。




多摩ニュータウンの街の中にこれだけの自然が残っているというのはなかなか素晴らしく、吊り橋などがあったりするのも楽しい。生い茂る雑木の木立とその中に聞こえる野鳥の声などは、多摩ニュータウンの中にあっては貴重なものと言えるし、その中で味わう四季折々の自然の表情には心が和む。
「とちの木ひろば」から傍らの小径を辿って公園の外へと抜け出ると浄瑠璃緑地が近く、「門前広場」から東へ辿れば別所花立公園やせせらぎ緑道、別所公園などもある。近辺の散策足を延ばしてみるのもお勧めだ。
「とちの木ひろば」から傍らの小径を辿って公園の外へと抜け出ると浄瑠璃緑地が近く、「門前広場」から東へ辿れば別所花立公園やせせらぎ緑道、別所公園などもある。近辺の散策足を延ばしてみるのもお勧めだ。


