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多摩市落合
東京都立埋蔵文化財センター
Visited in October 2023
東京都立埋蔵文化財センター
多摩センター駅前から線路の南側に沿って300mほど東に進んだところに「東京都立埋蔵文化財センター」がある。東京都の埋蔵文化財(わかりやすく言えば土中に埋もれた遺跡のこと)を調査研究、出土品の展示などを行い、文化財保護や文化振興を図るための施設だ。
東京都立埋蔵文化財センター 「東京都立埋蔵文化財センター」は東京都埋蔵文化財センターが管理運営し、その活動の拠点として使用している施設である。名称が酷似しているために紛らわしいが、東京都埋蔵文化財センターは“組織”の名称、「東京都立埋蔵文化財センター」は“施設”の名称である(わかりやすくするため、本頁内では施設名称の「東京都立埋蔵文化財センター」にはカギ括弧を付加して表記する)。

組織としての東京都埋蔵文化財センターは1965年(昭和40年)に「多摩ニュータウン遺跡調査会」が発足したことに始まるようだ。この年、多摩ニュータウンの都市計画が決定され、建設が始まっている。開発以前の多摩ニュータウン地域には旧石器時代から江戸時代までの数多くの遺跡が点在していた。これらを発掘、調査、研究、保全、継承していくことが必要だったわけだ。東京都埋蔵文化財センターは1980年(昭和55年)に財団法人として設立、1985年(昭和60年)に新たに開設された「東京都立埋蔵文化財センター」内に移転して、ここを活動拠点として今に至っている。その他、東京都埋蔵文化財センターの沿革や活動内容の詳細は公式サイト(頁末、「関連する外部ウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
東京都立埋蔵文化財センター 「東京都立埋蔵文化財センター」には多摩ニュータウンで発見されたさまざまな出土品が展示されている。旧石器時代から江戸時代まで、時代を追って開設されているのでわかりやすく、楽しく見学していくことができる。展示されているものの他にも数多くの所蔵品があるわけだが、これもガラス越しに見ることができる。

その他、体験コーナーや関連図書の閲覧コーナーなども設けられている。土器の復元を模擬体験できるパズルや土器に模様をつける体験、昔の火おこし道具である「まいぎり」の体験などのコーナーは子どもたちでも楽しめるだろう。
東京都立埋蔵文化財センター 「東京都立埋蔵文化財センター」の建物の東側には「遺跡庭園 縄文の森」が設けられている。「多摩ニュータウンNo.57遺跡(縄文時代集落)に盛土をして、当時の多摩丘陵の景観を復元したもの」(東京都埋蔵文化財センター公式サイトより)だそうである。

園内には縄文時代の住居を復元したものが3棟あり、往時の風景を想像することも難しくない。そのうちの1棟では定期的に住居内の炉で火焚きが行われ、縄文の人々の暮らしのひとこまを体験することもできる。

東京都立埋蔵文化財センター 当時、この地域にはクヌギやコナラ、トチノキ、クリなどの落葉広葉樹を中心にした豊かな森が広がっていたと推定されるそうで、「縄文の森」は当時の村の周囲に生えていた草木を50種類以上植え、当時の森を再現しているという。

北斜面下の谷筋には湧き水を溜める水場も残されている。今では湧水は涸れてしまっているが、かつては日照りが続いても涸れることがなかったらしい。水場には小さな石の祠が祀られている。つい最近まで、人々の暮らしを支える大切な水場だったのだろう。
東京都立埋蔵文化財センター
「東京都立埋蔵文化財センター」に展示された資料の数々を見学し、「遺跡庭園 縄文の森」を散策し、今は多摩ニュータウンとなった丘陵の歴史を学んで、縄文の頃から続いた人々の暮らしに思いを馳せるのは興味深く、楽しいひとときだ。

「東京都立埋蔵文化財センター」は多摩センターの駅から徒歩数分の距離で、気軽に訪れることができるのが嬉しい。「東京都立埋蔵文化財センター」も「遺跡庭園 縄文の森」も入館料、入園料は必要なく、無料で見学できる。多摩丘陵の歴史に興味のある人にはお勧めの施設である。
東京都立埋蔵文化財センター
東京都立埋蔵文化財センター
東京都立埋蔵文化財センター
東京都立埋蔵文化財センター