横浜市緑区新治町〜三保町
梅田川
Visited in September 2002

夏の名残も失せてようやく秋の気配が漂い始めた九月の半ば、恩田川の支流である梅田川に沿って歩いてみた。梅田川の河畔には「新治市民の森」などもあり、自然がよく残って散策も楽しいところだ。この付近には何度か訪れたことはあったのだが、初秋の頃を選んで梅田川に沿って源流域の「三保市民の森」のあたりまで歩いてみたいと思ったのだった。
梅田川は、鶴見川の支流である恩田川の、そのまた支流で、三保町の奧部を源流域にして三保町と新治町の境に沿うように流れている。梅田川の河畔へ至るには横浜線の十日市場駅から新治小学校のあたりを目指すのが近いが、今回は敢えて十日市場駅から東へ向かい、いったん恩田川沿いに出た後に梅田川へと辿ってみた。
十日市場駅を北へ出て、住宅街の中の道を東へ向かうと、宝袋寺横の交差点の角に馬頭観音がある。整然とした住宅街には少々不釣り合いだが、傍らに設置された解説によれば、中山長津田街道から八朔方面へと至る分岐点に昔からあったもので、昭和初期の道路改修時に横浜線の踏切横へ移動され、さらに1978年(昭和53年)に区画整理事業のためにこの場所へ移ったものなのだそうだ。この交差点を抜ける道路は今でも西八朔町方面へと通じて交通量も多いが、馬頭観音に気付く人はほとんどいないかもしれない。
宝袋寺を過ぎてさらに行くと住宅地が途切れ、丘の端となった地形の場所へと出た。下へ降りる階段が設けてあり、そこから恩田川河畔の農地へと出た。そのまま恩田川の河岸へと進んで川に沿って進む。初夏の田植えが済んだ時期に歩いたルートの対岸に当たっている。ふり返ると恩田川を渡る八十橋が見える。川岸を東に進んでやがて新良橋、前方には水田地帯の中に観護寺の屋根が見えている。新良橋から恩田川を離れて南へ向かうとやがて圓光寺の横へ出る。圓光寺の東側を梅田川が流れている。
しばらく歩くと河岸に小さな公園があった。公園の広場にはゲートボールを楽しむ地元の人たちの姿があり、遊具のある一角では母親に連れられた小さな子どもたちが遊んでいる。地元の社交場といった雰囲気の、のどかな風景だ。






杉沢堰からさらに上流へ向かって河岸の小径を歩くと、やがて川の右手に梅田川遊水地がある。小さな池もあるが、その周囲の窪地へは入ってゆくことも可能なようだ。今は夏草が生い茂り、足元の様子もよく見えないために岸辺から眺めるだけにしておく。遊水地の向こうには「新治市民の森」の一角になる雑木林の里山が迫っている。
遊水地を過ぎてさらに河岸の小径を辿って上流側へ向かう。川の左手には雑木林の斜面が迫っている。やがて三保念珠坂公園の下へと至る。公園脇に腰を下ろしてくつろぐ人の姿があった。散策の途中なのだろうか。挨拶を交わして公園脇を過ぎる。川岸にはところどころ河原へ降りる石段が設けてある。河原はつい最近草刈りが行われたらしく、すっきりとしている。さらに進むと、中山方面から三保橋を経由して丘を越えてくるバス通りに出る。「坂下」というバス停がある。ここから上流部へは梅田川も「川」というより「溝」のような有様に戻り、あまり川沿いの散策が楽しいとは言えない。

バス通りへと出ると「梅田」バス停だ。そこからしばらくバス通りを歩き、「梅田谷戸」バス停まで来て、再び旧道へと逸れた。こちらはさきほどよりさらに昔ながらの里山の風情を残している。竹林の横を過ぎ、畑を回り、農家の傍らを抜けて進む。やがて旧道からバス通りへと出ると、ちょうど「三保市民の森」の入口だった。


今回は敢えて恩田川河畔から梅田川源流域の「三保市民の森」までを歩いたが、やはり一本橋付近から三保念珠坂公園あたりまでの、杉沢堰の周辺が散策の楽しいところで、その付近と「新治市民の森」との散策を兼ねて訪れるのが楽しめるように思える。横浜線の十日市場駅から南へ辿って新治小学校付近を目指して訪れるのがよいが、中山駅からバスに乗り、「坂下」バス停などで降りてみるのもよい方法かもしれない。


