八王子市打越町〜長沼町
湯殿川河畔
(打越〜長沼)
Visited in October 2024

十月半ば、京王線を北野駅で降りた。北野駅から湯殿川の河岸に出て、下流側へと辿り、浅川との合流点辺りまで歩いてみようと思ったのだった。距離にして1km強、短い距離だが、長沼橋を渡って日野市側まで足を延ばしたり、のんびりと周辺を巡ってみたい。

すぐ下流側で下田橋という人道橋が湯殿川を跨いでいる。10年近く前、京王片倉駅から北野駅まで湯殿川河岸を歩いたことがある。その時はちょうど下田橋辺りで散策を終えたので、今回はその続きだ。

河岸に北野つくしの南公園という小公園がある。面積365平方メートルの小さな街区公園だ。1983年(昭和58年)に供用開始となった公園だという。集合住宅と湯殿川との間の台形の敷地に広場を設けた公園で、広場にはブランコや滑り台、鉄棒などの遊具類が設置されている。園内に人の姿はなかった。

線路の北側、新大畑橋という橋が湯殿川に架けられている。長沼駅付近から線路沿いに延びてきた道路がここで湯殿川を渡るのだ。それほど主要な道路というわけではないから、ほとんど車は通らない。橋の欄干にはヤマユリのモチーフのレリーフが施されている。橋のすぐ下流側、右岸側に長沼用水の取水口が設けられているのが見える。

この辺りから湯殿川は緩やかに(下流側に向かって)右手に曲がっていく。右手に曲がっていく湯殿川の向こう、左岸側の河岸に見える背の高いフェンスは打越中学校の校庭に設置されたものだ。その右手に見える木立は下田公園の木立だ。

下田公園は北側にフェンスで囲まれたグラウンド状の広場が設けられ、南側は木立の中に滑り台やブランコ、砂場などを配したエリアがある。子どもたちの遊ぶ姿はなかったが、ご年配の女性二人がベンチで談笑している姿があった。

河岸の歩道にはキンモクセイが多く植えられている。十月半ば、ちょうど花を咲かせる時期だ。横を歩けば甘い香りが漂ってくる。

春日橋付近の都道174号には横断歩道が無いが、左岸側には都道をくぐる歩道が設けられている(車両の通り抜けはできない)。この歩道を抜けて、さらに春日橋の下流側へと歩を進めよう。

春日橋から下流側へ200mほど、湯殿川は真っ直ぐに流れている。人道橋の上から下流側を眺めてみる。真っ直ぐに流れた湯殿川はその先で緩やかに左に曲がっていく。その向こうに遠く見えるのは日野市平山の辺りか。

湯殿川の左岸には都営の長沼町第2アパートが建っているが、大規模修繕の途中なのか、建物の周りに足場が造られ、シートで覆われている。

湯殿川と浅川との合流点の景観を下流側から見てみたい。栄橋まで戻って湯殿川右岸を辿って長沼橋へ向かうことにしよう。栄橋から長沼橋までおよそ200m、すぐそこだ。

長沼橋のすぐ上流側、合流点の右岸側の道脇に河川管理境界を示すプレートが設置されている。ここから下流側は国土交通省京浜河川事務所多摩出張所、上流側の湯殿川は東京都南多摩西部建設事務所の管轄だそうだ。

浅川の左岸側、堤防に沿うように小さな流れがある。北から流れてきて長沼橋の袂で屈曲して東へ流れていく。この流れは上村用水の支流か。西平山地区には川北用水や上村用水と呼ばれる用水が流れている。それもいずれ機会を設けて歩いてみたい。

この辺りは長沼町のほぼ中央部に当たる。すっかり住宅が建ち並ぶ様相だが、昔は水田の広がる農村だった。その頃の風景が少しだけ残っている。住宅地の中にぽっかりと農地が残り、近くには昔からの農家らしい家もある。その横を抜ける細道の風情もいい。素敵な風景だ。

小さいながらも河岸に水田が残るところもある。町中で遭遇する水路は長沼用水の水路だろう。水路に水が流れていないのはすでに農繁期を過ぎて水の必要がないからか。水田に稲の育つ季節に訪ねて確かめてみたいものだ。わずかな流れのある水路は、おそらく南側の丘陵地から流れてくるものだろう。
気ままに歩いていくうちに新大畑橋が近づいてくる。北野駅へ戻って、そろそろ帰路を辿ることにしたい。

今回は湯殿川の最下流部に焦点を当てて歩いてみた。河岸の公園に立ち寄ったり、日野市側まで足を延ばしたり、長沼町で住宅地の中に残る農地に出会ったり、気ままに歩いて楽しい散策だった。湯殿川から取水して長沼町を流れる長沼用水にも興味を覚える。長沼用水はいずれ機会を設けてゆっくりと歩いてみたい。




