千葉県南房総市の南部、千倉町の海岸に「道の駅ちくら潮風王国」がある。海岸の立地を活かして造られた「道の駅」だ。冬晴れの一月初め、「道の駅ちくら潮風王国」に立ち寄った。
道の駅ちくら潮風王国
道の駅ちくら潮風王国
房総半島の突端に近い千葉県南房総市千倉町千田の海岸に「道の駅ちくら潮風王国」が設けられている。房総半島南端部の海岸線を辿る国道410号、いわゆる「房総フラワーライン」の沿道に設けられた「道の駅」だが、国道には面しておらず、国道から少し海側に入り込んだところに位置している。ここから少し南に下ったところに設けられた「第2南房千倉大橋公園パーキング」と「第3白間津花のパーキング」 も「道の駅」に含まれるようで、その中心となる施設がこの「潮風王国」ということらしい。開駅は1997年(平成9年)、登録されたのは2002年(平成14年)のことという。
道の駅ちくら潮風王国
道の駅ちくら潮風王国
「道の駅ちくら潮風王国」は中心施設となる本館と芝生広場を中心とした公園スペースから構成された形だ。本館の中にはレストランや蕎麦店などの飲食店、魚介類を商う店、雑貨店などが店を構え、なかなか充実した内容と言っていい。本館の中央部には“いけす”が設けられているのも目を引く。公園スペースは海岸の立地を活かした開放感が魅力だ。海岸部に立てば眼前には大海原が広がる。広々とした海と水平線を眺めれば、やはり爽快な気分がするものだ。磯辺に降りてゆくこともできるから、初夏から夏にかけては磯遊びを楽しむのもお勧めだ。公園スペースの隅にはブランコや滑り台といった遊具も設けられ、子どもたちにも配慮されている。「じゃぶじゃぶ池」も設けられているから、暑い季節には水遊びを楽しめるのだろう。今回訪れたのは一月初め、真冬と言っていい季節で海風は冷たかったが、それでも海を眺めながら散策を楽しむ人の姿が少なくなかった。
道の駅ちくら潮風王国
道の駅ちくら潮風王国 道の駅ちくら潮風王国
道の駅ちくら潮風王国
公園スペースの本館側の隅、「じゃぶじゃぶ池」に隣接して「第一千倉丸」という“漁船”が展示されている。本物の漁船ではなく、かつて鯖漁、秋刀魚漁に使われた70トンクラスの漁船のレプリカだそうだが、この「第一千倉丸」は「道の駅ちくら潮風王国」の最大の特徴と言っていい。千倉は漁業で栄えた町だ。昭和30年代から昭和40年代にかけて、このクラスの漁船が100隻近くあり、鯖や秋刀魚を獲っていたそうだ。この「第一千倉丸」、ただの展示物ではなく、内部に入って遊ぶこともできる。船体そのものはレプリカだが、内部に用いられた羅針盤や丸窓、投光器などの備品類は本物を流用したものなのだろう。船橋の上に上がれば周囲に視界が開け、爽快な眺望を楽しむこともできる。船の上から大海原に目をやれば鯖や秋刀魚を求めての出漁気分である。
道の駅ちくら潮風王国
今回は正月休みを利用して真冬と言っていい一月初めに訪れたが、やはり初夏から夏、暑い季節に訪れるのが楽しめるだろう。太平洋を眼前に磯遊びを楽しみ、施設内のレストランで新鮮な魚介類を味わうのがお勧めだ。“海辺”の風情を存分に楽しむことのできる「道の駅」である。
千田のお花畑
南房総市には花卉(かき)栽培農家が数多い。「道の駅ちくら潮風王国」の周辺にもそうした農家が多く、「道の駅」から道路を渡れば花畑が広がる。1月から3月にかけてがキンセンカやキンギョソウ、ヤグルマソウといった春の花のシーズンだそうだ。そうした花々を眺めながら畑の中の小路を辿るのも素敵なひとときだ。花摘みのできる畑もあり、花を売る店もある。まだまだ寒さの続く季節、一足早い春を感じることのできる千田の花畑である。
千田のお花畑
参考情報
道の駅ちくら潮風王国の営業日、営業時間、施設内の店舗、交通アクセスなどの詳細については公式サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
道の駅ちくら潮風王国は千倉町の中心街から南へ6kmほど辿ったところにある。国道410号を南へ辿って行けばいい。白浜方面からも国道410号を東へ辿って行けばいい。道の駅ちくら潮風王国は国道沿いではなく、海側を通る市道沿いにあるが、近づけば道の駅を指し示す案内標識があるからそれに従えばいい。駐車場は普通車用に130台分ほどが用意されている。

鉄道を利用して訪れる場合はJR内房線千倉駅が最寄りだが、駅から6kmほどの距離がある。駅からバスやタクシーを利用しなくてはならない。

飲食
道の駅ちくら潮風王国にはレストランや蕎麦店、カフェなどがある。新鮮な魚貝を味わうのがお勧めだろう。お弁当を持参した場合は施設内のベンチなどを利用すればいい。海を眺めながらの食事も楽しい。周辺には飲食店はほとんどない。

周辺
道の駅ちくら潮風王国の周辺には花卉栽培農家が多数あり、花摘み体験のできるところも多い。さらに山側へ1kmほど足を延ばせば高皇産霊神社が鎮座し、周囲には長閑な風景が広がる。また道の駅ちくら潮風王国から海岸沿いに足を延ばせば小さな漁港もあり、海辺の町の風情を楽しむことができる。道の駅ちくら潮風王国を拠点に、散策の足を延ばしてみるのがお勧めだ。

車で訪れたなら海岸沿いの道を辿ってドライヴを楽しむのもいい。道の駅ちくら潮風王国から北へ少し行くと、屏風岩という奇岩が見られる。千倉町中心部の海岸は砂浜で夏は海水浴場として賑わう。ひととき海岸散歩を楽しむのもお勧めだ。

道の駅ちくら潮風王国から5kmほど北へ辿った山側には高家神社が鎮座している。料理の祖神、醸造の神である「高倍神(磐鹿六雁命)」を祀っている。そうした仕事に携わる人ならぜひともお参りしておきたいところだろう。
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