佳景探訪
鹿屋航空基地史料館
鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地には海軍の戦史資料や航空資料、海上自衛隊航空部隊に関する歴史や資料を展示した史料館が併設されている。夏の盛りの七月末、鹿屋航空基地史料館を訪ねた。



鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館

鹿屋航空基地史料館
鹿児島県鹿屋市、中心市街地の西方、大隅半島のほぼ中央部辺りに海上自衛隊鹿屋航空基地がある。

ここはそもそもは1936年(昭和11年)に鹿屋海軍航空隊が開隊した鹿屋基地が前身である。それから1945年(昭和20年)の終戦まで、海軍の航空基地として使われていた。特に1945年(昭和20年)2月からは第5航空艦隊司令部が置かれ、いわゆる特攻作戦が行われた。828名の若者が出撃したという。終戦後、1950年(昭和25年)に警察予備隊の鹿屋駐屯部隊が開隊、1954年(昭和29年)には海上自衛隊鹿屋航空隊に改称、以後、航空隊の新編や統合などを経て現在に至っている。

その海上自衛隊鹿屋航空基地に史料館が併設されている。海軍と鹿屋基地の歴史資料、海軍特別攻撃隊に関する資料、さらに現在の海上自衛隊航空部隊の歴史や活動状況といった内容が展示された施設だ。史料館の公式サイトによれば「旧海軍航空の興亡の軌跡及び戦後の海上自衛隊の歩みとその中で活躍する隊員の姿を伝えることにより、国を守ることの意味を理解してもらうため」に開設されたものだそうだ。

史料館は2階建てで、2階フロアは海軍関連の資料、1階フロアは海上自衛隊関連の資料が展示されているという構成で、見学の順路としては2階フロアが先で、その後で1階フロアの見学となっている。史料館は海上自衛隊の広報の目的も持っているから、見学者にはまず旧海軍の歴史を学んでもらった上で、現在の海上自衛隊の活動への理解を深めてもらおうという狙いなのだろう。

2階フロアには海軍誕生後の歴史や航空技術の発展などに焦点を当てた展示がなされている。すべての展示資料が興味深いが、特に特攻作戦関連の資料は印象深い。それらの資料からは、決して生還することのない作戦へ身を投じた若者たちの姿、その思いといったものの一端に触れることができ、胸を打つものがある。フロア中央に展示された零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦」も目を引く。鹿児島県の錦江湾と吹上浜から引き上げられた2機の零戦を、1機の零戦へ復元したものだそうだ。外観はもちろん、操縦席の様子も間近から見学することができ、詳細な解説が添えられている。

1階フロアは海上自衛隊の歴史や活動についての展示だ。さまざまな解説資料とともにヘリコプターや航空機、装備品などの展示がなされており、普段の生活では目にする機会の少ない資料の数々に興味は尽きない。ヘリコプターは前部だけの展示だが、内部に乗り込むことも可能で、“機能”という点に焦点を絞った内装には小さな驚きを覚える。そうした展示は「国防」への理解を促そうという目的もあるわけだが、さまざまな展示資料を見ていると「国防」の思いを胸に日々活動を続ける自衛隊隊員の姿に頭が下がる思いがする。

史料館の建物の周囲には現役を引退した海上自衛隊の航空機の実機が屋外展示されており、これもぜひ見学しておきたい。展示機それぞれに解説パネルが添えられているから、興味のある人はひとつひとつ丹念に見ていくといい。

史料館の建つ敷地とは道路を挟んで離れた敷地には二式大型飛行艇、通称「二式大艇」が実機展示されている。二式大艇は川西航空機製作所(現在の新明和工業)が製造、1940年(昭和15年)に最初の試作機が完成、1942年(昭和17年)に正式採用になった大型飛行艇で、巡行速力450km/h超、最大航続距離7000km超という高性能を誇ったという。

終戦後、二式大艇の高性能に注目した米海軍によって最後の機体が米本国へと運ばれたが、一回の飛行試験を行っただけで、その後はバージニア州ノーフォーク海軍基地に保管されていたという。1978年(昭和53年)になって米海軍が二式大艇の処分を検討、それを1979年(昭和54年)、日本の「船の科学館」が購入、引き取って復元した。そして2004年(平成16年)、「船の科学館」から海上自衛隊鹿屋航空基地史料館に移され、こうして展示されているものという。

復元された零戦や二式大艇の実機、海上自衛隊の航空機などを見学することができる鹿屋航空基地史料館は、そうしたものの好きな人には一度は訪れてみたい施設であるに違いない。特に現存する二式大艇はこの展示機のみであるらしく、マニア垂涎の展示であるかもしれない。しかし、鹿屋航空基地史料館はあくまでさまざまな戦史資料や海上自衛隊関連資料を展示し、海上自衛隊の広報の一環としての役割を持った施設だ。展示された資料の数々から、日本が戦争へと向かった歴史や、特攻に散った若者たちの姿を、そして平和の尊さを、学ぶことを忘れてはいけない。
参考情報
本頁本文に記した内容は、海上自衛隊鹿屋航空基地公式サイト、鹿屋航空基地史料館公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)に記載の内容に拠っている。詳しくはそれらのサイトを参照されたい。

鹿屋航空基地史料館は無料で入館できる。開館日や開館時間などは鹿屋航空基地史料館公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

鹿屋市には鉄道路線が通っていないため、訪れる際には車を利用しなくてはならない。宮崎市方面から訪れる場合には日南市から志布志市へと経由して国道220号線を南下、あるいは都城市を経由して国道269号線を南下すればよい。鹿児島市方面から訪れる場合には桜島フェリーから桜島の南岸を辿り、国道220号線を南へ折れて進めばよい。高速道路を利用して訪れる場合は東九州自動車道の国分ICから国道220号線を南下するルートや、宮崎自動車道都城ICから都城市内を抜けて国道269号線を南下するルートなどがわかりやすいだろう。

海上自衛隊鹿屋航空基地は鹿屋市役所の西方、市の中心部近くに位置している。国道269号線の「航空隊前」交差点から南へ入ると航空基地だ。史料館には無料駐車場が用意されており、駐車スペースにも比較的余裕がある。駐車場入口などの詳細については、これも公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

飲食

史料館にはレストランや売店などは併設されていないが、駐車場入口横にあたかも付属施設であるかのように「鹿屋市観光物産総合センター」が建っており、各種の土産物を販売している他、カレーなどの軽食も可能だ。周辺には国道沿いに戻らなくては他に飲食店などはない。本格的な食事を楽しみたいときには鹿屋の中心市街へ移動することをお勧めする。

周辺

海上自衛隊鹿屋航空基地から国道269号線を西南の方角へ、すなわち錦江湾岸へと進むと霧島ヶ丘公園がある。丘陵地に造られた公園で、志布志湾から錦江湾、桜島まで眺望が楽しめるという。時間があれば立ち寄ってみるのもいい。公園には「かのやばら園」が併設され、初夏と秋には美しいバラを楽しむことができる。霧島ヶ丘公園からそのまま錦江湾岸へと降りてドライヴを楽しむのもお勧めだ。そのまま国道269号線を南下すると錦江町、「神川大滝」を見に行くのも悪くない。

鹿屋市から国道220号線を東へ向かえば大崎町、志布志湾岸に約10kmに渡ってクロマツの茂る「くにの松原」が有名だ。ドライヴを楽しみつつ訪ねてみるといい。
鹿屋航空基地史料館

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