長野県白馬村の中央部、北アルプス山麓に「和田野の森」と呼ばれる樹林地がある。ホテルやレストラン、ギャラリーなどの点在する、リゾート感漂うエリアだ。夏の暑さの退いた九月の初め、「和田野の森」を訪ねた。
和田野の森
長野県白馬村のほぼ中央部、有名な白馬八方尾根スキー場の北東側の山麓に「和田野の森」と呼ばれる樹林地がある。林の中にはホテルやペンション、レストラン、ギャラリーなどの施設が点在している。それらの建物は意匠を凝らしたものが多く、木々に包まれるようにして建つ姿が美しく、のんびりと散策するのも楽しいところだ。白馬村に秋の気配が漂い始めた九月の初め、「和田野の森」の中に建つ「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」に宿泊し、その翌朝、朝食を済ませた後でホテルの周辺を歩いてみた。
和田野の森
和田野の森
まず「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」の敷地内を歩いてみる。「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」は樹林の中という立地を存分に活かした造りだ。敷地内は庭園のように整備され、テーブルなども置かれている。樹林の中を辿って遊歩道も整備され、ホテルの中だけでも充分に樹林散歩を愉しむことができる。目を凝らして歩けば苔むした石の表情も興趣があり、ひょっこりと顔を出したキノコの姿もかわいらしい。
和田野の森
「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」から出ると、「和田野の森」の中央部を抜ける道路を挟んだ向かい側に「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ本館」が建っている。「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ本館」は英国カントリー風の洋館を模して建てられたものだそうだ。白壁と黒っぽい構造材とによるハーフティンバー様式の外観が緑の中に映えて美しい。
和田野の森
和田野の森
「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ本館」の景観を楽しみつつ、ホテルの裏側へと抜け、小径を北へ進む。少し行くと「和田野の森教会」が建っている。樹林の中に抱かれるようにして建つ小さな教会の建物は厳かでありつつ、ほんの少し可愛らしさも感じさせてくれる。ヨーロッパの高原にいるかのような雰囲気が素敵で、ここで結婚式を挙げたいと憧れる若い女性の気持ちもわからないではない。
和田野の森
「和田野の森教会」からさらに北へ進んで西側に回り込むと咲花ゲレンデだ。訪れたのは九月、もちろんゲレンデに雪はなく、リフトも運行しておらず、辺りは閑散としている。人の姿の無い丘の斜面ではのんびりと牛が草をはんでいる。遠くから見つめるこちらに気付いたのか、顔を向けてくれる牛の姿もあった。その姿がかわいい。しばらく牛たちの様子を眺めた後は、そろそろホテルに戻ることにしよう。
和田野の森
和田野の森
和田野の森
今回は「和田野の森」のほんの一部を歩いたに過ぎない。それも“端”の方と言っていいのだろう。「和田野の森」の中心部はもっと南側の部分のようだ。機会があればもっと時間をかけてのんびりと「和田野の森」を愉しんでみたい。「和田野の森」の中は、随所に道案内の標識が建てられているが、その標識そのものの意匠もお洒落なもので、そうした小さな工夫も“リゾート感”を高めてくれると言っていい。

「和田野の森」を構成する木々はコナラ、ミズナラ、カエデ、アカマツなどを中心としたもので、この地域に特有の林相を見せるわけではないようだが、鬱蒼と茂った木々の中を縫うように歩くのは楽しいものだ。この時はあいにくの曇り空だったが、しっとりと湿り気を帯びた空気の中で味わう木々の匂いもよいものだ。天候に恵まれば木漏れ日の中の散策が楽しめるだろう。さまざまな樹木の茂る樹林は春の新緑や秋の紅葉も美しいらしい。冬の雪景色も興趣のあるものに違いない。四季折々の姿を見てみたいと思わせてくれる「和田野の森」である。
和田野の森
「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」を遅い時間にチェックアウトすると、早々とホテルに到着した人たちの姿があった。どうやらその日、ホテルではウェディングの予定があったようだ。「和田野の森教会」で挙式し、「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館」で披露宴だろうか。ホテル入り口に設置されたホテルの看板には白いブーケが飾られていた。
参考情報
交通
国道148号のJR大糸線白馬駅前の交差点から西へ、県道322号へ折れて西進、「八方」交差点で北へ折れてさらに進み、「オリンピック記念モニュメント」のある交差点で左折して和田野坂を上ると「和田野の森」だ。白馬駅から白馬東急ホテル横の「和田野の森」シンボルサインまで2.6kmほど、標高差が100mほどあり、歩くのはつらい。電車を利用して訪れる場合は駅からタクシーなどを利用する方がいい。

「八方」交差点近辺には駐車場があるが、「和田野の森」の中には観光客用の駐車場はないようだ。利用するお店や、宿泊先の駐車場を利用すればよいだろう。

飲食
「和田野の森」にはさまざまなレストラン、カフェなどが点在している。宿泊客でなくても利用できるホテルのレストランも少なくない。好みの店を探して食事を楽しもう。

周辺
「和田野の森」から東に下りれば八方温泉、さらに「八方アルペンライン」のゴンドラとリストを乗り継げば標高1830mの八方池山荘まで一気に登れる。八方池までのトレッキングも楽しみたいところだ。八方温泉の南側の「白馬ジャンプ競技場」も見ておきたい。

八方温泉から3kmほど北東、岩岳スキー場の麓の新田地区は「せせらぎの里」の愛称があり、旅館街の中を用水が流れ、風情ある景観を見せる。一角には古民家も保存されている。旅館街を外れると田園風景も美しい。
長野散歩