新潟県十日町市に「星峠の棚田」の名で呼ばれる美しい棚田がある。山間の斜面に小さな水田が並ぶ景観は郷愁を誘って美しい。水田の稲穂が色付き始めた九月の初旬、星峠の棚田を訪ねた。
星峠の棚田
新潟県十日町市の西端部、上越市との市境に近い山間部に「星峠の棚田」と呼ばれる棚田がある。十日町市の西部から柏崎市の南部、上越市の東部にかけては山々の連なる地形で、数多くの棚田が存在するが、その中でも知名度の高い棚田のひとつで、数多くの観光客が訪れる。「星峠」という名がロマンティックな印象を伴っているからかもしれない。
星峠の棚田
星峠の棚田には大小200枚の水田があるという。不規則な形状の小さな水田が不規則に斜面に並ぶ景観はたいへんに美しい。展望所から見下ろす景色も素晴らしく、棚田の中を辿る農道を歩けば周囲には美しい里山風景が広がる。広く景色を眺めるのもいいし、細部に注目して散策を楽しむのもいい。長閑で郷愁を誘うような情趣には心安らぐ思いがする。
星峠の棚田
当然のことながら棚田は水田であり、米作りが行われている。初夏の田植えの頃から稲穂が緑濃く育つ夏、実りの秋まで、それぞれに美しい景色を見せてくれる。雪景色も美しいだろうと思うが、この地域は雪深く、積雪時は進入が不可能であるらしい。棚田の見せる季節毎の風景を求めて数多くの観光客が訪れる。作品作りのために訪れるフォトグラファーも数多い。星峠の棚田はそうした期待に応えて余りある魅力を持っていると言っていい。素晴らしい棚田である。
星峠の棚田
今回訪れたのは9月の上旬、水田の稲穂がそろそろ色付き始める頃だ。訪問当日はあいにくの雨模様で、傘をさしての散策だったが、しっとりと雨に濡れた棚田の風景はそれはそれで風情に富んで素晴らしいものだった。
星峠の棚田
「星峠の棚田」は“観光名所”的に知られてはいるが、決して「観光地」ではない。あくまで農地、農家の方々が農業を営む私有地である。農地(水田と水田とを区切る“畦”も“農地”だ)に勝手に立ち入ったりしてはいけないのはもちろん、農作業中の方を無断で撮影するのもマナー違反だ。観光や写真撮影の際にはくれぐれも地元の方々のご迷惑にならないよう注意したい。
星峠の棚田
参考情報
交通
星峠の棚田の最寄り駅は北越急行ほくほく線まつだい駅だが、駅からは10km以上距離がある。公共の交通機関で訪れる場合はまつだい駅からタクシーを利用が必須だ。

車で訪れる場合は、北陸自動車道の柿崎ICや大潟スマートIC、上越IC、関越自動車道の六日町ICなどが近い。柿崎ICからは約35km、大潟スマートICからは約33km、上越ICからは約36km、六日町ICからは約41kmの距離がある。

星峠の棚田には観光客用の駐車場が設けられているが、駐車台数は数台分だ。

冬季(11月中旬〜4月下旬)は星峠の棚田周辺への車での侵入はできないので注意されたい。

飲食
星峠の棚田周辺には飲食店はない。北越急行ほくほく線まつだい駅周辺や北越急行ほくほく線ほくほく大島駅北側の国道253号沿いに移動して飲食店を探すのが賢明だ。

周辺
十日町市には美しい棚田が他にも多数ある。室野の棚田(約5km)や儀明の棚田(約8km)、蒲生の棚田(約9km)、菅刈の棚田(約13km)などが比較的近い。併せて訪ねてみるのもお勧めだ。

北東の方角へ約22km辿れば柏崎市の荻ノ島環状集落だ。茅葺き屋根の家屋が環状に並ぶという集落だ。ここもぜひ訪ねてみたい。
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