佳景探訪
滝ノ入ローズガーデン
埼玉県毛呂山町北西部の滝ノ入地区に「滝ノ入ローズガーデン」という施設がある。豊かな自然の中に造られた美しいバラ園だ。バラの花が盛りの五月下旬、滝ノ入ローズガーデンを訪ねた。



滝ノ入ローズガーデン

滝ノ入ローズガーデン

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滝ノ入ローズガーデン

滝ノ入ローズガーデン

滝ノ入ローズガーデン
埼玉県毛呂山町の北西部に滝ノ入という地区がある。大部分を山地が占める地域で、その山々の間を幾筋かの川が流れ、山裾には美しい田園風景が広がる。その川のひとつ、毛呂川の上流部の河岸に「滝ノ入ローズガーデン」というバラ園がある。園内にはさまざまな品種のバラが咲き誇り、緑濃い風景の中でひときわ鮮やかに見える。

滝ノ入ローズガーデンはそもそもは滝ノ入地域の活性化を目指した「もろもろ町おこし事業」の一環として2000年(平成12年)に始められたものという。2008年(平成20年)に現在地に移転してリニューアルオープンしたということだから、それほど歴史の古いバラ園ではない。しかし、その見事さが評判を呼ぶのか、すでに知名度も高いようで、多くの来園者で賑わっている。

滝ノ入ローズガーデンは毛呂川河岸の立地だ。おそらくかつての農耕地を利用して造られたものなのだろう。入口脇には住吉神社が建っている。バラ園入口脇にはバラの苗木や地域の物産の販売所があり、休憩所も設けられている。バラ園の面積は約3000平方メートルだそうだから、それほど広大なものではない。すぐ近くまで山々が迫り、開放感というものには乏しいが、園内は山々の緑に包まれて落ち着いた空気感に満たされている。その中に約1500本、約400種のバラが咲き誇る。

日本国内の有名なバラ園では、花壇や池などを幾何学的に配置したフランス式庭園やそれに準ずる形式の庭園として整備されていることが多いものだが、滝ノ入ローズガーデンはそうした庭園とは異なり、どちらかと言えば英国的な風景式庭園の形式を取り入れたものと言えるだろう。もちろん本格的な風景式庭園ほどの広大さは得られないから、家庭のガーデニングに於ける「イングリッシュ・ガーデン」の規模の大きなものと考えた方が近いかもしれない。そもそも地域の人たちを中心としたボランティアによって始められたローズガーデンらしいが、今でもそうした“手作り感”が漂っており、それが魅力のひとつにもなっていると言っていい。

そうしたバラ園の在り方が、この立地ではとても功を奏しているのではないかと思える。間近まで迫る緑の山肌がまるで庭園の延長のように視界に収まり、庭園をより広く見せてくれるようでもあり、緑濃い風景の中にうまく馴染んで溶け込み、“自然美”を演出してバラの花をより引き立ててくれている印象だ。随所に置かれたベンチや荷車などもイングリッシュ・ガーデン的な雰囲気に似合って気が利いている。

決して広大なバラ園ではないが、それを逆手にとるかのように凝縮された美しさを感じさせるのが見事だ。園内に巡らされた小径を辿れば、さまざまなバラの花に包み込まれるような感覚を味わいながらの散策が楽しめる。趣向を凝らして植えられたバラの数々は小径を進むほどにさまざまに表情を変え、どこから見てもフォトジェニックで美しく、その景観に飽きることがない。ところどころに設けられたバラのアーチも素敵だ。脇の方にはまるで“バラのトンネル”のように長く造られたアーチもあり、これも楽しい。

公立の公園内に設けられたバラ園や企業によるバラ園などでは品種名を記したプレートが設置され、簡単な解説なども添えられているものだが、滝ノ入ローズガーデンには(少なくとも2013年に来園したときには)そうしたものは設置されていないようだった。地域の人たちによる“手作り”的なバラ園だからコストの問題もあるのかもしれないし、あるいはそうしたものの設置を敢えて省いているのかもしれない。それでいいと思える。滝ノ入ローズガーデンの魅力の本質は、あくまで“バラの咲き誇る庭の美しさ”を楽しむことにある。“バラの品種やその特徴を知る”といった目的は他の施設に任せればいい。

ゆっくりと時間をかけて園内を巡った後は、ベンチに腰を降ろしてバラの咲く風景を眺めながら時を過ごすのもいい。さまざまな品種のバラのそれぞれを鑑賞しつつ、一輪一輪の美しさを愛で、そして何より数多くのバラが所狭しと咲き誇る園内の景観そのものを堪能するのが滝ノ入ローズガーデンのお勧めの楽しみ方だろう。丹精込めてバラの世話をする地域の人たちの笑顔が思い浮かぶような、見事なバラ園である。




毛呂川

毛呂川

毛呂川

毛呂川

毛呂川
滝ノ入ローズガーデンの入口横に鎮座する滝ノ入住吉神社は、永禄年間(1558〜1570年)に行蔵寺開山教祐によって建立され、村の鎮守として信仰されてきた神社という。例大祭は十月の中旬に執り行われ、1700年代から受け継がれた獅子舞が奉納されるそうだ。規模の大きな社殿などはなく、素朴な村の鎮守様という佇まいだ。滝ノ入ローズガーデンに訪れたときには感謝の気持ちと共にお参りしておきたい。

毛呂川沿いの道路から滝ノ入ローズガーデンへ向かうときに渡る橋は、本来は住吉神社の参道橋だったのだろう。素朴な姿がよい風情を漂わせている。

この橋の下、毛呂川はちょっとした“渓流”だ。川の流れが土地を深く抉って蛇行し、上流側には小さな“滝”もあり、下流側は“谷”の様相だ。その“谷底”で、川遊びを楽しむ父子らしい姿があった。滝ノ入ローズガーデンの下流側には「ゆずの里オートキャンプ場」が隣接しているから、おそらくオートキャンプ場へ行楽に訪れた人たちなのだろう。

毛呂川に沿った道を少し上流側に辿ってゆくと、長閑な里山の風景が広がっている。河岸の谷戸には水田が横たわり、水田にはすでに水が張られている。間もなく田植えの時期なのだろう。滝ノ入ローズガーデンのバラを堪能した後は、散策の足を延ばして美しい里山風景も楽しんでおきたい。

河岸の道路が少し高所となったところからは、河岸の低地に横たわる滝ノ入ローズガーデンを俯瞰することもできる。山々に包み込まれるようにして緑濃い風景の中に造られた滝ノ入ローズガーデンの様子がよくわかる。こうして上から見下ろすように眺めてみるのも一興である。
参考情報
滝ノ入ローズガーデンは初夏と秋のバラの花期、「ばらまつり」開催時のみの開園で、それ以外の期間には入園できない。入園には入園料が必要だ。ペット連れでの入園はできない。開園期間、入園料等、詳細は毛呂山町公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

滝ノ入ローズガーデンの最寄り駅はJR八高線毛呂駅だが、駅からは少し遠く、車での来訪が便利だ。

車で訪れる場合は圏央道鶴ヶ島ICから県道39号線や県道114号線を西進、あるいは飯能市方面から県道30号線を北上、あるいは小川町方面から県道30号線を南下するなどして、まず毛呂山町の中心部を目指そう。

毛呂山町中心部からは、JR八高線毛呂駅のやや西、県道30号線と県道39号線とが交わる「毛呂本郷」交差点を西へ向かえばいい。途中には分かれ道などもあるが、「ばらまつり」開催中は「毛呂本郷」交差点から西には随所に案内標識が設置されており、迷うこともないだろう。

「ばらまつり」開催中は滝ノ入ローズガーデンの周辺に何カ所かの無料駐車場が用意され、全部で100台分ほどの駐車スペースが確保されているようだ。係員が誘導してくれるので、誘導に従って駐めればいい。

「毛呂本郷」交差点から滝ノ入ローズガーデンへ至る道は長閑な田園地帯の中を辿る。駅からハイキングを兼ねて歩いてみるのも一興だ。駅から滝ノ入ローズガーデンまで2.5kmほどか。

平日であれば、毛呂山町町内循環バス「もろバス」の「やぶさめ号」山コースも利用できるらしい。詳細は毛呂山町公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

飲食

滝ノ入ローズガーデンの周辺には飲食店はない。飲食店は駅周辺の市街地に戻って探そう。

滝ノ入ローズガーデンでは園内での飲食はできない。入口脇にテーブルと椅子を置いた休憩所が設けられており、ここでお弁当を食べている人の姿もあったが、少々落ち着かないのではないかと思える。お弁当持参での来園はあまりお勧めしない。

周辺

滝ノ入ローズガーデンの横に隣接して「毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場」がある。日帰りの利用も可能だ。車で訪れてバーベキューなどを楽しむのもよいかもしれない。

滝ノ入ローズガーデンから少し毛呂川の下流側へと下れば、長閑な田園風景が広がっている。ゆっくりと時間をかけて歩いてみるのもお勧めだ。滝ノ入ローズガーデンのある谷戸とは尾根を挟んだ北側の谷戸には桂木川が流れており、桂木川の上流部には河岸に遊歩道が整備されたところがある。「ゆずの散歩道」と名付けられており、なかなか風雅な意匠の橋も架かっている。足を延ばしてみてもいい。
滝ノ入ローズガーデン

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