埼玉県毛呂山町の北西部、桂木川の上流部に「ゆずの散歩道」と名付けられた散策路がある。毛呂山町は柚子の産地として知られるところだ。緑濃い五月の下旬、「ゆずの散歩道」を訪ねた。
ゆずの散歩道
ゆずの散歩道
ゆずの散歩道
埼玉県毛呂山町は柚子の産地として知られるところだ(「町の木」も柚子である)。毛呂山町の中でも特に滝ノ入、阿諏訪、大谷木といった西部の地域は柚子の栽培に適しており、昔から柚子の栽培が盛んだったという。

その滝ノ入地区を流れる桂木川の上流部に「ゆずの散歩道」と名付けられた散策路が整備されている。「ゆずの散歩道」は桂木川に沿って設けられており、周辺には数多くの柚子栽培の林を見ることができる。柚子は初夏に花を咲かせ、夏に青い実をつけ、晩秋から冬にかけての時期に黄色く熟す。訪れたのは五月の下旬、柚子の林は青々と葉を茂らせていた。
ゆずの散歩道
ゆずの散歩道
この辺りは桂木川の最上流部と言っていいのだろう。山々に囲まれた谷間を流れる桂木川は“川”というより“沢”という呼び方が相応しい。その沢に沿って遊歩道が整備されており、柚子の林の横を抜けながら山間を辿ってゆく。谷戸地の最も奥まったところでは吊り橋や石橋など、風雅な意匠の橋が沢に架けられている。「滝見橋」や「能杉橋」など、橋の名も風情があるが、これらの橋も「散歩道」としての演出なのだろう。沢そのものも自然のままというわけではないようで、石組みで護岸が施されているが、人工的に過ぎず、周囲の景観によく調和している。
ゆずの散歩道
両脇には山肌が間近に迫り、散歩道を歩けば圧倒されるほどの瑞々しい緑に包まれる。沢にはキショウブの花が咲き、他にもさまざまな野の花を見ることができる。柚子の花の咲く季節や柚子の実る季節を選んで訪れるのが「ゆずの散歩道」散策の王道という気もするが、初夏の表情もまた魅力あるものだ。
ゆずの散歩道
ゆずの散歩道
谷間には道路が辿り、奥へと進めば桂木観音へと至っている。その道路をときおりハイカーが歩いて行く。車の通行もほとんどなく、辺りには風に揺らぐ木々の音と野鳥の声が聞こえるばかりで、町の喧噪から遥かに遠い。その静けさを味わうためだけに訪れるのも、なかなか楽しいひとときだと思える。
ゆずの散歩道
参考情報
「ゆずの散歩道」は“公園”ではないので、トイレは設置されていない。駅などで済ませておこう。

交通
「ゆずの散歩道」の最寄り駅はJR八高線毛呂駅だが、駅からは少し距離がある。JR八高線毛呂駅から滝見橋の辺りまで3kmほどだろうか。県道30号の「毛呂本郷」交差点から西は自然豊かな田園地帯なのでハイキングを兼ねて歩くのもいい。

平日には毛呂山町町内循環バス「もろバス」の「やぶさめ号」山コースが利用できるが、「滝ノ入消防小屋」で降りて、そこからは歩かなくてはならない。「滝ノ入消防小屋」から滝見橋の辺りまで1.5kmほどか。

車で訪れる場合は圏央道鶴ヶ島ICから県道39号や県道114号を西進するなどして、まず毛呂山町の中心部を目指し、県道30号と県道39号とが交わる「毛呂本郷」交差点から西へ辿ってゆけばいい。途中分かれ道などもあって迷いやすいから予め地図をよく見ておこう。

ただし、「ゆずの散歩道」には来訪者用の駐車場は設けられていない。短い時間なら道幅の広いところを選んで停めておけると思うが、長時間の駐車は遠慮しておきたい。時間をかけてのんびりと散策を楽しみたいのなら、駅周辺に時間貸駐車場を見つけて車を置き、歩いてくることをお勧めする。

飲食
「ゆずの散歩道」のある桂川上流部は山々が間近に迫ったところで、周辺に飲食店などはない。毛呂駅周辺の市街地には飲食店があるので、食事は駅周辺で楽しもう。

「ゆずの散歩道」にはお弁当を広げるのに適した広場などはない。おにぎりやサンドイッチなどの軽食なら河岸の石の上に腰を降ろして食べることも可能だ。おにぎりと飲み物を持ってハイキングに行くのも一興だろう。

周辺
「ゆずの散歩道」のある滝ノ入地区は田園風景の広がる長閑なところだ。ゆっくりと時間をかけて歩いてみるのもお勧めだ。「ゆずの散歩道」からさらに山間へと辿れば桂木観音がある。桂木観音までの道は紫陽花の名所としても知られる。

「毛呂本郷」交差点から「ゆずの散歩道」へ向かう道の途中、“滝ノ入消防小屋”の分かれ道から南へ毛呂川沿いに西へ進めば河岸に「毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場」がある。その横に隣接して「滝ノ入ローズガーデン」があり、バラの花期には「ばらまつり」が開催されて賑わう(「ばらまつり」開催時以外は閉園)。バラの季節にはぜひ訪ねてみたいところだ。
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