佳景探訪
あしかがフラワーパーク
栃木県足利市の南東部に「あしかがフラワーパーク」という施設がある。その名のように四季折々にさまざまな花を楽しむことができる施設だが、特に藤の花が有名で、五百畳敷という大藤三本をはじめ、三百本の藤が園内を埋め尽くす。藤の花が盛りを迎えた四月の下旬、あしかがフラワーパークを訪ねた。



あしかがフラワーパーク

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あしかがフラワーパーク
「あしかがフラワーパーク」は「フラワーパーク」という名が示すように、そしてまた「花の芸術村」と謳われているように、四季折々にさまざまな花々を楽しめる施設で、「花」に特化した植物園、あるいは「花のテーマパーク」といったところだ。特に四月下旬から五月上旬にかけての藤の花が見事で、樹齢百四十年、枝の広がりが五百畳敷超という大藤がひときわ目を引く。藤の開花期はいわゆる「ゴールデンウイーク」の連休に当たり、この時期、一日に数万人を超える規模の来園者を迎えるという。民間の運営だが足利市の観光名所のひとつとしての役割を担い、関東でも屈指の花の名所として知られている。8ヘクタールを超える敷地面積の園内は中央部には池も設けられ、南側には木々の茂った丘を背負っている。その中を縫うように散策路が辿り、花々に包まれるようにして園内の散策を楽しむことができる。

「あしかがフラワーパーク」は足利市街南方の朝倉町にあった早川農園が前身で、1996年(平成8年)に現在の迫間町に移転、「あしかがフラワーパーク」として開園したものだ。移転に当たっては大藤の移植が行われたが、樹齢百年を超える巨大な藤の木の移植は前例がなく、かなり難しい作業であったようだ。これが日本で初めての成功例で、全国の関係者の注目を集めたという。移植の作業の指揮に当たったのは日本初の女性樹木医として知られる塚本こなみ氏で、NHK総合の番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に於いて「藤の老木に命を教わる〜樹木医・塚本こなみ〜(2006年5月25日放送)」として取り上げられたから知っている人も少なくないだろう。塚本こなみ氏は現在(2008年4月)、「あしかがフラワーパーク」の園長を務めておられる。

「あしかがフラワーパーク」を訪れたなら、やはりまずは有名な大藤を見ておかなくてはいけない。園内中央部で枝を広げる二本の大藤がひときわ目を引く。傍らに設置された解説板に依れば、これらの大藤はそれぞれ「ノダナガフジNO.1(野田9尺藤)」、「ノダナガフジNO.2」の名称が付けられており、双方ともに栃木県指定天然記念物になっている。どちらの藤も枝の広がりは東西、南北とも30メートルを超える巨大さだ。藤の保護のためか、藤棚の下に入ってゆくことはできず、周囲から見学することができるだけだが、それでも充分に迫力のある眺めだ。樹齢140年の巨大な藤は美しいのはもちろんだが、どことなく幽玄の雰囲気さえ漂い、何か霊気のようなものを纏っているようにも感じられるほどだ。そのような印象は実際に訪れて大藤を目の前にしなければわからないに違いない。

池の辺に立つ「八重黒龍藤」も見ておきたい。「ノダナガフジ」と比べればやや小さいが、それでも南北に35メートルほど、東西に25メートルほどという巨大なもので、これも樹齢140年、栃木県指定天然記念物となっている。八重咲きの藤というのがなかなか珍しく、解説板には「遠方からの藤の姿はブドウ棚の様にも見え」ると書かれているが、確かに八重咲きの藤の花の房はブドウの房のようにも見える。

薄紫色、すなわち藤色の花の藤だけでなく、園内には白い花の藤も少なくない。中でも開園時に造作されたという「白フジのトンネル」は76.5メートルもの長さで、これも栃木県指定天然記念物になっている。白藤の花に包まれて歩いてみたいところだが、訪れたときにはほとんど咲いていなかったのが残念だった。

それらの大藤以外にも園内には多くの藤が植えられている。その数は三百本を超えるという。どこを歩いても目の前には藤の花が咲いていると言ってもいいほどで、この時期の「あしかがフラワーパーク」の中は藤の花で埋め尽くされている印象だ。大藤以外のほとんどの藤は枝を支える支柱は施されているものの、「藤棚」は設けられておらず、樹木としての野趣のある姿が楽しめる。丘に茂った木々の緑を背景に見る藤の花などは格別の魅力があるように思える。

「花の芸術村」と標榜する施設であるから、もちろん藤の花以外にもさまざまな花が園内を彩っており、そうした花々にも目を向けて散策を楽しみたいところだ。藤の花期はツツジの花期でもある。藤の花の隙間を埋めるように足元にはツツジが咲き誇り、白や赤やピンクの花が鮮やかな景観を見せる。花壇や散策路脇に植えられた花々も楽しんでおきたい。目をとめる人は多くないようだが園内の一角ではオオデマリも花を咲かせている。藤ばかりが目立ってしまうが、他の花々にも目を向けて歩けば園内の散策はなおいっそう楽しい。園内は「庭園美」というものには主眼が置かれていないようだが、さまざまな花々に彩られた園内の景観は壮観なもので、まさに「フラワーパーク」という名に恥じない見事なものだ。

「あしかがフラワーパーク」は藤の花の季節以外にもバラや紫陽花、花菖蒲なども美しいらしい。そうした季節にも訪れてみたいところだが、初めて訪れるならやはりまずは藤の季節だろう。この時期は連休の行楽シーズンで行楽客も多く、車で来訪する場合には渋滞が免れないが、それでも訪れてみる価値はある。特に大藤は素晴らしいものだ。花の好きな人なら必見の藤だと言っていい。
参考情報
「あしかがフラワーパーク」は入園料が必要だ。料金は季節によって異なり、さらに花の咲き具合によって日毎に変動する。公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)で確認してから出かけよう。
車椅子の貸し出しはある(先着順)が、ベビーカーの貸し出しはないとのことだ。またペット連れの入園はできないので注意が必要だ。

交通

電車で来訪する場合はJR両毛線あしかがフラワーパーク駅が至近だ。降りれば目の前が「あしかがフラワーパーク」だ。あしかがフラワーパークは2018年(平成30年)4月1日に開業した。東武伊勢崎線を利用するなら、足利市駅からシャトルバスが運行しているようだ。シャトルバスの運行状況は季節によって異なる。公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)で確認されたい。

車で来訪する場合は東北自動車道を佐野藤岡ICで降りて国道50号線を西進、あるいは関越自動車道から高崎JCTで北関東自動車道へ逸れ、太田桐生ICで降りて国道50号線を東進、国道50号線の久保田町交差点(立体交差)を北へ折れて進むといい。近くまで行けば「あしかがフラワーパーク」を指し示す標識なども設置されているから迷うことはないだろう。ただし、わかりやすいルートは交通量も多く、渋滞は免れない。特に高速道路のIC、国道50号線、国道50号線から「あしかがフラワーパーク」へ至るルートは、特に藤の花の時期の休日には渋滞が酷いようだ。

駐車場は大型バス40台分、普通車300台分のスペースが用意されているのに加え、藤の花の季節には6000台分の臨時駐車場が開放されるが、それでも周辺の道路が大渋滞する。「あしかがフラワーパーク」では足利駅周辺の駐車場に車を置き、JR両毛線を利用して来園する、「パーク&トレインライド」を勧めている。

飲食

園内にはレストランがあり、さまざまなメニューが用意されている。他にも喫茶軽食コーナーや、うどんやラーメンなどを扱うテイクアウトコーナーもあるので、これを利用するのもいい。園内の休憩コーナーにはテーブルが用意されており、持参したお弁当を広げている人も少なくないようだ。来園者の多いときにはレストランも混み合うから、お弁当持参もよいかもしれない。

周辺

「あしかがフラワーパーク」から西へ10kmほどで足利市街だ。少し距離があるが車で訪れたなら苦になるほどの距離ではない。東武伊勢崎線足利市駅と「あしかがフラワーパーク」とを繋ぐシャトルバスは復路では足利学校前の「まちなか遊学館」を経由するらしい。電車で訪れた人はこれを利用するのもいい。午前中に「あしかがフラワーパーク」に訪れ、午後は足利学校や鑁阿寺などを巡って足利市街の散策を楽しむのもお薦めだ。

また東へ数kmほどの距離で佐野市街だ。有名な佐野厄除大師に立ち寄ってみるのもいい。佐野市街にも古い町並みが残っており、ひととき散策を楽しむのも悪くない。
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