佳景探訪
代々木公園
東京都渋谷区の都立代々木公園は広大な敷地の中にさまざまな木々が育つ緑濃い公園だ。東京オリンピックの際に選手村として使われたところを整備した公園だという。陽光眩しい五月の半ば、代々木公園を訪ねた。



代々木公園

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代々木公園は東京都渋谷区の代々木神園町と神南二丁目にかけて横たわっている。JR山手線原宿駅の西側に位置し、明治神宮の西南側に隣接しているという説明の方がわかりやすいだろうか。東京都立の公園で、開園したのは1967年(昭和42年)のことだ。開園時に植栽された木々も大きく育ち、隣接する明治神宮の森と一体となって都心での貴重な緑地帯を成している。樹林地や草はらの広場の他、陸上競技場やサッカー・ホッケー場なども備えられ、面積は54haを超えるという広大さだ。

代々木公園の場所は1909年(明治42年)に代々木練兵場が新設されたところという。1910年(明治43年)には徳川・日野両大尉により日本初の飛行が成功し、これを記念した「日本初飛行の碑」が園内に建てられている。戦後は米軍に接収され、宿舎敷地「ワシントンハイツ」として使われた。1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックの際には選手村として使われたが、オリンピック開催直前になってようやく、移転費用を日本側が負担する条件で「ワシントンハイツ」の全面返還が実現したのだという。その後、公園として整備、1967年(昭和42年)に東京都立代々木公園として開園したものだ。

代々木公園は都道413号線(赤坂杉並線)を挟んで南北に分かれている。北側は広場と樹林地から構成された「A地区」、南側は陸上競技場やサッカー・ホッケー場が置かれた「B地区」で、両者はまったく異なった表情を見せている。一般的な利用者にとっては北側の「A地区」が代々木公園そのものと言ってもいい。広大な敷地の中に草はらの広場を置き、その周囲を木々が囲む。都心でありながら町の喧噪からは遠く、まさに“都会のオアシス”という表現が相応しい。

代々木公園A地区は、地図で見ると都道413号線(赤坂杉並線)に面した南側を底辺とした三角形を成している。その三角形のほぼ中央には「中央広場」と名付けられた草はらが広がり、「中央広場」の周囲は木々が茂って樹林地を成し、その木々を縫うように広場を周回する散策路と放射状に延びる散策路が設けられている。

公園北東側には明治神宮が隣接している。“隣接している”とは言っても園内から明治神宮への行き来はできないから“背中合わせ”のような状態と言えるだろう。それでも鬱蒼とした明治神宮の森が背後に広がるために、木々に溢れた代々木公園はさらに緑濃く感じられる。北東側の一角にはいわゆる「バードサンクチュアリ」も設置されている。この「バードサンクチュアリ」は日本で最初に造られたものという。

南側には当然のことながら「B地区」とを繋ぐペデストリアンデッキがある。このペデストリアンデッキは南側の渋谷方面から公園にやってきた時には公園(「A地区」)へのエントランスの役割を果たすわけだが、このペデストリアンデッキを利用して「展望デッキ」が設けられており、そこからは北方にまっすぐ「中央広場」を見ることになり、なかなか良い眺望が楽しめる。これも日本初の試みであるそうだ。

“三角形”の頂点に当たる北側の部分には「サイクリングセンター」が設けられている。所定の料金を支払えば自転車を借りることができ、園内に設定されたコースでサイクリングを楽しむことができる。「サイクリングセンター」のやや南側には愛犬家のために「ドッグラン」が置かれている。利用するにはサービスセンターでの登録が必要なようだが、利用者は多いようで、駐車場から犬を連れてやってくる人の姿も少なくない。

「中央広場」は代々木公園の魅力を象徴するものと言っていい。都心の立地でありながら、これほどに開放感に溢れた草はらが存在することに少しばかり驚きを感じる。東京都公園協会では“都心で一番広い空が見られる森林公園”と謳っているが、あながち誇張ではない。広場の南端部分には池や噴水を配して水景施設が設けられ、単調になりがちな公園の風景にアクセントと潤いを与えている。

訪れたのは五月半ば、新緑は瑞々しく陽光に輝き、木々を揺らして吹き渡る風も爽やかだ。広場を囲む木々の木陰で、あるいは池の畔で、たくさんの人たちが思い思いに公園でのひとときを過ごしている。陽気の良い日だったから、池の岸辺では上半身裸になって日光浴をする人の姿も少なくなかった。


代々木公園

代々木公園

代々木公園代々木公園
五月の半ば、バラの美しい季節だ。「中央広場」の南側、「展望デッキ」前の散策路周辺に「バラの園」と名付けられたバラ園が設けられており、三十種を超える品種のバラを楽しむことができる。傍らには案内板が設けられ、どの区画にどの品種が植えられているのかがわかるようになっている。

「バラの園」のコンセプトを記した案内板によれば、代々木公園では品種改良によって誕生した数々の観賞バラとは少々趣の違う、原種や野生種に近い品種が集められており、修景バラ(ランドスケープ・ローズ)やつるバラ(クライミング・ローズ)が中心になっているという。バラに詳しくない身ではそうしたこともあまりよくわからないが、さまざまな品種のバラの美しさを楽しめれば、それで充分だという気もする。

五月の陽光を浴びて咲き誇る、種々のバラの美しさは見事なものだ。開放感に富んだ公園の中、瑞々しい緑に包まれて咲く色とりどりのバラの花を見て歩くのは楽しい。バラの花そのものも美しいが、バラの咲く風景としても代々木公園は充分に美しい。バラ園内の散策路を歩けばバラの花を間近に楽しむことができるのもいい。バラを目当てに訪れる人は意外に少ないようで、有名なバラ園のように観賞客で込みあうこともなく、のんびりと観賞できるのも嬉しい。
代々木公園

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「中央広場」北側の一角にもバラの植えられた一角がある。規模はそれほど大きなものではないが、木々に包まれた一角に明確な区画を設けずにバラが植栽されており、素朴な佇まいが楽しい。このバラ花壇は「武蔵野バラ会」によって管理されているものらしい。2004年(平成16年)に創立50周年を迎えた「武蔵野バラ会」が記念行事としてバラを植栽したという旨を記した案内板が立てられている。

このバラ花壇の周囲は「中央広場」の延長の草はらで、シートを広げることができるのが嬉しい。バラ花壇の近くにシートを広げ、バラを眺めながらのランチタイムは素敵なひとときに違いない。


代々木公園

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公園の東側、原宿駅側の入口から入ってすぐ北の辺りに、かつてここが東京オリンピックの際の選手村だったことを物語るものが残されている。白壁に淡いブルーグリーンに塗られたドアや窓枠が爽やかな印象の建物は、東京オリンピック当時、オランダの選手の宿舎として使われたものという。オリンピックの記念としてただひとつ残されたものらしい。建物は柵で囲まれ、内部を見学することはできないが、初めて代々木公園に訪れたときにはやはり一度は見ておきたい。

この建物の左手奥は「見本園」名付けられており、東京オリンピック参加国のうち、22カ国が代表的な樹木の種を持ち寄り、その種から育てた樹木を残しているもので、そのうちの10種30本が現存しているという。


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代々木公園はJR山手線原宿駅から至近という都心の立地でありながら、驚くほどの広大さと豊富な緑を備えた公園だ。陸上競技場やサッカー・ホッケー場は「B地区」に分離し、「A地区」には必要以上に凝った施設を設けず、基本的に広場と樹林から構成された在り方も素敵だ。その広さとシンプルさゆえにあらゆる楽しみ方に応えてくれる。

家族やグループで訪れて「中央広場」の木陰にシートを広げ、ピクニック感覚で楽しむのもいい。子どもたちのための遊具は設置されていないが、開放感に溢れた「中央広場」は何よりの遊び場だろう。あるいはひとりで訪れて、池の畔の木陰に腰を降ろしてのんびりと読書を楽しむのもいい。園内を周回する散策路を辿って木漏れ日を浴びながらの散策を楽しむのもいい。来園者のそれぞれがそれぞれの楽しみ方で公園のひとときを過ごしている様子は、代々木公園の魅力を象徴する風景と言っていい。
参考情報
本欄の内容は代々木公園関連ページ共通です
交通

代々木公園へはJR山手線原宿駅や東京メトロ千代田線代々木公園駅から至近で、それぞれ駅から公園入口まで徒歩で2、3分といったところだ。小田急小田原線代々木八幡駅からも徒歩で数分と近い。

公園駐車場は公園北西側に設けられており、有料で146台分が用意されている。その他、周辺には数多くの民間駐車場が点在している。

飲食

緑に溢れ、開放感に富んだ代々木公園は、やはりお弁当とシートを持参しての広場でのアウトドアランチがお薦めだ。ピクニック気分で楽しめる。園内には本格的な食事のできるレストランなどはないが、三カ所の売店があり、ドリンク類の他、カレーライスや牛丼、焼きそばなどの軽食類も販売している。土日祝日やお花見のシーズンなどにはケータリングカーによる軽食販売も行われるようだ。必要に応じてそれらを利用してもいい。また公園南西側、陸上競技場の西側周辺にはコンビニエンスストアも多いようだ。

周辺

代々木公園の北東側には背中合わせのように明治神宮が隣接している。時間が許せば参拝してゆくといい。鬱蒼とした木々に包まれての散策は心休まるひとときだ。

代々木公園の南東側は原宿、南は渋谷の街が近い。公園でひととき過ごした後は街へ出て食事や買い物を楽しむのも悪くない。
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