佳景探訪
府中の森公園
東京都府中市のほぼ中央部、浅間町一丁目に府中の森公園という東京都立の公園がある。市街地の中に位置する公園だが、園内は木々が茂って緑に溢れ、子どもたちの遊び場としても人気だ。新緑の美しい五月の初旬、府中の森公園を訪ねた。



府中の森公園
府中の森公園は草はらの広場や樹林などから構成された公園で、一角にはサッカー場やテニスコート、小野球場なども置かれている。約17ヘクタールという面積は特筆するほどの広さではないが、広場や林、小川や遊具広場などをうまく配して充実した造りになっており、休日のひとときをのんびりと過ごすには充分に魅力的なものだ。


府中の森公園

府中の森公園

府中の森公園
公園中央部、やや南に寄って円形の広場がある。石畳となった広場の中央には噴水を設けた池が置かれている。噴水池の中央にはモニュメントが建っており、これが公園のひとつのシンボルと言っていいのだろう。外縁部にはベンチも置かれ、のんびりとくつろぐ人の姿も少なくないところだ。

噴水の広場から北へまっすぐに広いプロムナードが延びている。「花のプロムナード」と名付けられており、その名が示すように桜並木のプロムナードだ。春の景観は素晴らしく、毎年お花見の人たちで賑わっている。今回訪れたのは五月の初旬、並木は新緑が日増しに緑の濃さを増し、その下を歩けば揺れる木洩れ日が美しい。

「花のプロムナード」の東側、公園のほぼ中央に位置してサービスセンターと売店が置かれており、その東側が駐車場だ。駐車場の北側には「バーベキュー広場」があり、その北側には公園の北東側の一角を占めてテニスコートやサッカー場、少年野球などに使用できる少野球場が置かれている。スポーツ施設の利用は有料で予約が必要だ。バーベキュー広場も予約が必要だが、料金は必要ないようだ。

「花のプロムナード」を北端まで歩くと、プロムナードの東側に府中市美術館が建っている。府中の森公園は東京都立の公園だからもちろん管轄が違うわけだが、美術館はその附帯施設であるかのように公園に溶け込んでいる。美術館だけあって建物自体の意匠も美しく、公園の緑濃い風景の中に馴染んでいる。ときにはゆっくりと美術品を観賞するのもよいものだ。公園に訪れたときには美術館にも立ち寄ってみたい。


府中の森公園

府中の森公園
「花のプロムナード」を挟んで府中市美術館の向かい側には「水辺の広場」と名付けられた一角がある。池の中にアーチ状の噴水が設けられ、子どもたちが水遊びを楽しんでいる。噴水は時間によって水の出方が変わる。水遊びの場所であるとともに、装置の形状と噴出する水そのものを含めてひとつのオブジェとしても考えられているのかもしれない。なかなか面白い。

「水辺の広場」の水はそのまま小川となって南へ流れてゆく。小川はもちろん人工的なものだが、木々を縫うように緩やかな蛇行が与えられ、石なども配されて自然の渓流を模した造りになっている。この小川ももちろん夏には水遊びを楽しむ子どもたちで賑わっている。小川の岸辺には木々が陰を落とし、子どもたちを見守る親にとってはありがたいものだろう。

小川の西側は子どもたちのための遊具を置いた「遊具広場」で、滑り台や砂場といったものからフィールドアスレチック風の木製遊具などが設置されている。普段は近くに暮らす子どもたちの日常的な遊び場になっているようだ。


府中の森公園

府中の森公園
「遊具広場」の南側には公園の西側中央部を占めて草はらの広場がある。広場は平坦ではなく、わずかな起伏を伴った丘を成している。それほど広大な印象ではないが、なかなか開放感もあり、緑の木々に包まれて穏やかな空気感に満ちているのがいい。広場の脇で大きく枝を広げる木々の下にシートを広げ、のんびりとランチタイムを過ごすというのは、やはりこうした公園の過ごし方の王道のひとつだ。

草はらの広場の南側は、公園の南西側の一角を占めて樹林地が横たわっている。「武蔵野の森」と名付けられ、その外縁部を散策路が辿っている。「武蔵野の森」の東側、噴水広場の東南側に位置して日本庭園も置かれている。それほど本格的なものではないが、池を設けて小さな滝や四阿などもあり、日本風の佇まいに造られた一角だ。東府中駅から徒歩で訪れると、この日本庭園付近が公園のエントランスとして機能することになるだろう。公園の南側には府中の森芸術劇場が隣接し、その建物の中から公園へと続くデッキも設けられている。


府中の森公園
府中の森公園は、その園内にさまざまな彫刻作品が設置されている。府中市では1992年(平成4年)に「彫刻のあるまちづくり」事業を開始、市内随所に彫刻作品を設置しているという。府中の森公園にも十作品が展示されており、噴水広場中央のモニュメントもそのひとつであるようだ。他にも「花のプロムナード」や「武蔵野の森」の散策路脇などに彫刻作品が設置されており、それらを探しながらの散策も楽しい。

公園内に設置された彫刻作品の中でも最も印象的なものが広場の北側の散策路脇に設置された作品だろう。ベンチに並んで座り、顔を向き合わせて話をする若い女性ふたりを象ったものだが、遠目に見ると本当に人が座っているのかと思ってしまうのも楽しい。これは朝倉響子による1993年の作品で、「アンとミッシェル(Anne & Michelle)」と題されたものだ。朝倉響子は1925年、彫刻家である朝倉文夫の次女として生まれた。1948年から1951年まで4回連続の日展特選という経歴を持つ。特に女性像に定評があり、欧米女性をモデルにしたすらりとして上品な女性像は他の日本人彫刻家の女性像とは一線を画すものがある。木々の緑を背景に観る朝倉響子の「アンとミッシェル(Anne & Michelle)」は、府中の森公園の気品ある象徴のひとつと言っていいのではないかと思う。


府中の森公園
府中の森公園は特筆するほど広大な公園というわけではないが、市街地に位置する公園として充分に魅力的なものだ。休日に家族連れで訪れても充分に楽しめるだろう。特に初夏から夏にかけては子どもたちの水遊びの場所としてとても魅力的な公園であるに違いない。木々の茂った公園は緑に溢れ、のんびりと散策を楽しむにもよいところだ。今回訪れたのは五月の初旬、新緑は眩しく、散策路脇でホウノキが花を咲かせていた。
参考情報
本欄の内容は府中の森公園関連ページ共通です
交通

電車での来訪であれば京王線東府中駅が近く、駅から北方へ10分ほど歩けば公園に着く。JR中央線を使う場合は武蔵小金井駅からバス路線を利用しなくてはならない。

車で訪れる場合は国道20号の「東府中」交差点や「緑町二丁目」交差点から北へ入り込むのがわかりやすいだろう。遠方の人は中央自動車道の国立府中ICから国道20号を東進、あるいは調布ICから国道20号を西進すればいい。

駐車場は有料で100台分を越えるスペースが用意されているが、お花見の時期や行楽シーズンの休日には足りなくなりそうだ。駐車場入口は公園東側の「平和通り」に設けられている。

飲食

公園中央部、駐車場横のサービスセンター脇に売店があり、カレーや牛丼、ラーメン、焼きそば、うどん、エビピラフ、おでんなどといった軽食とドリンク類を販売しているので、簡単な食事には困らない。また公園北端部に建つ府中市美術館にもカフェが併設され、軽食やデザート類、ドリンクなどを扱っている。テラス席もあり、公園の木々を眺めながらのんびりと食事をすることもできる。公園南側に隣接する府中の森芸術劇場の中にもレストランがあるから、これを利用するのもいい。

木々の茂った公園だから、お弁当を持参して木陰にシートを広げてのランチタイムもお勧めだ。公園周辺は住宅街で、コンビニなども駅近くへ行かないとないようだ。お弁当やおにぎりを買って公園へ来ようというときには、途中で立ち寄っておいた方がいい。

周辺

公園の南側には府中の森芸術劇場が隣接し、北には府中市美術館が建っている。例えば芸術劇場での音楽や舞台の観賞のついでに時間に余裕を持って訪れ、美術館や公園内の彫刻作品を観賞しながらの散策を楽しむというのもなかなか素敵な時間の過ごし方であるかもしれない。

また公園北側から東へ辿れば新小金井街道の東側に浅間山公園がある。浅間山公園も東京都立の公園で、浅間神社の鎮座する丘を中心にした自然溢れる公園だ。併せて訪ねてみるといい。
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