東京都清瀬市では毎年八月に民間の農地を利用して「ひまわり畑」を造り、「清瀬ひまわりフェスティバル」を開催している。10万本のひまわりだそうだ。夏の盛りの八月半ば、「清瀬ひまわりフェスティバル」を訪ねた。
清瀬ひまわりフェスティバル
東京都清瀬市の東部、下清戸地区の農地を利用してひまわり畑が作られ、八月に「清瀬ひまわりフェスティバル」が開催される。今回(2012年)で5回目だそうだ。ひまわり畑の面積は2万平方メートル、植えられるひまわりは10万本を数えるという。
清瀬ひまわりフェスティバル
ひまわり畑に使われる農地は石井ファームが小麦を生産しているところだそうだ。小麦の収穫後にひまわりを植え、花を終えたひまわりは緑肥として利用されるという。その石井ファームのご厚意によって「清瀬ひまわりフェスティバル」が開催されているというわけだ。
清瀬ひまわりフェスティバル
2万平方メートルと言われてもなかなか実感しにくいが、要するに100メートル×200メートルの長方形の面積が2万平方メートルである。それほど“広大な”ものではない。しかし、実際にひまわり畑を目の当たりにすると体感的には充分に広い。周辺には農地が広がり、高い建物も近くにはなく、平地が広がる地形であるために視覚的にも広さを感じるのだろう。
清瀬ひまわりフェスティバル
清瀬ひまわりフェスティバル
そのような中で見るひまわり畑の風景は見事なものだ。真っ青な夏空の下、文字通り畑を埋め尽くしてひまわりが咲き誇る。その向こうにはやや遠く離れて近辺の家々や木々の姿があり、その遥か向こうで夏雲が湧き起こっている。まさに夏を象徴する風景だ。ひまわり畑の中を抜けるように設けられた通路を辿れば、人の背丈ほどに育ったひまわりに包まれる。見えるのはひまわりの花と、道の向こうに茂る木々の緑と、夏空だけだ。夏空とひまわりとが織り成す風景には、忘れていた記憶を呼び覚まされるような魅力がある。そう思うのは、夏という季節への個人的な思い入れのせいだろうか。
清瀬ひまわりフェスティバル
清瀬ひまわりフェスティバル
ひまわり畑を少し高みから眺められるようにと、見晴台も設置されている。見晴台は足場用のパイプを組んで造られた簡素なものだが、3メートルほどの高さはあるだろうか。少し高みへ上がっただけだが、見晴台から眺めるひまわり畑はまた別の表情を見せる。ひまわり畑の中に埋もれるようにして歩くのも楽しいものだが、オレンジ色の絨毯を敷き詰めたように広がるひまわり畑を高所から眺めるのも良いものだ。訪れたときには見晴台からの眺めも堪能しておきたい。
清瀬ひまわりフェスティバル
清瀬ひまわりフェスティバル
ひまわり畑はいくつかの区画に分けられ、区画毎に開花時期をずらして植えられているようだ。そのため、畑の全域で咲き揃う光景は見ることができないが、「清瀬ひまわりフェスティバル」の開催期間中は必ずひまわりの花を楽しむことができるわけだ。“太陽の位置を追って花の向きが変わる”というので向日葵(ひまわり)の名があるわけだが、実際には開花したひまわりの花が太陽を追って向きを変えることはなく、花は基本的に東を向いている。訪れるなら、特に写真を撮りたい人は、花が陽光を受ける午前中の来訪をお勧めする。
清瀬ひまわりフェスティバル
清瀬ひまわりフェスティバル
今回(2012年)訪れたのは「清瀬ひまわりフェスティバル」が始まって間もなくの頃だった。敢えて平日に機会を設けて訪れたのだが、清瀬市が市のウェブサイトでひまわりの開花状況をこまめに発信してくれていたお陰で見頃となったことを確認して訪れることができた。平日とあって訪れる人はそれほど多くはなかったが、「清瀬ひまわりフェスティバル」開催期間中には延べ数万人が訪れるという。ひまわり畑の横には仮設のテントが設けられ、清瀬産の野菜やひまわりの切り花などを販売している他、来訪者向けにドリンク類やかき氷の販売も行われている。週末にはイベントなども開催されるようだ。
清瀬ひまわりフェスティバル
夏空の下、辺り一面を覆って咲き誇るひまわりの花は、夏という季節を象徴する風景だろう。“夏景色”というものに心惹かれる人にはお勧めの、清瀬のひまわり畑である。
参考情報
清瀬ひまわりフェスティバルは入場料などは必要ない。会場は基本的に民有地の畑地を利用したものなのでフェスティバル開催期間中以外は立ち入ることができない。フェスティバル開催期間中も解放区域外への立ち入りは禁止だ。

会場にトイレは設けられているが簡易トイレだ。トイレは訪れる前に済ませておくことをお勧めする。

交通
清瀬ひまわりフェスティバルの会場へは駅からバスを利用しなくてはならない(清瀬駅から歩くと40分ほどかかるらしい)。西武池袋線清瀬駅北口から西武バスの「志木駅南口」行き、あるいは東武東上線志木駅南口から西武バスの「グリーンタウン経由清瀬駅北口」行きなどの路線を利用し「下宿入口」バス停で下車、「下宿入口」バス停から会場までは徒歩で3分ほどだ。バス路線の詳細などについては清瀬市公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)や西武バスのサイトを参照されたい。

車で来訪する場合は志木街道(都道40号)を利用するのがわかりやすい。遠方から訪れる人は関越自動車道所沢ICから国道463号を東進、国道254号を南下、「野火止」交差点から志木街道を西進するといい。清瀬ひまわりフェスティバルの会場は志木街道の「長命寺前」交差点付近から南東側へ入り込んだところに位置している。志木街道から逸れると道が少しわかりにくいが、近くに行けば「清瀬ひまわり」などと記した案内板が立てられているので迷うことはないだろう。

会場近くの「清瀬市コミュニティプラザひまわり」の駐車場が利用できるとのことだ。2012年に訪れたときには「清瀬市コミュニティプラザひまわり」に隣接したグラウンドが臨時駐車場として使われており、100台分ほどの駐車スペースがあるように見えた。清瀬市では公共の交通機関を利用しての来訪を推奨している。「清瀬市コミュニティプラザひまわり」から清瀬ひまわりフェスティバルの会場まで徒歩で10分ほどだ。

ナビを利用する人は「清瀬市コミュニティプラザひまわり」を目的地に設定するといい。

飲食
会場ではボランティアらしい人たちがドリンク類とかき氷の販売を行っていたが、軽食類はない。清瀬ひまわりフェスティバルの会場近くにも飲食店は見あたらない。志木街道沿いにはファミリーレストランなどが点在しているようだが、清瀬ひまわりフェスティバルの会場からは近くはない。食事は清瀬駅周辺など、他へ移動して楽しもう。

会場にはテントとテーブルによる“休憩所”も設けられているが、何しろ夏の盛りだ。お弁当持参はお勧めしない。

周辺
清瀬ひまわりフェスティバルの会場周辺は農地の広がる風景だ。ひまわりを観賞した後で少し足を延ばして散策してみるのも楽しい。

清瀬ひまわりフェスティバルの会場からは少し距離があるが、北方には清瀬市と所沢市との境に沿って柳瀬川が流れており、河岸には散策路が整備されているようだ。河岸には清瀬金山緑地公園という公園もある。車で来訪した際には立ち寄ってみるのもよいかもしれない。

また清瀬駅から北へ、清瀬市役所へ向かって延びる道路は「けやき通り」と呼ばれるケヤキの並木道で、1994年に放送されたNHK連続ドラマ「欅通りの人びと」の舞台となったところだそうだ。けやき通りには野外彫刻作品が展示され、沿道には清瀬市郷土博物館も建っている。町散歩の好きな人なら訪ねてみたい。

東へ向かえば都県境を越えて埼玉県新座市、有名な平林寺も遠くない。寺社巡りの好きな人なら訪ねてみたいところだろう。
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