日南線の旅〜駅の横側
福島高松駅
福島高松駅
福島今町駅から志布志湾岸を西へ辿った日南線は、やがて福島高松駅に到着する。「福島高松」とは面白い名だが、「福島」は1954年(昭和29年)に市制が施行されて串間市が誕生する以前の、この付近の町名である「福島町」に由来する(駅の開業は「串間市」の誕生より先だ)。「高松」は字名だ。高松は串間市の西南端に位置し、西隣は鹿児島県志布志市になる。
福島高松駅
日南線は東隣の福島今町駅から西へ国道220号と併走するように寄り添って志布志湾岸を走っているのだが、高松の集落の辺りで2kmほどの区間、その両者が少し離れる。だから福島高松駅は国道から見えず、国道脇に設けられた小さな案内標識を見落とすと駅があることにすら気付かないかもしれない。駅を指し示す小さな標識の横に細道がある。国道からその細道を北側に入り込み、民家の横を抜けてゆくと、小さな広場があって、その広場の隅に小さな駅舎が建っている。駅舎とは言ってももちろん無人駅だから、駅舎は日南線利用客の待合所としての役割でしかない。駅舎の中には「ようこそ!! 串間市へ」、「おかえりなさい!!」、「串間市の四季おりおりの自然・観光・物産 やすらぎを存分に満喫して下さい」などと記されたパネルが掲げられ、駅に降りる客を出迎えている。駅は片側使用のホームがあるだけの簡素なもので、その北側には長閑な田園風景が広がっている。駅のすぐ北側には牛舎があり、時にその臭いが漂ってくるのが難点と言えば難点か。
福島高松駅
福島高松駅 福島高松駅
福島高松駅
この福島高松駅は、いわゆる「秘境駅」として語られることもある。周辺に人家も少なくなく、国道にも近いから「秘境」という形容には相応しくない気もするが、駅周辺に広がる長閑な風景が、そうした趣味の人たちを惹きつけるのかもしれない。またこの駅にはいわゆる「駅ノート」が設置されており、訪れた人がそれぞれに旅の思い出などを書き綴っている。この駅ノートにはしっかりと管理している人がおられるようだ。駅ノートの管理はまったくのボランティアだと思うが、その熱意には頭の下がる思いがする。そうしたこともあってか、この福島高松駅は鉄道趣味の人たちの間ではなかなかよく知られた駅らしい。
福島高松駅 福島高松駅
高松の集落は志布志湾岸の田園地帯で、山々と田畑が広がる風景の中に民家が点在している。駅前から少し西へ行くと福島高松漁港があり、その横手の浜辺は高松海水浴場になっている。だから福島高松駅は高松海水浴場の最寄り駅ということになる。駅から海水浴場までは徒歩で10〜20分ほどだろうか。

福島高松駅を出発した日南線は、いよいよ宮崎県に別れを告げる。いくつかのトンネルを抜けながら県境を越え、鹿児島県志布志市だ。海岸に沿った国道220号と寄り添ったり、少し離れたりしながら、やがて大隅夏井駅に到着する。
福島高松駅
INFORMATION
福島高松駅
【所】宮崎県串間市高松
【開】1949年(昭和24年)9月15日
このWEBページは「日南海岸散歩」内「日南線の旅」カテゴリーのコンテンツです。
ページ内の写真は2007年夏に撮影したものです。本文は2010年2月に改稿しました。