横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市中区新港町
汽車道
November 2016
汽車道
日本丸メモリアルパークの傍らから新港地区へ向けて、大岡川河口の湾を横切るように舗道が延びている。「汽車道」という。細長い人工島と橋梁とを組み合わせて整備されたもので、そもそもはかつての新港埠頭の物資輸送に使われた臨港鉄道の遺構を保存・利用したものだ。汽車道の路面にはそのレール跡が残されている。1989年(平成元年)に開催された横浜博覧会の際にはこの路線跡を利用して桜木町から山下公園まで汽車が走ったのだという。
汽車道
汽車道には三つの橋梁が架かっているが、これらもそれぞれ横浜市の歴史的建造物に認定された貴重なものだ。最も桜木町駅寄りの橋梁を「港一号橋梁」、次を「港二号橋梁」と呼び、どちらも1907年(明治40年)に臨港鉄道用に敷設されたものだ。鉄道院の設計、アメリカン・ブリッジ・カンパニー社によって建造された代表的な米国トラス橋で、それまでの英国式トラス橋に代わるものであったという。新港地区寄りの「港三号橋梁」はそもそもは夕張川橋梁であったものが後に大岡川橋梁の一部として使われ、現在汽車道の一部として移設されたものだ。ポニー・ワーレン・トラス橋という英国形式ワーレン・トラス橋で、これは日本最初の鉄道橋(旧六郷川橋梁)と同じ構造なのだという。それぞれの橋梁には詳しい説明板が付けられている。興味のある人は見てみるとよいだろう。
汽車道
実はランドマークタワーをはじめとするみなとみらいの高層建築群の織りなす風景を楽しむベストポイントが、この汽車道と言ってもいい。桜木町側からコスモワールド付近への眺めもいいし、運河パーク側からランドマークタワーを正面に見る風景などは「今の」横浜の最も象徴的な眺めだと言ってよいだろう。場所を変えれば景観の表情も変わり、それぞれにフォトジェニックな風景を見せて何度もカメラを向けてしまう。季節や時刻によっても日差しの角度や向きが変わって風景の印象が変わって楽しめる。空気が澄んで真っ青な空を背景にビル群が浮かび上がる秋から冬の景観は特にお勧めだ。夜になればビル群の灯りが水面に揺らめき、光のただ中にいるようでロマンティックな雰囲気が素晴らしい。みなとみらいのビル群が織り成す風景を楽しむために汽車道を訪れても、充分にその期待に応えてくれるだろう。
汽車道
汽車道は桜木町駅と新港地区と最短距離で結ぶプロムナードだが、単なる通路ではなく汽車道自体がひとつの“公園”としても楽しめるように工夫が凝らされている。ワールドポーターズ側に近い辺りでは通路脇には緑地が整備され、水辺に沿ったボードウォークも設けられている。緩やかな傾斜を伴った草地に腰を下ろし、みなとみらいのビル群を正面に見ながらのんびりと時を過ごすのもお勧めだ。大岡川河口部を行き来する遊覧船などの姿を眺めながら、ひとときゆったりと時を過ごすのもよいものだろう。
汽車道は桜木町駅からワールドポーターズや赤レンガ倉庫へと繋ぐ通路としての役割を担い、さらに桜木町駅から港の見える丘公園へと至る「開港の道」のルートの一部も担っている。その意味では、桜木町駅から横浜ベイエリアの定番観光名所を辿っての横浜観光へと出発する際へのエントランスとしての意味合いもあるかもしれない。“港ヨコハマ”の観光への高揚感を誘う、素敵なプロムナードである。
汽車道

汽車道

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