横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市聖ヶ丘
馬引沢南公園
Visited in May 2023
馬引沢南公園
多摩市聖ヶ丘の南端に馬引沢南公園という公園がある。所在地の住所は聖ヶ丘だが、公園の名が示すように「馬引沢」というのがこの辺りの古くからの地名だったようだ(北西の方角には「馬引沢」という名の町名もある)。広場と丘から構成された公園で、多摩丘陵の尾根に位置し、園内の地形にもそれを感じることができる。園内には林地もあり、四季折々に美しい表情を見せてくれる公園だ。
馬引沢南公園 公園の南側部分は小高い丘で、木立に囲まれた芝生の広場になっている。夏は木々の葉が茂って見通しが利かないが、葉の落ちる晩秋から早春にかけては視界が開けてこの丘からの見晴らしはよく、丘の西側のベンチに座って馬引沢方面の景観をのんびりと眺める人の姿を見ることもある。

丘には桜の木もあり、春の景観は見事だ。お花見の穴場といったところだろう。丘の中ほどには遅咲きの八重桜も何本か植えられており、ソメイヨシノが終わってもお花見を楽しむことができる。

馬引沢南公園 丘の一角に四阿が設けられている。この四阿の屋根の下には、かつて相撲の土俵があり、「馬引沢南公園相撲場」という多摩市の屋外運動施設のひとつだった。ときおり相撲大会のような催しも行われていたらしいが、使用頻度は少なかったようだ。

ほとんど使われることのない土俵はやがて存在意義も薄れてしまったのだろう。2020年度(令和2年度)中に整備工事が行われ、土俵は撤去されて通常の四阿に転用されている。四阿は土俵時代の屋根部分を残し、屋根の下の土俵があった部分は平らにならされてベンチが置かれている。

馬引沢南公園 公園の北側部分には雑木林の斜面に隔てられて平地となった広場がある。南側が丘になっていて木々が茂っているためか、広場は少しばかり暗く閉鎖的な印象もあるが、新緑の季節には瑞々しい若葉に包まれたような感覚が味わえる。広場の隅には花壇があり、普段から整備の手が行き届いているらしく、季節の花々が美しく咲いていた。

北側の広場と南側の丘とを繋いで、林の中を園路が辿っている。石段になった園路を歩けば木漏れ日も美しく、新緑の季節や紅葉の季節の散策は特に楽しい。

馬引沢南公園 公園の西側には南北に「聖ヶ丘遊歩道」が通っており、北へ向かえば聖ヶ丘の住宅街を抜けて遊歩道が続く。「聖ヶ丘遊歩道」に面した部分が公園のメインエントランスと考えていいと思うが、「聖ヶ丘遊歩道」と公園との境界は曖昧で、緑の多い住宅地の中に溶け込むように公園があると言っていい。

公園の南側には丘陵を切り通しで抜けるような形で都道18号府中町田線が通り、尾根幹線(南多摩尾根幹線道路)と多摩ニュータウン通りの「諏訪下橋」交差点を繋いでいる。その道路を剣橋という人道橋が跨いで、南側に隣接する多摩東公園へと遊歩道を通している。
馬引沢南公園
これといった特徴のある公園ではないが、丘を囲む木々の四季の表情がいい。桜が咲き誇る春の景観ももちろん美しいが、新緑や紅葉の頃もいいし、葉の落ちた冬の木立の間から眺望を楽しむのもいい。近所に暮らす人にとっては日常的な散策の場所として親しまれているのだろう。トイレは北西側の角にある。この公園には駐車場はないが、公園利用者は多摩東公園の駐車場を利用してもかまわないようだ。
馬引沢南公園
馬引沢南公園
馬引沢南公園