横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市中沢
中沢池公園
June 1999
中沢池公園
多摩センター駅から西へ二十分ほど歩くと、谷戸の奥まったあたりに中沢池公園がある。公園は雑木林の木立に囲まれているが、実は周囲にはゴルフコースが広がっており、そのクラブハウスへ向かう道の途中の傍らにこの公園は位置している。地図で見ると、多摩市の西端から八王子市との境を跨いで広がるゴルフコースの中央部分に食い込むようにこの公園があることがわかる。このあたりは地理的には多摩ニュータウンの真っ直中なのだが、ゴルフコースとこの公園を含む一帯が多摩ニュータウンの整備区域から除外されているようで、そのために公園の周囲にも昔ながらの自然が残る結果となったように思える。
中沢池公園
中沢池公園はその名が示すように池を抱えた公園で、池は中沢池という。かつて寛文年間(1661〜1672年)に領主土屋但馬守の元で落合の領民によって掘られた農耕用の溜池だったという。横25間(約45メートル)、縦43間(約75メートル)の堤を持つ、と当時の文献には記されていたらしい。1978年(昭和53年)に多摩市有地となり、1990年(平成2年)から二ヶ年の整備の後に公園として開園した。中沢池は現在では釣り場となっており、池のほとりにはいつでも釣り糸を垂れる人たちの姿がある。

中沢池公園
またこの公園は花菖蒲の名所としてもよく知られており、五月下旬から六月にかけての花期には花菖蒲を目当ての人々が訪れて賑わっている。林に囲まれた谷戸の雰囲気を残す公園の佇まいに、花菖蒲の咲き誇る菖蒲田はよく似合っており、この公園を訪ねるのに最もお勧めなのがこの時期と言えるだろう。園内の散策路を辿って花菖蒲を間近に楽しむのもよく、また一段高くなった道路の方へ登って高みから見下ろす様子もなかなか美しい。奥の一角には水車小屋なども設置されてあり、昔懐かしい谷戸の農村の風景を彷彿とさせるのもいい。

中沢池公園
周囲に住宅が迫っていないために公園は静かで穏やかな雰囲気を保っている。公園の東側部分には狭いながらも芝生の広場があり、ベンチや水辺の四阿なども設置されているので、のんびりとひとときを過ごすのもいいだろう。池のほとりで釣り人の垂れる釣り糸を見ながら過ごすのも悪くない。南側の林の下を小川が流れており、今では珍しくなった自然のままの流れの景観を見ることができる。水は必ずしも「清流」というわけではないが、水辺の植物や小動物の姿も見ることができる。

また桜の名所として名を挙げられることはあまりないようだが、池のほとりの林や広場の傍ら、そして周囲を囲むゴルフコースの中などに桜の木も少なくなく、桜の季節の景観も美しいものがある。お花見の穴場としてもよい場所かもしれない。
多摩センター駅から公園まで往復を歩くと少々退屈かもしれないが、その道程の途中から南へと道を逸れ、ゴルフコースの南側の外郭に沿った「からきだの道」を歩いて、唐木田の街へ、さらに八王子市別所の街まで足を伸ばすと楽しい散策のひとときを過ごすことができるだろう。公園脇の道路沿いに十台分ほどの駐車場が用意されており、8:30〜17:00の時間帯で利用できる。トイレも設置されているので、お弁当などを持って余裕を持って訪れるのもよいだろう。
中沢池公園