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横浜市西区宮崎町
伊勢山皇大神宮
Visited in October 2000
伊勢山皇大神宮
桜木町駅の西方の「伊勢山」と呼ばれる丘の上には伊勢山皇大神宮が鎮座している。1870年(明治3年)創建というこの神社は、現在の掃部山公園のあたりにあった旧戸部村の祠を遷座し、三重の伊勢神宮から分霊を受けたものだという。
伊勢山皇大神宮
伊勢山皇大神宮は当時の神奈川県知事井関盛艮が国費によって創建したもので、同時にそもそもは野毛山の一部であったこの地の名を伊勢山と改めたものであるらしい。以来、横浜の総鎮守として、また「関東のお伊勢さま」とも呼ばれて広く人々の信仰を集めている。

5月中旬の例大祭も壮大なものであるらしく、神奈川県神社庁監修のガイドブックによれば、隔年に行われる神輿の渡御ではみなとみらい地区の高層建築群の中を20基の神輿が巡行するのだという。秋には新嘗祭も行われるようであるし、1987年(昭和62年)からは篝火を焚いて舞楽も奉納されるのだという。横浜総鎮守の神事は見応えのある素晴らしいものであるに違いない。

伊勢山皇大神宮
「伊勢」の名が示すように天照大御神を祀るこの神社は横浜の町並みを見下ろすように高台に位置し、樹木に囲まれた静かな佇まいを持っている。境内は広く整然としており、横浜総鎮守の神域らしい凛とした空気に包まれている。緑の樹木を背にした拝殿を晴天の下に見る時の様子などは荘厳さを感じさせながらどこか清々しく晴れやかで、まさに天照大御神を祀る社という気がして素晴らしい。現在ではみなとみらい地区をはじめとして近隣には高層の建物が増えてしまったが、創建当時はその鳥居と樹木などが港に入る船上からも見えたのだという。見事な景観であったに違いない。

伊勢山皇大神宮
普段から参拝する人の姿は少なくないが、訪れた秋晴れの日、ちょうど婚礼が行われていた。古式ゆかしい神前の婚礼の儀式は偶然居合わせた立場の目にも美しく、式が終わって社殿を後にする花嫁の少し恥じらうような笑顔が印象的だった。伊勢山皇大神宮の婚礼は1906年(明治39年)から行われているものらしく、今は紅葉坂に面して経つホテル開洋亭での結婚式で伊勢山皇大神宮本殿での挙式も選べるようだ。
伊勢山皇大神宮は桜の名所としても知られ、桜の時期の景観はとても美しい。裏参道から出ると横浜能楽堂や掃部山公園にも近く、また桜木町駅側へと丘を降りれば成田山別院などもあって近辺の散策も楽しい。表参道側に20台分ほどの駐車場があり、また開洋亭の駐車場も利用できるようだが、桜木町駅や京急日ノ出町駅から徒歩で10分ほどの距離なので、散策が目的であればのんびりと歩いて訪れてみるのがお勧めだろう。
伊勢山皇大神宮
伊勢山皇大神宮