神奈川県平塚市の「花菜ガーデン」はさまざまな花々が観賞できる施設だ。園内にはさまざまな品種の百日紅が植えられており、夏になれば美しい姿を見せてくれる。百日紅が見頃を迎えた八月初旬、「花菜ガーデン」を訪ねた。
神奈川県平塚市の「花菜ガーデン(神奈川県立花と緑のふれあいセンター)」はさまざまな花や畑に実る野菜などを観賞できる施設だ。夏になれば百日紅が花期を迎え、その他にも向日葵や睡蓮など、夏の花々を愉しむことができる。強い日差しを浴びて咲く花々が、夏という季節の風情を感じさせてくれる。
百日紅は「サルスベリ」の呼称で知られる。ミソハギ科サルスベリ属の落葉樹で、中国南部の原産、日本には江戸時代に渡来したと言われている。樹皮が滑らかで、木登りの上手い猿でも滑ってしまうほどだというので「サルスベリ」の呼称が生まれたという(実際には猿が滑ることはないそうだ)。花期が長く、夏の初めから初秋にかけて咲く。そのことから「百日紅(ひゃくじつこう)」とも呼ばれる。
百日紅は公園内の植栽や街路樹として見る機会も多く、身近な樹木のひとつと言っていい。一口に百日紅と言ってしまうが、紅色の花や白花、紫に近い色の花など、さまざまな種類がある。普段は“白花の百日紅”などと呼んで、品種名を意識することはないのだが、花菜ガーデンでは「ポトマック」や「ユマ」、「ディアパープル」など、それぞれに品種名のプレートが付けられていて、それぞれが“品種”だということに改めて気付かされる。
花菜ガーデンの百日紅は「センターフィールド」北側の「枝百景の丘」周辺を中心に植えられている。野生種や園芸品種など85品種ほどが植えられているという。矮性のものや枝垂れの百日紅などもあって興味深く見学することができる。
「枝百景の丘」北側の園路沿いにはさまざまな品種の百日紅が並び、夏の日を浴びる様子は見事な景観だ。街路樹の並木は同一の品種、あるいは二、三種の百日紅が並んでいるのが通常だが、そうした並木とは少し味わいが違って、それぞれに花の色や樹形の異なる百日紅が並んでいるのが面白い。このような百日紅の景観は花菜ガーデンでしか見ることができないのではないか。
「枝百景の丘」の斜面には矮性の百日紅も植えられている。通常の百日紅は人の背丈を超える高さで、見上げるように花を観賞するものだが、矮性の品種は人の腰丈くらいの高さで花を咲かせている。矮性の百日紅だということを知らなければ、百日紅に似た別の樹木だと思ってしまいかねない。矮性の百日紅が見られるのも花菜ガーデンの魅力だと言っていい。
「枝百景の丘」の頂上部分には園路が辿り、金属製のアーチがいくつか設けられている。アーチにはノウゼンカズラが這っている。ノウゼンカズラと百日紅との競演も夏という季節を象徴するような景観だ。
「枝百景の丘」周辺には随所に百日紅が植えられており、また「みはらしデッキ」横や「キッズビレッジ」近くなど、少し離れたところにも百日紅が植えられている。のんびりと巡ってみればさまざまな“百日紅の咲く風景”を楽しむことができて飽きない。
「三日月山」の一角や「花菜ガルテン」では向日葵を見ることができる。向日葵もまた夏を象徴する花のひとつだ。また「尾根見の池」では睡蓮の花を見ることができる。「尾根見の池」近くの園路脇ではタイタンビカスの花も見ることができる。時間をかけて園内を巡ればさまざまな夏の花にであうことができる。それらの花々も楽しんでおきたい。
「アグリゾーン」の畑ではパプリカやなす、かぼちゃなどが実っている。季節の花々と共にそうした農作物を見ることができるのも花菜ガーデンの魅力のひとつだ。畑の一角に童話に登場する小屋のようなオブジェ(農具入れなのかもしれない)が置かれているのも楽しい。
夏の花菜ガーデンはさまざまな品種の百日紅が楽しめて、百日紅好きの人ならぜひ一度訪れてみるべきところだと言っていい。一般的な紅い花の品種はもちろん、白花のものや薄いピンク色のもの、薄紫色のものなど、さまざまな百日紅が楽しめる。枝振りも品種によって異なり、興味深く見学していくことができる。向日葵や睡蓮といった夏の花々が楽しめるのも嬉しい。夏の花の好きな人にはお勧めの花菜ガーデンである。
本欄の内容は花菜ガーデン関連ページ共通、2024年8月現在の状況です
花菜ガーデンは入園料が必要だ。入園料や開園時間はシーズンによって異なる。詳細は公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
花菜ガーデンへ鉄道を利用して訪れる場合はJR東海道線平塚駅や小田急小田原線秦野駅が最寄りだが、駅からは距離があり、徒歩での来園は難しい。駅からバスやタクシーを利用しなくてはならない。バス路線など詳細については公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
花菜ガーデンには来園者用の有料駐車場があり、車での来訪が便利だ。普通車用で350台分ほどのスペースが用意されている。遠方から訪れる場合は小田原厚木道路を利用し、平塚ICで降り、「平塚インター入口」交差点を右折すればいい。
ただし、バラが見頃となる時期には花菜ガーデン周辺はたいへんに混雑し、平日でも朝から駐車待ちの列が並ぶ。余裕を持って早めに来園することをお勧めする。
園内にはレストランがあり、メニューはある程度限られるものの、本格的な食事を楽しむことができる。
ただしバラの見頃の時期にはレストランもたいへんに混み合い、席が空くまでかなり待たなくてはならない。
お弁当類の持ち込みも可能で、休憩所や芝生広場などでお弁当を広げることができる。バラの時期など、陽気の良い季節ならお弁当持参もお勧めだ。
花菜ガーデンの周辺は広々とした田園地帯だ。いちご農家もあるようで、春にはいちご狩りが楽しめる。
花菜ガーデンから南東へ5kmほどで
平塚市総合公園
がある。施設の充実した規模の大きな公園で、園内の景観は美しく、さまざまな花も楽しめる。足を延ばしてみるのもお勧めだ。
神奈川県立花と緑のふれあいセンター 花菜ガーデン
花菜ガーデン
平塚市総合公園