神奈川県厚木市の七沢森林公園は園内のほぼ全域を雑木林が占める森林公園だが、紫陽花の植えられた場所もあり、六月には美しい景観を見せる。紫陽花が見頃の六月下旬、七沢森林公園を訪ねた。
紫陽花の咲く七沢森林公園
神奈川県厚木市の西部に位置する七沢森林公園は、約65haに及ぶ面積を有する広大な公園で、その名が示すようにほぼ全域を雑木林が占める森林公園だ。公園北端部の「さくらの園」の脇や中央部の「森のかけはし」下には紫陽花が植栽された一角があり、六月には美しい景観を見せてくれる。それほど多くが植えられているわけではないが、すっかり緑濃くなった園内の風景に紫陽花が彩りを添えて味わい深い。
紫陽花の咲く七沢森林公園
七沢森林公園の北端部に「さくらの園」という広場が設けられている。その広場の脇から石段となった園路が斜面を登っている。石段の園路は「森のあじさい階段」と名付けられており、その名のように両脇に紫陽花が植栽されている。六月になれば紫陽花が美しく咲き誇り、見事な景観を見せてくれる。
紫陽花の咲く七沢森林公園
「森のあじさい階段」はそれほど規模の大きなものではない。数十メートルの距離の石段の両脇に紫陽花が植栽されているだけだ。しかしその景観はなかなか見事だ。石段の園路はそれほど広くはないから、両脇の紫陽花が行く手を阻むかのように枝を伸ばして咲き誇り、その間を縫うように歩かなくてはならない。紫陽花に包まれるかのような感覚が楽しい。
紫陽花の咲く七沢森林公園
「森のあじさい階段」に植栽されている紫陽花は特に珍しい品種というわけではない。一般的な園芸種の西洋アジサイがメインで、ところどころにガクアジサイが混じる。その点では少し物足りなさもあるが、一般的な“アジサイ園”とは違った野趣を感じさせる点が魅力だろう。石段下から見上げる景観もいいし、上から見下ろす景観もいい。のんびりと上ったり下りたりしながら、紫陽花の咲く石段の興趣を楽しむのがお勧めだ。
紫陽花の咲く七沢森林公園
公園の中央部、公園管理事務所とは道路を挟んだ反対側に設けられた「あやめ池」でも紫陽花を見ることができる。「あやめ池」は低地に池を配して、その岸辺を園路が辿る構成だが、その園路脇の随所に紫陽花が植えられている。こちらもそれほど規模の大きなものではないが、のんびりと紫陽花鑑賞のひとときを過ごすことができる。
紫陽花の咲く七沢森林公園
「あやめ池」はちょうど「森のかけはし」の下辺りに位置しており、うまくカメラを構えれば「森のかけはし」と紫陽花とを一枚の写真に収めることができる。「森のかけはし」の美しいデザインと紫陽花とのコラボレーションがなかなか興趣ある景観を生み出している。
紫陽花の咲く七沢森林公園
七沢森林公園には紫陽花はあまり多くはないが、のんびりと園内を巡ってみれば思わぬところで紫陽花に出会ったりもする。また紫陽花の他にもこの季節の花々も咲いている。雨や曇りの日が続く時期だが、園内の木々は湿気を含んでしっとりと緑濃く、この季節ならではの風趣を感じさせてくれる。梅雨ならではの景観を求めての散策を楽しみたい。
紫陽花の咲く七沢森林公園
紫陽花の咲く七沢森林公園
紫陽花の咲く七沢森林公園
参考情報
本欄の内容は七沢森林公園関連ページ共通です
七沢森林公園はそのほとんどを雑木林が占め、その中を辿る散策路は基本的に未舗装の小径だ。場所によっては急勾配の坂道もある。訪れる際には歩きやすい靴、できればトレッキングシューズなどを履いてゆくことをお勧めする。

交通
七沢森林公園には駐車場が用意されており、地理的にも公園への来訪は車が便利だ。厚木市中心部からは県道603号を西進、伊勢原市方面からなら県道63号から県道64号へと辿って北上、宮ヶ瀬湖方面からは県道64号を南下、愛川町方面からは県道63号を南下するルートがわかりやすいだろう。遠方の人は東名高速道路厚木ICから県道603号へと辿って西へ向かえばいい。

公園駐車場は中央口付近に二ヶ所、北口に一ヶ所、公園東側の「森の里」側に一ヶ所設けられている。通常は中央口付近の駐車場を利用するのが便利だが、必要に応じて北口駐車場などを利用するといい。全体で百数十台分の駐車スペースがあるようだが、公園の規模から考えればやや少ないように思える。春から秋の土曜、日曜、祝日は駐車料金が必要なようだが、他は無料で利用できる。駐車場の位置や駐車料金の詳細は七沢森林公園公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

バスを利用して来訪する場合は、小田急本厚木駅厚木バスセンターや小田急愛甲石田駅、小田急伊勢原駅などからバス便を利用するといい。バス路線やバス停などの詳細は、これも七沢森林公園公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

飲食
園内には売店やレストランなどは無く、管理事務所前にドリンク類の自動販売機が設置されているだけだ。公園周辺にもお店は無い。七沢森林公園へはお弁当持参での来訪がお勧めだ。見晴らしのいい丘の上でのランチタイムはとても楽しい。

園内のバーベキュー広場は材料をすべて公園側で準備してくれるタイプのものだ。利用するには三日前までに予約が必要だが、器具を用意したり食材を買い揃える手間が要らないのは気軽だし、バーベキュー初心者などにはお勧めだろう。詳細な利用方法は七沢森林公園公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

周辺
七沢森林公園の西には七沢温泉郷がある。徒歩で十数分ほどの距離だ。公園を散策した後は温泉で汗を流すのも悪くない。

公園の東側は「森の里」と名付けられた住宅街だ。その一角に若宮公園という公園がある。また「森の里」の北側にはあつぎつつじの丘公園(上古沢緑地公園)がある。

七沢森林公園西側の県道64号(伊勢原津久井線)を南へ辿ればすぐに市境を越えて伊勢原市、伊勢原市へ入ってすぐの西方には彼岸花の群生地として有名な日向(ひなた)地区がある。彼岸花の花期に車で訪れたなら寄り道してみるといい。
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