日南海岸風景
福島港
福島港
串間市中心市街から南西に3kmほど、志布志湾岸に福島港がある。ここは串間市中央部を貫いて流れる福島川の河口部で、さらに串間市中心部から馬場川が注ぎ、西からは牧ノ谷川、奴久見川が善田川に合流して注ぐ。複数の河川が一ヶ所にまとまって河口部を成すところだ。河口部は志布志湾から奥まった入り江を成し、天然の良港を形作っている。現在では志布志湾に面した“外側”にも岸壁が設けられ、それらが全体で福島港を形成している。
福島港
福島港は古くは今町港といい、地の利に恵まれた良港として栄えてきた。明治時代には阪神方面との定期航路の寄港地にもなり、福島港を根拠港とする漁船も増え、要衝の港として利用されてきた。その需要の拡大に合わせて港湾の整備、改修も重ねられて規模を拡大、昭和58年(1983年)度からは船舶の大型化に対応するために外港地区の整備が進められ、今日に至っている。

漁港としての福島港の中心部は今でも志布志湾岸から奥に入り込んだ河口部の入り江部分だ。周辺には関連の企業や工場などの建物が並ぶ。夏の午後、岸壁には数多くの漁船が繋がれ、波のない入り江に静かに浮かんでいる。その向こうには緑の山々が横たわる。長閑で美しい、夏の風景だ。
福島港
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西方から流れ込む善田川と志布志湾とに挟まれた地区を今町という。漁港となった善田川河口部に沿うように昔からの町並みが広がっている。今では善田川に沿って国道が延びているが、そこから町の中に入り込むと今でも昔ながらの港町の風景を見ることができる。細い道沿いに並ぶ家々の様子にも郷愁を誘うような風情がある。かつては漁港の町として栄えたところだが、時代の変遷と共に鄙びた港町に姿を変えた。道脇のお地蔵様が静かに時の流れを見つめておられる。
福島港
福島港 福島港
今町地区の西端、入り江に面した部分には小さな臨海公園のような緑地スペースが設けられている。かつて福島港の岸壁として使われていたところを緑地スペースとして整備したものなのだろう。海に向かってベンチが置かれ、そこへ腰を降ろせば対岸の金谷地区の風景が眼前に広がり、福島川を跨ぐ橋梁のシルエットも美しい。
福島港
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その金谷地区へ今町地区から河口部を跨いで、美しい曲線を描いて大きな橋が架かっている。「福島大橋」といいい、1988年(昭和63年)に竣工したものだ。今町地区と金谷地区とは広い河口部で隔てられた西岸と東岸だから陸路での行き来はたいへんに不便だったわけで、その不便さを解消するために架けられたものだろう。下を港湾部から志布志湾へと出入りする漁船を通さなくてはならないため、橋はかなりの高さがある。橋の側面には大きく「桁下高13.0M」と記されている。橋には歩道もあるから歩いて渡ることもできるのだが、ごく普通のガードレールが設けられているだけだ。この高さではなかなかスリリングなのではないかと思える。

アーチを描いた福島大橋は意匠的にも美しく、福島港のシンボル的存在と言っていいのではないか。外港側からはその全景を見ることができるが、北側から逆光の中にシルエットで見える姿もいい。金谷地区からの眺めもまた表情が変わって美しい。橋の下を漁船が行き過ぎる様子も風情があってよいものだ。
福島港
福島港
外港部は現在はまだ広大な敷地が広がるばかりで、特に大きな施設があるわけではない。普段はあまり人の姿もない。沖合いの防波堤の向こうには志布志湾が広がっている。その開放感が爽快だ。
福島港
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今町地区の対岸、河口部の東側の地区を金谷という。今では今町地区と福島大橋で繋がれているが、昔は広い河口部に隔てられて異なる生活圏に属していたのだろう。金谷地区にも小さな漁港がある。現在はここも福島港の一部なのかもしれないが、本来は今町港とは別の、独立した漁港なのだろう。その漁港を中心に小さな集落があり、こちらも鄙びた風情が素敵だ。
福島港
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福島港は“観光地”ではない。“観光”を目的に訪れる人に自信を持ってお勧めできるようなところとは言い難い。しかし、今町や金谷の集落の鄙びた佇まいや漁港の様子など、郷愁を誘うような良い風情があり、そうしたものの好きな人には魅力的なところかもしれない。
福島港
INFORMATION
福島港
【所】串間市大字西方〜南方
【問】串間市観光物産協会
このWEBページは「日南海岸散歩」内「日南海岸風景」カテゴリーのコンテンツです。
ページ内の写真は2010年夏に撮影したものです。本文は2012年8月に作成しました。