横浜市中区山手町
−港の見える丘公園−
紅葉の港の見える丘公園
Visited in December 2024

港の見える丘公園は横浜を代表する観光地のひとつだ。バラの咲き誇る季節が最も観光に相応しい季節だと思うが、毎年12月に横浜山手の西洋館で開催される「世界のクリスマス」に合わせて訪れる人も少なくないだろう。すでに初冬と呼ぶべき時期だが、横浜ではようやくこの頃になって木々が紅葉に染まる。港の見える丘公園もまた、園内の木々が紅葉の時期を迎え、遅い秋の装いを身に纏う。
「横浜市イギリス館」前の「イングリッシュローズの庭」の外縁部にはモミジの木が幾本か植えられている。それほど大きなモミジではないが、庭園の景観に秋の色彩を加えて良いアクセントになっている。園路を巡りながらのんびりと庭園とモミジが織り成す秋の景観を楽しむのがお勧めだ。日差しの向きによって景観の表情はさまざまに変わって飽きない。視点によってはモミジの向こうに「横浜市イギリス館」の屋根が見え隠れする。港の見える丘公園ならではの景観と言っていい。
大佛次郎記念館の西側にメタセコイアが立っている。メタセコイアも晩秋には紅葉し、美しい景観を見せてくれる樹木だ。少し斜光気味になる角度で、日差しを浴びて黄金に輝く姿を見るのがいちばんのお勧めか。大佛次郎記念館の建物との取り合わせもなかなか興趣に富んでいる。大佛次郎記念館の南東側にはモミジの木があり、坂を登る園路から見上げると大佛次郎記念館の建物を背景にモミジを見ることができる。これも大佛次郎記念館の建物とモミジが織り成す景観が良い風情を漂わせている。
フランス山地区の北側、フランス橋横の広場の一角にもモミジが植えられたところがある。広場の南西側に奥まったところで、斜面林の裾部分に立つモミジが広場側に枝を伸ばしている。この辺りは地形の関係で午後の限られた時間しか日が当たらないが、日差しを浴びて浮かび上がるように輝くモミジはとても美しい。フランス山地区の樹林にはモミジの他にもさまざまな樹木がある。黄葉に染まる落葉樹も少なくなく、それらの見せる秋の色彩もたいへんに美しい。秋の色彩に染まって日を浴びるプラタナスなどもぜひ見ておきたい景観と言っていい。

港の見える丘公園にはモミジやイチョウなどの紅葉の美しい樹木はあまり多くはない。スダジイなどの常緑樹の多い園内はこの時期になっても緑濃く、とても「紅葉の名所」と呼べるものではないし、「紅葉の穴場」と呼ぶにもやはり物足りないというのが正直なところだろう。しかしところどころに植えられたモミジが真っ赤に染まり、園内に秋の彩りを添えてくれる様子にはなかなか良い風情がある。冬の訪れが近づく港の見える丘公園で、秋の名残の色彩を楽しみながらのんびりと散策するのもよいものだ。公園散策の跡は「世界のクリスマス」を楽しみに行くのもいい。山手の丘を下りてクリスマスの飾り付けで賑わう街の雰囲気を楽しみに行くのもお勧めだ。



