八王子市別所
−長池公園−
長池見附橋
Visited in April 2018
長池公園の北端部分に、明治期の文明開化の香りを漂わせて美しい橋が架かっている。橋は「長池見附橋」という。かつて新宿区四谷にあった四谷見附橋を移設復元したものだ。
四谷見附橋は1913年(大正2年)に竣工した上路式鋼製アーチ橋で、橋長37m、幅員約22m、都内最古の陸橋として外堀を跨いで新宿通りを通していた。ネオ・バロック調の美しい装飾は1909年(明治42年)に完成した赤坂離宮(現在の迎賓館)のデザインに対応させたものだったという。その四谷見附橋も交通量の増加に伴い拡幅を余儀なくされ、1987年(昭和62年)から架け替えの工事が始まった。現在の新しい四谷見附橋は1991年(平成3年)に竣工、橋長45m、幅員40mとなり、構造も変わってはいるが、旧四谷見附橋のデザインそのままに美しい姿を保っている。
四谷見附橋の架け替えに伴って一時は解体が予定されていた旧四谷見附橋は、その資材の一部を利用して長池公園内に移築復元されることになった。それがこの長池見附橋である。長池見附橋は1993年(平成5年)に完成、その年の11月に開通式が行われた。橋下は橋のデザインに呼応するように直線と円を基調にした幾何学的なデザインの広場に整備され、その中央に「姿池」を置く。「姿池」は橋の姿を映し込む池であることからの命名であるという。
橋のアーチの美しいシルエットはやはり南側の築池のほとりからの景観が最も素晴らしいが、姿池のほとりから見上げる景観もいい。姿池の周囲には復元の際に使用されなかった資材の一部を使用したモニュメントなどが置かれ、それらに添えられた解説などを丹念に見てゆくのも楽しい。
橋を渡れば長池公園の緑と端正な住宅街の景観が周囲に広がり、開放感もあって爽快だ。橋の歩道に立って欄干などの美しい装飾の細部を見てゆくのも楽しい。なかほどには「四谷見附橋」の銘板が残され、由来を物語っている。
橋のアーチの美しいシルエットはやはり南側の築池のほとりからの景観が最も素晴らしいが、姿池のほとりから見上げる景観もいい。姿池の周囲には復元の際に使用されなかった資材の一部を使用したモニュメントなどが置かれ、それらに添えられた解説などを丹念に見てゆくのも楽しい。
橋を渡れば長池公園の緑と端正な住宅街の景観が周囲に広がり、開放感もあって爽快だ。橋の歩道に立って欄干などの美しい装飾の細部を見てゆくのも楽しい。なかほどには「四谷見附橋」の銘板が残され、由来を物語っている。
長池見附橋と姿池の一角は長池公園の全面開園に先立って開園されていた区域だが、里山の自然の保存と継承をテーマにした長池公園に於いては少しばかり性格の異なった区域だと言ってよいかもしれない。
姿池周辺や見附橋交差点の傍らに設けられた広場は休日には家族連れなどで賑わうところで、新興住宅街の中の憩いの場としての役割を担っているように思える。遊具類は置かれていないが、道路を隔てて西に隣接する松木公園が子どもたちのための遊び場の役割を補ってくれるだろう。ここから南へ築池の岸辺を歩いて里山の自然溢れる公園内を散策するのも楽しい。姿池の水は北方の別所の街の中へせせらぎとなって流れ出てゆき、せせらぎの周辺は緑道として整備されている。また交差点の斜向かいから浄瑠璃緑地が北方へ延びる。それらを繋いで散策の足を延ばすのも楽しい。
長池見附橋は「八王子八十八景」のひとつにも選ばれ、この地区のみならず、八王子市の名所のひとつとして定着しつつあるようで、橋の姿にカメラのレンズを向ける人の姿も少なくない。姿池の傍らの解説板の記述に興味深く見入る人の姿を見かけることもあるが、中には四谷見附橋を移築復元したものと知らなかった人もあるようだ。都内の要所での70年余の務めを終えた橋梁の、幸福な余生であるかもしれない。