佳景探訪
有楽苑
愛知県犬山市、木曽川の辺に建つ名鉄犬山ホテルの敷地内に有楽苑という庭園があり、如庵という茶室が移築展示されている。如庵は織田信長の実弟織田有楽斎が建てたという茶室で国宝に指定されている。夏の暑さの残る九月の初旬、有楽苑を訪ねた。



有楽苑

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織田長益、後の織田有楽斎は織田信秀の十一男として生まれた。すなわち織田信長の実弟である。千利休に茶道を学び、後に茶道有楽流の創始者として知られることになる。

織田の家に生まれた長益は当然のことながら戦国武将のひとりとして激変する歴史に翻弄されながら生涯を送っている。本能寺の変が起こったとき、織田長益は京都の二条御所にあったようだが、辛くも脱出、近江安土から岐阜へと逃れた。その後は甥である織田信雄に仕え、小牧・長久手の戦いでは信雄方の武将として徳川に味方しているが、戦いが終結した後は秀吉に仕えている。剃髪して有楽斎と名乗るようになったのはこの頃らしい。秀吉の死後は徳川に与し、関ヶ原の戦いでは東軍についている。その後は家康の指示で大阪城に入城、豊臣秀頼、淀殿に仕えた。しかし大阪夏の陣を前に、「城内の誰も自分の指示に従わず、城内に留まるのは無意味」と、家康の許可を得て城を出たという。その後は京都に隠棲、茶人として暮らした。有楽斎の茶法は「有楽流」という流派を生み、次男頼長、四男長政、五男尚長らが受け継ぎ、尾張徳川家にも伝えられたという。ちなみに東京都千代田区の有楽町の町名は、江戸幕府が開かれたとき、織田有楽斎が土地を拝領し屋敷を構えたことに由来するそうである。

その織田有楽斎が京都隠棲中に建てた茶室が如庵である。如庵は1951年(昭和26年)に文化財保護法に基づいて国宝に指定されている。如庵は「じょあん」と読み、一説には織田有楽斎のクリスチャン・ネーム「Johan」に由来するという。如庵は1618年(元和4年)、正伝院が再興されたときに建造されたものらしいが、正伝院が移転したときに他へ払い下げられ、さらに1908年(明治41年)、東京の三井本邸へ移築されたという。その後、大磯の三井別荘に移され、1972年(昭和47年)、名古屋鉄道によって現在地に移築されている。「有楽苑」という名はそのときに名付けられたものだそうだから、庭園も如庵移築に当たって整備されたものなのだろう。

有楽苑には如庵の他、旧正伝院書院や元庵、弘庵といった建物が展示されている。旧正伝院書院は如庵と隣接していたもので国の重要文化財である。元庵は有楽齋が大阪天満に構えた茶室を古図に基づいて復元したもの、弘庵は苑内で催される茶会のために新築されたものだそうだ。それらは普段は内部非公開のようだが、月に一度、有料で如庵の内部見学会が開催されるようだ。内部の造作までじっくりと見学したい人は内部見学会に参加するのがお勧めだろう。

端正に整えられた苑内には如庵や旧正伝院書院などの建物の他、京都の岩栖院の唐門だったという「岩栖門」や織田家の菩提寺である徳源寺唐門なども移築され、風情ある景観を生み出している。ゆっくりと苑内を散策しつつ、戦国の世から江戸時代へ、武将から茶人へと生きた織田有楽斎の生涯に思いを馳せるのも一興かもしれない。
参考情報
有楽苑は入園料が必要だ。入苑料や営業時間、如庵の内部見学会など、詳細は有楽苑公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

有楽苑は犬山市街地の北方、犬山城東側に建つ名鉄犬山ホテルの敷地内にある。名鉄犬山遊園駅が最寄り駅で、駅から木曽川の岸辺を西へ歩いて10分ほどだ。名鉄犬山駅から歩くと30分近くかかりそうだ。

名古屋方面から車で来訪する場合、国道41号線から県道27号線へと逸れて北上、木曽川を渡る犬山橋の手前で左折し、河岸の道を辿って名鉄犬山ホテルを目指せばいい。岐阜方面から訪れる場合は国道21号線から県道27号線へと逸れて南下し、犬山橋を渡って右折すればいい。

遠方から訪れる人は東名高速道路、名神高速道路の小牧ICから国道41号線へと降りて北上するといい。中央自動車道を利用して長野方面から訪れる場合には小牧東ICから県道16号線などを利用して犬山市街を目指してもいい。北陸方面から東海北陸自動車道を利用するなら、岐阜各務原ICから国道21号線を東進、鵜沼から県道27号線を南下すると近い。

駐車場は名鉄犬山ホテルの無料駐車場を利用すればよいようだ。有楽苑の入口は名鉄犬山ホテル駐車場側に設けられている。

飲食

有楽苑は名鉄犬山ホテルの敷地内だ。有楽苑鑑賞の後はホテルのレストランで食事を楽しむのもよいものだろう。その他、犬山市街へ足を延ばして飲食店を探すのも悪くない。

周辺

名鉄犬山ホテルは木曽川の川辺に建っている。有楽苑を見学した後は木曽川の河岸を少し散策するのもお勧めだ。時間があれば有名な鵜飼いも楽しんでおきたい。鵜飼いは昼も行われるようだが、名鉄犬山ホテルに宿泊し、夜に楽しむのがやはり鵜飼いの醍醐味だろう。

西側の丘の上には犬山城がある。現存する天守閣は国宝に指定されている。犬山を訪れたなら犬山城はぜひ見ておきたい。犬山城の南側には旧城下町が広がり、今も古い建物が残って風情ある佇まいを見せている。これも散策の足を延ばしておきたい。名鉄犬山遊園駅の東側の丘には日本モンキーパークなどがあり、子ども連れなら行ってみたいところだろう。

犬山橋で木曽川を渡れば岐阜県各務原市、鵜沼は中山道の宿場だったところだ。鵜沼宿の面影を探しながら町散策を楽しむのもお勧めだ。

市街地を離れて犬山市郊外まで足を延ばせば、博物館明治村やリトルワールドなどがある。これらも時間が許せば立ち寄っておきたい。
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