佳景探訪
とみやま水仙遊歩道
千葉県南房総市の北西部、里山風景の中に水仙を植えた散策路がある。「とみやま水仙遊歩道」の名で知られ、一月から二月にかけて花期を迎える。お正月休みの一月初め、「とみやま水仙遊歩道」を訪ねた。



とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道

とみやま水仙遊歩道
千葉県南房総市の北西部はかつて千葉県安房郡富山町だった地域だ。2006年(平成18年)3月、いわゆる「平成の大合併」の際、同じ安房郡の富浦町、三芳村、丸山町、和田町、千倉町、白浜町と合併、南房総市が誕生した。現在、南房総市の行政上の住所表記に「富山町」は存在しないが、「とみやま水仙遊歩道」の「とみやま」はかつての町名の名残だ。

「とみやま水仙遊歩道」は富津館山道路に設けられた休憩施設「ハイウェイオアシス富楽里」と一体化した「道の駅富楽里とみやま」の北東側に当たる山の斜面に設けられている。「道の駅富楽里とみやま」から県道89号を東へ1.5kmほど、長閑な田園風景の中を辿ってゆくと「とみやま水仙遊歩道」の入口に着く。徒歩で20分ほどだろうか。入口は少しばかりわかりにくいが、入口脇に遊歩道の散策マップを描いた案内板が設置されているから、それを見落とさないようにしたい。遊歩道はここから入って北側の尾根上の道を経て、反時計回りに回って西側から県道89号へ降りてくるのが“順路”になっている。遊歩道が狭いなど、さまざまな理由で“一方通行”になっているのだろう。

遊歩道は基本的に里山の中を辿る小径で、ほとんどが未舗装だ。本来は地元の人たちが丘上の畑へ行き来するために使っている小径なのだろう。その小径脇にエリアを決めて水仙を植え、早春の花の名所としての魅力の創出を試みたものだろう。

入口から丘の斜面へ、畑の横を抜け、作業中の地元の人と挨拶を交わし、林の中を縫うように登ってゆく。田舎育ちの身としては懐かしい風景だが、都会育ちの人には新鮮な体験かもしれない。やがて尾根上の道へと至る。その周辺に多くの水仙が植えられている。しかしほとんど咲いていない。やはり一月初めでは少し早かったか。これらの水仙が咲きそろえば壮観な風景になることだろう。残念な思いをしながら尾根筋の道を辿る。途中、蜂の巣箱らしいものが置かれている光景も見かけた。さまざまな野鳥の姿を比較的近くで見ることができるのも嬉しい。少し進むと、道脇に水仙を植えた区画があった。こちらは少し咲いている。ここも満開の時期には美しい風景を見せることだろう。

進んでゆくと、「展望所」を指し示す案内標識がある。標識に従って小路を辿ってゆくと西への視界が開けた丘の上に出た。周辺の木々が取り払われ、四阿やベンチを設けて「展望所」としたもののようだ。ここからの眺望が素晴らしい。西に向かって広く眺望が広がり、眼下には「道の駅富楽里とみやま」から旧富山町岩井地区の町並み、その向こうに広がる海原を一望する。南西の方角、遠く水平線の上に見える島影は大島のシルエットだろうか。ベンチに腰を下ろして眺めを楽しんでいると時の経つのを忘れる。気温は低いが風の無い穏やかなお正月休み、眼下の風景ものんびりとして見える。

水仙遊歩道へと戻ろう。展望所への分かれ道から先は下り坂だ。細い道が林の中を下ってゆく。その小径脇にも水仙が植えられている。少し下ってゆくとずいぶんと咲いている一角があった。日当たりなどの要因によって開花の状況が異なるのだろうか。水仙の花はすべて南側、すなわち坂の下の方を向いて咲いているから、坂上から見ると花の“後ろ姿”だが、白い花弁が逆光を弾いて美しい光景を見せる。坂を下って振り返れば咲き誇る水仙が見送ってくれる。

坂を下りきり、地元の農家裏の畑地を抜けると県道89号へ出た。「とみやま水仙遊歩道」の“入口”から700mほど西の地点だ。「とみやま水仙遊歩道」は全区間を歩くと3.5kmほどだそうだ。1時間もあれば歩き通せる距離だが、展望所にも立ち寄り、周囲の景観を楽しみつつ、時間をかけて歩くのがお勧めだ。

今回訪れた時には残念ながら満開とは言えず、ようやく咲き始めたばかりという様子だったが、それでも充分に楽しめた散策だった。冬の日差しを浴びて咲く水仙の花はもちろん美しいが、周囲に広がる長閑な田園風景も「とみやま水仙遊歩道」の魅力のひとつと言っていい。畑の横を抜けて丘を上る小径を辿れば、里山散策の醍醐味を味わうことができる。「道の駅富楽里とみやま」から水仙遊歩道までの県道の周囲にも美しい田園風景が広がっている。冬枯れの里山が見せる風景も興趣があってよいものだ。そうした風景と共に水仙の咲く風景を楽しむのがお勧めだ。特に都会暮らしの人には、街の喧騒を忘れさせてくれるひとときを過ごすことができるだろう。
参考情報
交通

鉄道を利用して訪れる場合はJR内房線岩井駅が最寄りだが、岩井駅から遊歩道入口まで3kmほどの距離がある。田園風景を楽しみながらのんびりと歩けばいい。

車で訪れる場合は富津館山道路や一般道を利用して房総半島西岸(東京湾岸)を南房総市まで南下、「道の駅富楽里とみやま(ハイウェイオアシス富楽里)」を目指せばいい。駐車場は「道の駅富楽里とみやま」のものを利用できる。「道の駅富楽里とみやま」は富津館山道路からも利用できるが、一般道から利用する方が駐車場が広いようだ。「道の駅富楽里とみやま」から遊歩道入口まで1.5kmほど、徒歩で20分ほどだ。

飲食

遊歩道の近辺は田園地帯で飲食店などはない。食事は「道の駅富楽里とみやま」内の飲食店を利用するといい。新鮮な魚介類が味わえる。

お弁当を用意して遊歩道散策へ出かけ、展望所の四阿やベンチを利用して眺望を楽しみながらの食事もお勧めだ。

周辺

遊歩道の周辺は長閑な田園風景の広がるところだ。散策の足を延ばしてみるのも楽しい。南東側には標高350mほどの富山がある。時間と体力に余裕があれば登ってみるといい。東側へと足を延ばせば岩井海岸だ。ひととき海岸散歩を楽しむのも悪くない。
とみやま水仙遊歩道


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