佳景探訪
榛名湖
群馬県高崎市の北部、榛名山の頂上部に榛名湖という湖がある。かつて竹久夢二がアトリエを構え、冬はワカサギ釣りの名所としても知られる。初秋の青空の下、榛名湖を訪ねた。



榛名湖西岸より榛名富士を望む

榛名湖東岸からの風景

榛名湖東岸からの風景

榛名湖東岸からの風景

榛名湖東岸からの風景

榛名湖東岸で榛名富士を仰ぐ

榛名湖西岸の風景

榛名湖西岸の風景

榛名湖西岸の風景

榛名湖西岸より榛名富士を望む
榛名湖は榛名山の頂上部に位置する湖だ。標高は約千メートル、最大水深は15mほど、周囲は4.8kmという。南北に細長い空豆形の湖を榛名富士やヒトモッコ山、烏帽子岳、鬢櫛山、掃部ヶ岳、杏ヶ岳、氷室山、天目山といった山々が取り囲む。それらの山々を総称して榛名山と呼ぶ。

榛名山は火山で、千数百年前にも大噴火を起こしたらしい。最初期(数十万年前のことらしい)には標高二千数百メートルの円錐形の火山だったそうだが、その後の噴火や風雨による浸食によってカルデラが生じた。そのカルデラの中にさらに新たな火山が生じ、その噴火によって地形が変わり、長い年月をかけて現在の状態となったものという。現在の榛名湖はそのカルデラの中央部に生じた、典型的な火口湖というわけだ。周囲の山々は老化した外輪山やカルデラの中に新たに生じた火山の名残だという。

現在の榛名湖とその周辺はアウトドア・スポーツ/レジャーの拠点として人気があるようだ。夏は避暑地としても人気があるのだろう。湖ではボート遊びが可能で、白鳥の形をした遊覧船も運航している。湖畔にはテニスコートもあり、湖畔からは少し離れるがオートキャンプ場もある。また榛名湖は釣りも人気で、特にバスフィッシングの名所らしい。湖周辺の山々を巡るハイキングも訪れる人が少なくないようだ。冬は湖面が氷結し、スケートやワカサギ釣りで賑わうという。湖の北東側の湖畔には榛名湖温泉があり、これも人気を集めている。

スポーツ目的でなくても、ぶらりと観光に訪れても榛名湖は充分に魅力的だ。湖と周辺の山々が織りなす風景は美しく、中でも端正な姿をした榛名富士と湖との取り合わせは特に“絵になる”風景だ。湖に浮かぶ貸しボートや遊覧船の姿も行楽地独特の良い風情を感じさせてくれる。そのような風景を楽しみながらのんびりと湖畔を散策するのは素敵なひとときだ。

榛名湖の周辺、すなわち榛名山の山頂部は「榛名公園」という県立公園となっており、ほとんどが県有地なのだそうだ。湖の南東側の湖畔には「群馬県立 榛名公園」と記した名標が立ち、その周辺の一角にはビジターセンターや「榛名ロッジ」などが建ち、広場も設けられており、いかにも“公園的”な佇まいを見せる。この一角には土産物店などはなく、観光地的な喧噪感がないのも嬉しい。湖畔に建てば湖の向こうに土産物店などの並ぶ湖岸の風景が見え、その手前をゆっくりと遊覧船が行きすぎる。背後を振り返れば榛名富士がそびえ、山頂まで延びるロープウェイの姿もよく見える。のんびりとした気分に浸れるのがいい。

湖の西側から南西側にかけての湖岸には土産物店などが道沿いに並ぶ。こうした“観光地的”な雰囲気の中に身を置くのも、それはそれでとても楽しい。土産物を見て回ったり、どこかのお店で一休みしたりしながらの散策も観光地の楽しみのひとつだ。今回訪れたのは九月上旬の平日、夏休みも終わり、秋の連休を控えた平日ということであまり人出は多くなかったが、かえって静かな散策を楽しむことができた。湖岸には貸しボート店が多く並ぶ。訪れたときには繋がれたボートが静かに湖面に浮かんでいるだけだったが、行楽シーズンにはきっと賑わうのだろう。多くの人で賑わう様子もよいものだが、今回のようにひっそりと静かな様子もなかなか風情のあるものだ。

1940年(昭和15年)、「湖畔の宿」という歌が発表され、大流行した(今風に言えば“大ヒット”した)。佐藤惣之助による作詞、服部良一の作曲、高峰三枝子が歌っていた。傷心を抱いて一人旅をする“主人公”が、とある湖の辺に宿を求め、そこでの心情を描いた楽曲だ。この歌詞中には湖の名は登場しない。モデルになった湖がどこなのか、しばらく熱心なファンによる“研究”が成されたようだが、後年になって佐藤惣之助が湖は榛名湖、宿は湖畔亭であることを、湖畔亭の仲居に宛てた手紙で明かしたという。現在では、榛名湖はすっかり「湖畔の宿」のモチーフとなった湖として知られるようになった。榛名湖西岸の一角には「湖畔の宿記念公園」が設けられ、歌碑も建っている。興味のある人は立ち寄ってみるといい。

独特の美人画で一世を風靡した“大正浪漫”の画家、竹久夢二は榛名湖の風景を愛し、たびたび訪れたという。「湖畔の宿記念公園」近くに竹久のアトリエが復元されている。これも興味のある人は訪ねてみるといい。

榛名湖の周囲にはもちろん周回する道路が巡っている。湖の周囲が5kmほどだから歩くと少々距離があるが、車で訪れたなら風景を楽しみながら一周してみるといい。ドライヴを楽しんだ後は(前でもいいが)、どこかに車を駐め、のんびりと湖畔の散策を楽しむのがお薦めだ。観光客で賑わうときにも、そうでないときにも、それぞれの風情で楽しむことができるだろう。
参考情報
榛名湖南側の湖岸には観光案内所が設けられている。初めての人は立ち寄っておくとよいかもしれない。

交通

公共の交通機関を利用して訪れる場合、JR高崎駅から群馬バスを利用する。「本郷」経由「榛名湖」行きの路線が一時間に一便ほど運行しているという。

車で来訪する場合は関越自動車道の渋川伊香保ICから渋川市を抜けて県道33号線を西進、伊香保温泉を経由してゆくのが最もわかりやすいだろう。高崎市や前橋市から向かう場合は県道28号線を辿る方法もある。

榛名湖畔には10カ所ほどの駐車場が点在しており、普段は駐車に困ることはないように思える。駐車場は湖の東南側から西南側にかけての南岸部に多い。

飲食

榛名湖の西南側の湖畔に土産物店や飲食店などが建ち並んでいる。どれかのお店で食事を楽しむのもいい。お弁当持参などでアウトドアランチを楽しみたい場合は榛名湖東南側のビジターセンター付近であれば場所を探せるだろう。

周辺

榛名湖から県道33号線を南へ峠を越えると榛名神社がある。奇岩群に囲まれた神社だ。足を延ばして参拝してゆくのもいい。榛名湖畔から県道33号線を北東側に降りれば伊香保温泉だ。伊香保温泉に宿を求めるのもお勧めだ。温泉街の風情を味わいながらの散策が楽しい。
榛名湖

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