佳景探訪
智光山公園
埼玉県狭山市の北西部に智光山公園という規模の大きな公園がある。園内には市民総合体育館やこども動物園、都市緑化植物園などを併設し、広大な樹林も残されている。深緑の五月下旬、智光山公園を訪ねた。



智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園
埼玉県狭山市の北東側端部近く、智光山公園という規模の大きな市立公園がある。公園は入間川左岸の入間台地に位置し、周辺は畑地の広がる長閑なところだ。50ha超という広大な面積を有し、その中には市民総合体育館やこども動物園、都市緑化植物園、テニスコート、キャンプ場、釣堀、智光山荘・勤労福祉センターといった種々の施設を併設する。豊かな樹林が残る園内には宮沢湖から引いたという用水路が流れ、複数の池もあり、台地の立地でありながら水辺の風景を楽しむこともできる。花菖蒲園や都市緑化植物園内のバラ園など、花々を楽しむ施設も設けられている。
追記 勤労福祉センターと智光山荘は2018年(平成30年)3月31日で閉館した。

智光山公園は北東から南西の方向に長く伸びた長方形の輪郭をしている。面積は53.8ha、東西に約1.20km、南北に0.45kmの大きさで、海抜は67.113mとのことだ。都市計画決定は1971年(昭和36年)3月30日、事業認可が1973年(昭和48年)2月6日だそうだ。公園南西側の入口に設けられた園名石に、そのような公園の概要を記したパネルが設置されている。

広大な公園だが、その中央部にはかなり広い面積を占めて「自然散策林」が広がっている。公園として整備される以前は、そのような樹林が広がるところだったのだろう。その樹林地を中心に、園内の各所にさまざまな施設が設けられた構成になっている。園内の施設の中には利用のための予約や別料金が必要なものもあるが、それらを除いた公園部分だけを巡ってみるだけでも、たいへんに広い公園だと実感するのは50haを超える敷地面積のお陰だろう。

市民総合体育館やテニスコートを設けて市民のためのスポーツ施設としての役割を担い、こども動物園を併設して家族で楽しめるレジャー施設としての場も提供する。樹林地の中を歩けば雑木林散策の醍醐味を堪能するこもでき、水辺を活かして緑濃い風景を楽しむ公園としての魅力も損なわない。花々を楽しむ公園としても充分に魅力的だ。たいへんに充実した公園と言っていい。

前提としては市民のためのスポーツ、レクリエーションの場を提供するための総合公園だと思うが、他の地域から訪れても充分に楽しめる。バラや花菖蒲などの花々の咲く風景を求めて、あるいは樹林地や水辺の豊かな自然を楽しむために訪れても、その期待に応えてくれる公園だと言っていい。花々の楽しめる季節がお勧めだが、新緑の頃や紅葉の頃、あるいは涼を求めて夏に訪れるのもいい。四季折々に訪ねてみたい公園である。
中央通路、モニュメント広場、噴水広場
公園南西側の入口が公園のメインエントランスという位置づけだろう。入口正面には大きく公園名の刻まれた園名石が置かれている。この園名石は1981年(昭和56年)に建立されたもので、園名の文字は当時の狭山市長である町田佐一氏によるものという。裏には前述のように公園概要を記したパネルが設置されているから、訪れたときには目を通しておきたい。入口横には公園管理事務所も置かれている。初めての来園の際には立ち寄っておくといい。

その入口から真っ直ぐに「中央通路」が延び、樹林地の中に設けられた「モニュメント広場」に至っている。「中央通路」は都市公園を象徴するような景観のプロムナードで、ケヤキや松などの樹木を植栽して端正に整備されている印象だ。「モニュメント広場」はその名のように中央部に“モニュメント”が設置されている。“モニュメント”は花壇に囲まれた“台座”の上に自然石を用いたオブジェを配し、中央部には金属製のオブジェが置かれている。これは日時計を兼ねたものか。その下、“床”部に、複雑な形状で白く色分けされた部分があるが、これは狭山市の輪郭形状を象ったもののようだ。まさに“モニュメント”である。

「モニュメント広場」から樹林の中を抜けて南へ進むと「噴水広場」だ。訪れたときには「噴水」は動いていなかったが、噴水設備中央部の球体のオブジェが面白い。「噴水広場」の東側には市民総合体育館が建ち、西側にはテニスコートが置かれている。
智光山公園

智光山公園

智光山公園
花菖蒲園
「中央通路」の北側には低地となった地形を活かして花菖蒲園が設けられている。鬱蒼と茂る木々に包まれてひっそりと沈み込むような立地が落ち着いた佇まいだ。五月の末、そろそろ花菖蒲が咲き始めていた。見頃の時期になれば見事な景観を見せてくれることだろう。
智光山公園
ピクニック広場とわんぱくの森
公園管理事務所前から北へ園路を辿れば、花菖蒲園の北側に位置して「ピクニック広場」や「わんぱくの森」が設けられている。その名から容易に推測できるが、「ピクニック広場」はピクニック感覚でお弁当を広げるのに好適な広場で、「わんぱくの森」は樹林の中に子どもたちのための木製遊具を設置した広場だ(残念ながら一部の木製遊具は老朽化のために使用中止になっていた)。どちらの広場も樹林に囲まれて穏やかな空気感に包まれている。「ピクニック広場」と「わんぱくの森」は別々の名が与えられてはいるが、両者を合わせてひとつのエリアと考える方がわかりやすい。一般的な金属製の遊具類も備えられており、子ども連れで訪れると楽しめるだろう。
智光山公園

智光山公園
勤労福祉センターと智光山荘
公園管理事務所前から「ピクニック広場」の横を抜けて北へ進んでゆくと、公園の北西側の角に位置して狭山市立勤労福祉センターと狭山市立智光山荘という施設が置かれている。勤労福祉センターは学習室や集会室を設けた施設で、智光山荘は宿泊施設だ。狭山市民以外でも利用可能で、学校や企業の宿泊研修施設として利用されているという。

智光山荘はレストランを備えており、ランチタイムの営業も行っているから利用してみるのもいい。また勤労福祉センター横の庭園を利用して「庭園バーベキュー」の営業も行っているとのことだった。それぞれの利用案内等は公式サイトを参照されたい。
追記 勤労福祉センターと智光山荘は2018年(平成30年)3月31日をもって閉館した。それに伴って公式サイトも削除されている。
智光山公園

智光山公園
樹林地
智光山公園の中央部は、かなり多くの面積を占めて樹林地が広がっている。樹林はいわゆる雑木林で、クヌギやコナラ、エゴノキ、アカシデ、ヤマザクラなどの落葉樹を中心に構成されている。かつて入間台地に広がっていた平地林の一部をそのままに残したものか。

智光山公園の中央北側部分の雑木林はその中を広い園路が抜けており、気軽に雑木林散策の醍醐味を味わうことができるのが嬉しい。五月の末、新緑は日増しに緑を濃くし、揺れる木漏れ日も清々しい。

こうした雑木林は人々の暮らしの営みと密接に結びついており、木材や落ち葉を人間が利用し、林の手入れを行うことによって維持される。手入れを行わず、自然のままに放っておけば、シイやカシ類を中心とした照葉樹林へとゆっくりと姿を変えてゆく。昔、人々は雑木林で木を育てて木材を利用し、あるいは落ち葉を畑の肥料にするなどして、木々と共にある暮らしを営んできたが、時代が移り、社会の構造も変わり、“雑木林と共にある暮らし”はすっかり少なくなってしまった。今はこうして公園の中で、“雑木林の維持”がひとつの“文化”として保存されることも普通のことになってしまった。

智光山公園の雑木林はなかなか広い。林の木々が見せるさまざまな表情を楽しみながら、ゆっくりと歩きたい。
智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園
都市緑化植物園
智光山公園の北東側には都市緑化植物園が設けられている。区画を設けて公園の他の部分からは独立した構成になっているが、特に入園料などは必要なく、自由に入園して観賞することができる。園内は、雑木林とは対照的にさまざまな草木が整然とエリアを設けて植栽され、まさに“植物園”の様相である。都市緑化植物園だけでも5.5haほどの面積を有し、その中に550種以上の植物が展示されているという。

園内には「庭園見本園」や「教材園」、「薬草園」、「花木園」、「洋風庭木園」、「和風庭木園」など、それぞれにテーマを設けた区画が配され、その中に「緑の相談所」や「温室」、「芝生広場」なども置かれている。当然のことながら、植えられている樹木のそれぞれにはネームプレートが設置され、簡単な解説も添えられているから、それほど樹木に詳しくない身としては嬉しい。造園に興味のある人なら「庭園見本園」や「和風庭木園」などをぜひ見ておきたい。

「洋風庭木園」は要するに「バラ園」で、四季咲き大輪系のハイブリッドティーローズを中心に、62品種600本のバラが植えられているということだ。五月の下旬、そろそろ春バラの時期も終わりに近かったが、色とりどりのバラが咲き誇る美しい景観を楽しむことができた。五月の半ばから末まで、「春のバラフェスタ」が開催されており、バラを観賞するために訪れたらしい人たちの姿も少なくなかった。

温室はそれほど規模の大きなものではないが、約70品種の熱帯植物が展示されているという。五月では洋ランの開花シーズンではないが、少しだけ洋ランの花も見ることができた。他にもさまざまな珍しい熱帯性の植物があり、興味のある人には嬉しい施設だ。

「芝生広場」は都市緑化植物園の南側部分に設けられた広場で、樹木に囲まれた落ち着いた空気感と空の広さを実感する開放感とを併せ持ち、シートを広げてピクニック気分でくつろぐのによいところだ。家族や友人同士でお弁当を持って訪れると楽しいに違いない。
智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園
ひょうたん池と九頭竜池
都市緑化植物園の南側には池が横たわっている。池の輪郭は「ひゅうたん形」とは言い難いと思うが、二つの池が繋がった形状を真ん中がくびれた瓢箪の形に見立てての名だろうか。池の由来などについて詳細がわからないが、宮沢湖から引いた用水路の水を農業用に溜めたものかもしれない。池の周囲は自然豊かな様相で、里山風景の中にいるような感覚を味わえる。のんびりと時間をかけて池の岸辺を辿るのも楽しく、岸辺のベンチに腰を下ろして時を過ごすのもいい。やはり緑濃い水辺の風景は心安らぐものだ。池の横は「桜の園」と名付けられた桜の林になっており、約200本の桜が植えられているらしい。春にはお花見が楽しめるだろう。

ひょうたん池の岸辺を西へ辿ってゆくと、九頭竜池という池がある。池の岸辺に「九頭竜大権現」を祀った塚が建っている。九頭竜池の周辺はさらに里山の農風景を彷彿とさせる様相だ。池や用水路の様子が郷愁を誘うような佇まいで、公園の中にいることを忘れてしまうほどだ。公園として整備される前、この辺りにはこうした風景が広がっていたのだろう。

九頭竜池の横には、小さいながらもここにも花菖蒲園が設けられている。こちらの花菖蒲園でもそろそろ開花の時期を迎えているようだった。

智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園
用水路と木道
九頭竜池の岸辺から西へ入り込んでゆけば、用水路を遡るように林の中に設置された木道を辿ってゆくことができる。キャンプ場の南側では小さな池を木道で渡り、さらに進めば鬱蒼とした林の中を縫うように木道が延びる。林の緑は密度濃く、野趣溢れる風景が広がっている。用水路に近いところでは湿性の植物が繁茂し、木道がなければ歩くことはできないだろう。途中には「ヘビに注意」との注意書きが掲示されていた。

さらに奥へと進んでゆき、「こども動物園」の北側辺りにさしかかると、木道は用水路に沿い、足下に水の流れを見ながらの散策が楽しめようになる。用水路の両岸には草木が茂り、どこか山深い川辺を歩いているかのような錯覚さえ覚える。水の流れはなかなか清らかだ。木々に包まれて辺りは静かで、ときおり野鳥の声が聞こえるばかりだ。ひととき喧噪から離れた時間を過ごせる。

木道を辿ってゆくと、ふいに視界が開けて広い園路に出る。園路を南側に向かうと「こども動物園」の入口がある。用水路の上流側には釣堀が設けられているようだ。
智光山公園

智光山公園

智光山公園

智光山公園




智光山公園

智光山公園
智光山公園の周辺は入間台地に広がる長閑な田園地帯だ。特に公園南側には美しい畑地の風景が広がる。視界の中には高層の建物もなく、山々も見えず、開放感溢れる風景だ。その中に送電線の鉄塔が建ち並ぶ景観もひとつの興趣というものかもしれない。公園を訪れたときには足を延ばして周辺の田園風景の中を少し歩いてみるのもお勧めだ。
参考情報
本欄の内容は智光山公園関連ページ共通です
公園内の施設、市民総合体育館やこども動物園、テニスコート、キャンプ場などの利用方法、利用料金等については、管理指定者による公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

智光山公園には複数の駐車場があり、車での来園が便利だ。国道407号の圏央道狭山日高IC北側の交差点から県道397号線を東へ1kmほど辿ると「智光山公園入口」交差点がある。交差点を北側へ降りて少し進めば右手(東側)に公園がある。近くまで行くと公園駐車場への案内標識がある。国道16号を利用する場合は「狭山市入間川三丁目」交差点から西へ折れて進むのがわかりやすい。交差点を折れて入間川を渡って道なりに進み、狭山工業団地を通り抜けると「智光山公園入口」交差点、交差点をそのまま直進すればいい。

公共の交通機関を利用する場合は西武新宿線狭山市駅から西武バスを利用すればいい。智光山公園行きの路線があるようだ。

飲食

公園内にはレストランや売店はない。公園周辺にも飲食店はない。

緑豊かな公園なので、お弁当を持ってピクニック感覚で訪れるのがお勧めだ。都市緑化植物園内の芝生広場やひょうたん池の岸辺などがお弁当を広げるには好適なところだろう。

周辺

智光山公園の周辺、特に南側は畑地の広がる田園地帯だ。広々とした景色の中、少し散策の足を延ばしてみるのも悪くない。
智光山公園

関連する他のウェブサイト

関連する他のコンテンツ

薔薇散歩
公園散歩
埼玉散歩