佳景探訪
平成の森公園
埼玉県川島町のほぼ中央部、「平成の森公園」という公園がある。さまざまな施設を設けた園内は端正に整備されて美しく、バラや花菖蒲も楽しめる。バラが見頃の五月の下旬、平成の森公園を訪ねた。



平成の森公園

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平成の森公園
埼玉県川島町は「川島」の文字が意味するように市野川、荒川、越辺川、入間川といった河川に囲まれている。その町域のほぼすべてが水田地帯だ。平成の森公園はそのほぼ中央部にあり、公園の周辺にも見渡す限りに水田が広がっている。

平成の森公園は1988年(昭和63年)に国が提唱した「自ら考え自ら行う地域づくり事業」、いわゆる「ふるさと創生事業」の実施策の一環として、町民からアイデアを募って整備されたものという。「ふるさと創生事業」は地域振興のために国が各市町村に1億円を交付した政策のことで、1988年(昭和63年)から1989年(平成元年)にかけて行われた。1億円の交付金の使途については特に制限はなく、各市町村でさまざまに工夫が凝らされたが、中には奇抜なものもあって話題となった。その交付金を川島町は公園の整備費用に充てたというわけなのだろう。公園が完成したのは1996年(平成8年)、3年の月日と25億円の費用が投じられたそうだ。計画されたのが平成元年だったことから、元号を記念して「平成の森公園」と命名されたものという。

平成の森公園は面積約8.4ha、なかなか広い公園と言っていい。その広さの中に「多目的広場」や修景池、「芝生広場」、「ショウブ園」、「バラの小径」といった施設が巧みに配置され、それぞれの施設が隣接する施設と繋がりあって公園の全体像を形作っているという印象だ。園内には効果的に樹木が植栽され、池や噴水を設けて水辺が造られ、それらの織り成す園内の景観は美しく、緑に溢れて心安らぐものだ。園路は舗装されて広く造られ、ベビーカーや車椅子での利用にも不便がないのがいい。大型の複合遊具や水遊びのできる小川などもあり、子どもたちの遊び場としての役割も担っている。バラや花菖蒲、ハスなどの花々を愉しむことできるのも嬉しい。

基本的には町民の憩いの場として整備された公園であり、充分過ぎるほどにその役割に応えてくれる公園だと思えるが、バラや花菖蒲などの見頃の時期には遠方からの来園者も少なくないようだ。陽気の良い季節、お弁当を持って家族連れでピクニック感覚で訪れれば素敵な休日を過ごすことができるだろう。あるいは季節の花々を愉しみに友人同士のグループで訪れるのも楽しいに違いない。もちろん一人で訪れ、公園でのひとときをのんびりと愉しむのもよいものだ。さまざまな楽しみ方に応えてくれる、素晴らしい公園である。
水と時の広場、修景池、芝生広場
公園のほぼ中央部に設けられた「水と時の広場」は、平成の森公園の象徴とでも言うべき存在だろう。広場の中央部には「時の塔」と名付けられた塔が立っている。塔にはカリヨンが設置されており、来園者に時を知らせる。「時の塔」の下は円形の池になっており、池には噴水が設置されている。「時の塔」と噴水の織り成す光景がなかなかフォトジェニックだ。「時の塔」の周囲は同心円と放射状のラインを組み合わせてデザインされ、幾何学的な美しさを見せる。外縁部にはパーゴラも設置されている。ベンチに腰を降ろして噴水を眺めながらのんびりと時を過ごすのもいい。この「水と時の広場」はそれ自体が大きな日時計としても機能しているという。刻々と向きを変えてゆく「時の塔」の影にも目を向けてみたい。

「水と時の広場」の南側には修景池が横たわっている。岸辺は水面のすぐ近くまで降りて行けるように造られており、水辺の景観を充分に楽しめるようになっている。この池の存在によって公園全体が潤いのある印象になっていると言っていい。池では釣りも可能なようで、岸辺には釣り糸を垂れる人の姿ある。南側には池に張り出すように四阿が設けられ、そこから眺める池と公園の景色が美しい。池には古代ハスが植えられている。6月中旬から7月中旬にかけて花の見頃を迎えるそうだ。

「水と時の広場」の北側、「水と時の広場」を取り囲むように「芝生広場」が広がっている。「芝生広場」とは言っても“広々とした芝生の原っぱ”というのではなく、芝生の広場に適度に木々を植栽して造られた区画だ。初夏から夏にかけては木々の落とす木陰が嬉しい。木陰にシートを広げ、アウトドラランチを愉しむには好適なところだと言っていい。

修景池から「水と時の広場」、「芝生広場」にかけて、それらが一体となって平成の森公園の中心部を成しているという印象がある。この区画が、“憩いの場”としての平成の森公園を象徴するところだろう。
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バラの小径
公園の東側には「アスレチックコーナー」や「丘の家」といった施設が設けられているが、それらの周囲を巡るように「バラの小径」が造られている。「バラの小径」はその名が示すようにバラを植栽して“バラのトンネル”のように造られた小径だ。川島町の合併50周年を記念して2006年(平成18年)に完成したものという。1954年(昭和29年)、当時の出丸村、八ツ保村、小見野村、三保谷村、伊草村、中山村が合併して川島村が発足、1972年(昭和47年)に町制を施行、川島町が発足した。2004年(平成16年)に合併による川島村発足から50周年を迎えたわけで、それを記念して整備されたものなのだろう。

「バラの小径」は8の字を描くように巡らされ、総延長距離は330.5メートル、「日本一長いバラのトンネル」だそうだ(2014年現在)。設置された説明によれば、「バラの小径」には「ポルカ」、「新雪」、「まつり」、「ポニー」、「コレッタ」など、53品種、427本のつるバラが植えられているという。完成から10年近くを経過し、知名度も上がり、バラの見頃の時期には遠方からの来園者も少なくないようだ。
追記 バラは年々少しずつ増やされており、2017年現在、約60種、474本が植えられている。「バラの小径」の総延長距離も少し伸ばされ、340.5mとなっている。

「バラの小径」はまさに“バラのトンネル”、両脇から頭上にかけて咲き誇る色とりどりのバラに囲まれて歩くのは素敵なひとときだ。300メートルを超える距離は、実際に歩いてみるとなかなか長い。大げさに言えば、歩いても歩いても“バラのトンネル”が続くという印象だ。辿って行けばバラの見せてくれる景観はさまざまに表情を変えて飽きない。小径は曲線を描いているから見通しが利かず、向かう先への期待感を高めてくれるのもいい。品種の違いによるものか、場所によって生育状況や開花状況にバラつきはあるものの、満開のバラに包まれればまさに圧巻の景観を楽しむことができる。さすがに「日本一」、これほどの“バラのトンネル”を楽しめるところはなかなかない。

“バラのトンネル”の中を歩いた後は、外から眺めてみるのもお勧めだ。当然のことだが、バラの花は“バラのトンネル”の内側だけでなく外側にも咲いているわけで、その景観も楽しんでおきたい。ドーム状に内側の小径を覆うバラが連なる光景は見事なものだ。初夏の陽光を浴びて咲き誇るバラの美しさを存分に愉しむことができる。
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ちびっこ広場
公園の南西側の隅には「ちびっこ広場」と名付けられた広場がある。「ちびっこ広場」の名からもわかるように、小さな子どもたちのための遊び場だとして設けられた広場だ。大型の複合遊具、少し小さめの複合遊具、いわゆる“ターザンロープ”といった遊具類が設置され、家族連れで賑わっている。大型の複合遊具はなかなか凝った造りになっており、遊ぶ子どもたちも楽しそうだ。

遊具の設置された中央部は剥き出しの地面だが、外縁部は芝生になっており、植栽された樹木が木陰を落としてくれるのが子どもたちを見守る親たちには嬉しい。外縁部には真ん中の支柱から屋根を吊したような、特徴的な意匠のベンチも設置されている。なかなか楽しい造形のベンチだ。
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せせらぎ
「芝生広場」と「アスレチックコーナー」との間には水遊びのできるせせらぎが造られている。せせらぎは「丘の家」の南側に湧出口が設けられ、「バラの小径」の下をくぐり、「アスレチックコーナー」の西側を辿り、園路をくぐって流れてゆき、最終的には「水と時の広場」の池に注いでいる。100メートルほどの長さがあるのではないだろうか。

せせらぎは自然の渓流を模した造りになっている。岸辺や流れの中に自然石を多く用い、周囲には大小の木立を配して、山間の渓流を思わせるような演出がなされている。緩やかに曲がりながら流れて行く様子も自然の小川を思わせてくれる。途中、流れが大きく屈曲するところもあり、小さな段差を設けたところもある。場所によって少しずつ表情が違い、遊ぶ子どもたちも楽しそうだ。水遊びを楽しむのは初夏から夏、日差しの強い季節だが、周辺に植栽された木立がうまく木陰を落としてくれるのが嬉しい。

初夏から夏にかけて、子ども連れで平成の森公園を訪れる家族は子どもたちのための水遊びの準備が必須だ。水着や着替え、水遊び用の靴など、子どもたちのために用意してあげよう。
追記 2018年1月に川島町まち整備課に確認したところ、この「せせらぎ」は特に子どもたちの水遊び場として設けているものではないとのことだ。ただ暑い季節には水遊びをする子ども連れが多く、その事実に配慮して水を流しているという。水を流すのは夏休み期間の他、暑い時期の週末など、臨機応変に対応しているとのこと。水遊び場として利用する際には必ず保護者が見守り、履き物を着用、事故や怪我の無いよう留意すべきなのは言うまでもない。
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多目的広場
平成の森公園の北東側には「多目的広場」が設けられている。「多目的広場」という名だが、基本的には体育施設としての性格が強いように思える。中央部の芝部分はサッカー場として、その周囲は400メートルトラックとしての使用を前提として設計されているようだ。

400メートルトラックがあることからもわかるが、この「多目的広場」は相応の面積を有し、平成の森公園の中に占める割合も大きい。当然、広場の中は圧倒的な開放感がある。公園周辺には高い建物も山も無く、周囲を見渡すと公園内の木々と送電線の鉄塔が見えるだけ、その上に大きく空が広がっている。広場内ではサッカーの練習をするグループの姿があったりもするようだが、空いていれば広場の真ん中に立って、その開放感、空の広さを実感するのも一興だろう。
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バラの小径まつり
今回、平成の森公園と訪れたのは五月下旬の土曜日、公園では「バラの小径まつり」が開催されており、バラが見頃を迎えたこともあって多くの来園者で賑わっていた。「バラの小径」近くの園路には模擬店が並び、「アスレチックコーナー」の広場では「ミニコンサート」が行われていた。「ミニコンサート」では民族衣装に身を包んでフォルクローレ音楽を演奏するグループや、ヴェンチャーズタイプのエレキギターサウンドを演奏するバンドなどが登場して熱演を繰り広げ、観客の拍手を受けていた。こうした賑わいの好きな人なら「バラの小径まつり」の開催時期に合わせて来園するのもいいかもしれない。
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平成の森公園/周辺の水田地帯
公園の周囲は広大な水田地帯だ。五月の末、そろそろ田植えを終えた水田もあるようだ。水を張った田圃に、植えられたばかりの苗が頼りなく風に揺れている。田圃の向こうには集落の家々と木々が見えているが、高い建物もなく、山々は遥かに遠く、“関東平野”というものを実感する。公園の外に出て、田園風景の中へと散策の足を延ばすのも楽しい。
参考情報
交通

平成の森公園は、公共の交通機関で訪れるのはかなり不便だ。川越駅から鴻巣免許センター・鴻巣駅行きのバス路線を利用し、「川島農協前」バス停で降りるのが最も近いが、「川島農協前」バス停から公園まで徒歩で30分近くかかり、バスの便数も一時間に1本ほどと実用的ではない。車での来園が賢明だろう。

川島町へは国道254号線を使うのがわかりやすい。国道17号線から来る場合は桶川から県道12号線を西進するといいだろう。平成の森公園は川島町のほぼ中央部、水田地帯の中に位置し、主要道路から離れていてアクセスルートが少しばかりわかりにくい。ナビを利用したり、予め地図で場所をよく確認しておくことをお勧めする。

圏央道を利用して訪れるなら川島ICを利用すれば近い。川島ICから南側へと出て、最初の交差点を左折、圏央道に沿った道を2km辿ったところの交差点を北へ左折するとわかりやすい。

公園北側に来園者用の無料駐車場が用意されており、百数十台分の駐車スペースがあるようだが、行楽シーズン、特にバラの咲く季節の週末休日には混み合うようだ。バラの花期など、多くの来園者が見込まれるときには公園西側に隣接する町立図書館などの駐車場も開放されるようで、駐める場所に困るということはなさそうだ。

飲食

公園内には飲食店や売店はない。公園北西側に飲食店があるのを見つけたが、周辺に他に飲食店はないようだ。公園の周囲は広大な水田地帯で、徒歩圏内には飲食店もコンビニエンスストアも見当たらない。のんびりと半日を過ごすのならお弁当持参が必須だ。

2014年5月に訪れたとき、ちょうど「バラの小径祭り」が開催されており、園内には数多くの露店が出て軽食などを販売していた。お弁当などの販売があったから、「バラの小径祭り」開催時に来園した際にはそうしたもので食事を済ますことも可能だ。

周辺

平成の森公園の周辺は広大な水田地帯だ。周辺の散策へと足を延ばして、田園風景を愉しむのも一興かもしれない。

川島町の北は吉見町、「道の駅いちごの里よしみ」や桜や彼岸花の美しい「さくら堤公園」へも数キロの距離だ。「道の駅いちごの里よしみ」近くの耕地を利用して秋には「よしみコスモスまつり」が開催される。それぞれの季節に訪ねてみるのがお勧めだ。

川島町の東は桶川市、県道12号線を辿ればこれも数キロの距離で城山公園だ。
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