佳景探訪
桜咲く鎌北湖
埼玉県毛呂山町の鎌北湖は山間にひっそりと横たわる風情が魅力の、美しい湖だ。春には堤体の桜並木が圧巻の景観を見せ、桜の名所として名高い。桜が見頃の四月上旬、鎌北湖を訪ねた。



桜咲く鎌北湖

桜咲く鎌北湖

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桜咲く鎌北湖

桜咲く鎌北湖
埼玉県毛呂山町の南西部、山々に囲まれて鎌北湖という湖がある。農業用水確保のために川を堰き止めて造られたものという。静かな湖面に周囲の緑を映す様子はたいへんに美しく、その風情から「乙女の湖」の異名もあるという。川を堰き止めるために造られた堤体には桜並木が設けられており、春になれば圧巻の景観を見せる。周辺にも随所に桜が咲き、美しい春景色を楽しむことができる。湖と桜との取り合わせは興趣に富むもので、桜の名所として広く知られている。

春の鎌北湖は、何と言ってもまずは堤体の桜並木である。堤体の桜並木は木の数という点で言えば、決して規模の大きなものではない。堤体上に並ぶ桜は十数本、“延々と続く桜並木”というものではない。しかし、桜はどれも大木で、大きく枝を張って湖を彩る。桜と湖が織り成す春景色はたいへんに美しく、“桜の名所”の評判に恥じない。

桜並木となった堤体上を歩けば頭上は桜に覆われ、小規模ながら“桜のトンネル”だ。湖側に視線を向ければ春の日差しに輝く桜の向こうに静かな水面が横たわる。桜越しに眺める管理棟の建物やボート乗り場の風景なども独特の興趣を漂わせる。そうした風景は鎌北湖ならではのものと言っていい。桜の下、堤体の端に腰を下ろして湖を眺めていると時の経つのを忘れる。春爛漫気分である。

堤体の桜並木を湖越しに眺めるのも素敵だ。管理棟脇辺りから堤体を眺める景色は特に素晴らしく、“桜の名所”としての鎌北湖を象徴する風景と言っていい。立つ位置を変えれば堤体の桜並木と湖とが織り成す風景は微妙に表情を変え、それぞれに魅力的な景観を見せてくれる。その美しさに何度もカメラのレンズを向けてしまう。対岸側に回り込めば、堤体の桜並木と管理棟とが一緒に視界に収まる。その風景も素晴らしいものだ。

堤体上に設けられたベンチに腰を下ろし、桜並木とその向こうの湖とを眺めながらお弁当を広げるのもいいものだ。春の色に染まった「乙女の湖」でのお花見ランチ、のんびりと春の訪れを感じるひとときである。


桜咲く鎌北湖

桜咲く鎌北湖
堤体を通り抜けて管理棟の横を回り込んだ奥に第一駐車場が設けられているが、この駐車場周辺にも桜が多く、見応えのある景観を見せてくれる。駐車場入口の両脇に並ぶ桜や、駐車場の中に立つ桜、駐車場背後の山肌に咲く桜など、周囲を見渡せばどの方向にも桜が咲いている。駐車場と桜の取り合わせは少しばかり情趣に欠けるが、桜の景観そのものは素晴らしい。訪れたときには駐車場周辺の桜が見せる春景色も堪能しておきたい。


桜咲く鎌北湖

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桜咲く鎌北湖

桜咲く鎌北湖
第一駐車場の奥から、背後の山肌に小径が上っている。鎌北湖東岸の山肌は「四季彩の丘公園」と公園として整備されており、斜面の林を縫うように散策路が辿っている。この「四季彩の丘公園」の散策路も、春の鎌北湖のお勧めのひとつだ。

散策路を辿ってゆけば、山肌に咲く桜が素晴らしい景観を見せてくれる。ソメイヨシノに混じってヤマザクラも数多く咲いている。花の後に葉が出るソメイヨシノとは違って、ヤマザクラは花と薄茶色の葉が一緒に出るから、その姿は少し野趣を感じさせる。日差しを浴びて輝く姿は特に美しく、ソメイヨシノとはまた違った桜景色である。

散策路を辿るにつれて周囲の景観はさまざまな表情を見せて飽きない。下側から高所に咲く桜を見上げるのもいい。春の青空を背景に、日差しを浴びて輝くソメイヨシノは爽快な気分のする景観だ。

「四季彩の丘公園」の散策路は斜面を辿りながら高所へと至っている。展望台が設けられ、四阿も置かれている。高所から見下ろす景観も見事なものだ。桜の向こうに遠い山々が重畳する風景などは特に美しい。

「四季彩の丘公園」の散策路からは残念ながら鎌北湖そのものは少ししか見えないが、ところどころで木々の向こうに見え隠れする。西側に降りる途中、山裾部分に咲く桜に縁取られたようにボート乗り場付近が見える場所がある。その景観がなかなか見事だ。

「四季彩の丘公園」の散策路はかなりの高低差があり、足腰の弱い人には手強いかもしれないが、余裕があればぜひ歩いてみるべきだ。散策路のあちこちで素晴らしい桜景色に出会いことができる。お勧めの散策路である。


桜咲く鎌北湖

桜咲く鎌北湖
鎌北湖の北岸を辿る道路を堤体から数百メートル辿ったところに第二駐車場が設けられている。この第二駐車場付近でも見事な桜を見ることができる。堤体周辺が花見の人で賑わっていても第二駐車場周辺まで足を延ばす人はほとんどなく、辺りはとても静かだ。その静かさが魅力だろう。

第二駐車場から少し西へ行ったところに、道脇の畑地に桜が咲いている。この桜もいい。特に有名でもなく、花見の人が訪れるわけでもなく、それでも春になれば美しい花を咲かせる。無名の桜の美しさである。
参考情報
本欄の内容は鎌北湖関連ページ共通です
交通

鎌北湖の最寄り駅はJR八高線毛呂駅だが、駅から4kmほどの距離がある。平日(祝日と年末年始を除く月曜日から金曜日)には毛呂山町町内循環バス「もろバス」が運行しているようだが、便数は少ない。

車で訪れる場合には毛呂山町中心部から県道30号線を南に数百メートル行ったところの「鎌北湖入口」交差点から県道186号線で西へ辿ればよい。遠方から訪れる人は関越自動車の道鶴ヶ島ICや坂戸西スマートIC、圏央道の圏央鶴ヶ島ICなどから、まず毛呂山町中心部を目指すとわかりやすい。

鎌北湖には堤体を渡った湖東側に第一駐車場が、湖の北岸を西へ進んだ奥に第二駐車場が設けられており、駐車スペースも合計で200台ほどで比較的余裕がある。

飲食

鎌北湖は山々に囲まれた静かなところだ。お弁当持参で訪れて、湖を眺めながらのランチがお勧めだ。

第一駐車場脇に軽食と釣具を商う店が建っており、うどんやそば、カレーなどの軽食が可能のようだ。

周辺

県道30号線から鎌北湖へ向かう県道186号線沿いには長閑な田園風景が広がっている。鎌北湖から歩くと少し距離があるが、余裕があれば足を延ばして里山散歩を愉しむのも悪くない。その田園地帯の一角には毛呂山総合公園がある。公園は春の桜が美しい。公園のプール跡地で、夏には蓮の花を見ることができるようだ。

鎌北湖の北側、阿諏訪川の源流付近には獅子ヶ滝が、また鎌北湖の南側、宿谷川の上流部には宿谷の滝がある。どちらも鎌北湖から車で直接行くことはできず、少し戻ってそれぞれの道へ辿らなくてはならないが、これらの滝も余裕があれば立ち寄っておきたい。
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