静岡県富士宮市の北部、国道139号に「道の駅朝霧高原」が設けられている。その名のように朝霧高原に位置し、間近に富士山を望む道の駅だ。風薫る五月の初め、「道の駅朝霧高原」に立ち寄った。
道の駅朝霧高原
静岡県富士宮市の中央部を貫くように、国道139号が南北に延びている。その国道139号沿い、山梨県との県境も近い富士宮市最北部に「道の駅朝霧高原」が設けられている。富士宮市の北部は富士山西麓に広がる高原地で、朝霧が発生しやすいことから朝霧高原の名で呼ばれているという。標高は700mから1000mほどだそうだ。「道の駅朝霧高原」は、その朝霧高原に位置し、その名を冠した「道の駅」だ。2000年(平成12年)の春に開駅されたものという。
道の駅朝霧高原
道の駅朝霧高原
「道の駅」であるから、もちろん休憩所としての機能や地域の情報発信、地域との交流などの機能を持ち、建物内にはレストランや物産の販売所などが設けられている。新鮮な農産物などが来駅者の人気を集めているようだ。

「道の駅朝霧高原」の最大の特徴であり魅力なのは、やはり朝霧高原という立地であり、間近に富士山の姿を望めるということだろう。「道の駅朝霧高原」から富士山(山頂)まで、平面上の直線距離で14kmほどしかない。東へと視線を向ければ“すぐそこ”に富士山の姿がある。
道の駅朝霧高原
道の駅朝霧高原
道の駅の横手には「富士山展望所」と名付けられた小高い丘が設けられており、その頂上部に立てば牧草地や樹林地の広がる雄大な風景の向こうに富士山の姿を望むことができる。その美しい姿は見飽きることがなく、いつまでも眺めていたくなる。「道の駅朝霧高原」に訪れた人たちのほとんどが展望所に足を延ばし、富士山の景観を楽しんでいるようだ。

「富士山展望所」の丘には桜が植栽されている。今回訪れた五月初めにはすでに花の盛りの時期は終わり、葉桜の中に少し花を残す状態だったが、満開の時であれば桜と富士山とが織り成す風景を楽しめるのだろう。
あさぎりフードパーク
あさぎりフードパーク
「道の駅朝霧高原」の南側には道の駅の付属施設であるかのように「あさぎりフードパーク」という施設が隣接している。「あさぎりフードパーク」は「食と自然が融合した、林の中の食品工房」をコンセプトにした、「食」に携わる地元企業6社による「食の工房団地」だそうだ。施設内には有名な朝霧乳業や富士正酒造、お茶の老舗である静岡富士園、和菓子の上野製菓、サツマイモの加工食品などを提供するかくたになどが工房を構え、さらにビュッフェ形式のレストランも営業している。それぞれの工房を見学してゆくのも楽しく、食事やお土産物の購入にも便利だ。
あさぎりフードパーク
あさぎりフードパーク
「あさぎりフードパーク」の敷地内は公園のような佇まいで、広々とした中に各施設が点在している。草地の広場にはテーブルやベンチが置かれており、富士山の姿を眺めながらのんびりとしたひとときを過ごすこともできるのが嬉しい。

「道の駅朝霧高原」と「あさぎりフードパーク」は基本的には別の施設であり、駐車場もそれぞれ別に用意されているのだが、来訪者の立場では両者が一体化してひとつの施設として機能していると言っていい。それぞれに補完しあっているような側面もあるのだろう。両者が隣接していることによって、来訪者にとっての魅力がさらに増しているのは間違いない。
道の駅朝霧高原
道の駅朝霧高原
「道の駅朝霧高原」に訪れると富士山の姿にばかり目が行ってしまうが、西に目を向ければそこにも美しい山々の姿がある。間近に見えるのは静岡県と山梨県の県境に聳える毛無山から雨ヶ岳にかけての山々の稜線だろう。それらの山々を背景に、パラグライダーで空の散歩を楽しむ人たちの姿もあった。

今回訪れたのは五月の初め、道の駅横には鯉のぼりが泳いでいた。富士山の姿を背景に泳ぐ鯉のぼりの姿もなかなか興趣のあるものである。
道の駅朝霧高原
参考情報
売店やレストランの営業時間など、詳細は公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
道の駅朝霧高原は富士宮市北部の国道139号沿い、その名が示すように朝霧高原に位置している。東名高速道路富士ICや新東名高速道路新富士ICからは30kmほど、中央高速道路河口湖ICからなら30km弱といったところだ。

駐車場は一般小型車用のスペースだけで70台分ほどが用意されているようだが、行楽シーズンの休日には足りず、満車状態が続くようだ。混み合っているときには係員の誘導指示に従おう。

飲食
道の駅内のレストランは麺類、カレー、丼物、定食とメニュー豊富だ。隣接する「あさぎりフードパーク」にもビュッフェレストランがあり、こちらも人気のようだ。

お弁当持参の人は展望所のベンチなどを利用して、富士山を眺めながらのランチもお勧めだ。

周辺には飲食店は無く、道の駅を離れたら北は本栖湖、南は「白糸の滝」周辺まで移動しなくては飲食店を見つけることができない。

周辺
道の駅朝霧高原から国道139号を北へ7kmほど辿ると本栖湖だ。湖岸を散策したり、本栖湖越しに富士山を眺めたり、湖の風情を愉しむのがお勧めだ。本栖湖の手前、道の駅朝霧高原から4kmほどのところに「富士芝桜まつり」の会場がある。芝桜が花期を迎える4月下旬から5月下旬にかけてはお勧めのところだ。

道の駅朝霧高原から国道139号を南へ辿れば、朝霧高原の風景の中を快適なドライヴが楽しめる。途中に設けられた駐車場に車を停めて眺めを堪能したり、観光牧場などに立ち寄ってみるのもいい。さらに下れば、田貫湖や白糸の滝などがある。道の駅朝霧高原から白糸の滝まで10km強といったところだ。
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