東京都大田区の多摩川台公園は桜の名所として知られる。園内の広場に桜が咲き誇り、お花見の人たちで賑わう。桜が見頃の四月初旬、多摩川台公園を訪ねた。
桜咲く多摩川台公園
東京都大田区の西端部、多摩川左岸の丘陵地に位置する多摩川台公園は、桜の名所として知られている。園内の随所に桜が咲き誇り、見事な春景色を見せてくれる。
桜咲く多摩川台公園
東急多摩川駅から園内に入ると、「あじさい園」上の四阿周辺の桜が出迎えてくれる。春の青空を背景にした桜が晴々とした姿を見せる。四阿近くから公園の南西側に降りた多摩堤通り沿いには「多摩川台公園」バス停や駐輪場などがあり、こちらから来園する人の姿も多い。通りから園内へと繋ぐ階段の周辺、丘陵の斜面にも多くの桜が植えられており、その景観も見事なものだ。
桜咲く多摩川台公園
桜咲く多摩川台公園
「あじさい園」から「四季の野草園」、「水生植物園」へと辿ってゆこう。「四季の野草園」には桜の姿は少ないが、隅の方に植えられた枝垂れ桜の濃いピンク色が鮮やかだ。その下では何組もの家族連れがシートを広げてランチタイムのようだ。木々に囲まれて日溜まりになった「四季の野草園」はこうしたランチタイムを楽しむにはよいところだろう。「水生植物園」の北側の外縁部には数本の桜がある。オオシマザクラやソメイヨシノなど、各種の桜があるようで、白や薄紅の桜が落葉樹の芽吹きと共に春の日差しを浴びている。澄んだ春空の下、これも晴々として爽快な景観だ。

多摩川を見下ろす「展望広場」にも桜が咲いている。脇の方には露天が並び、お花見ムードを盛り上げている。「展望広場」は北側の「運動広場」へと通り抜ける人たちがほとんどで、腰を落ち着けて花見を楽しむ人たちは多くはないようだ。
桜咲く多摩川台公園
「運動広場」は、特に東側外縁部に並ぶ桜が見事だ。大きく枝を広げた桜がこんもりとした桜色のドームを形作って春の日差しに輝く。その下ではシートを広げて花見の宴を楽しむ人たちの姿がある。広場の西側、北側では常緑樹の緑を背景に咲く桜が素敵な風景を織りなしている。広場は開放感に富んで、頭上に広がる春空も爽快だ。春爛漫を感じながらお花見を楽しむことのできる広場と言っていい。
桜咲く多摩川台公園
「運動広場」から多摩川台古墳群の横を抜けて北へ進むと、道路が横切って公園を分断し、そこへ虹橋という橋が架けられて公園の南北を繋いでいる。この虹橋の周辺の桜も美しい。虹橋を渡りながら桜を見上げるのもいいが、虹橋の下を通る道路へ降り、そこから見上げる景観がいい。常緑樹の緑と空の青、日差しを浴びた桜と虹橋の紅い欄干とが風情ある景観を見せてくれる。
桜咲く多摩川台公園
桜咲く多摩川台公園
虹橋から北へ辿れば「自由広場」だ。「自由広場」でも見事な桜を見ることができる。それほど多くの桜があるわけではないが、大きく枝を張った桜が美しい景観を見せる。ソメイヨシノに混じってオオシマザクラもあり、真っ白なオオシマザクラと薄紅色のソメイヨシノとが互いに引き立てあって、景観がより美しいものになっている印象だ。桜の下ではお花見の楽しむ人たちの姿があるが、「運動広場」とは違ってほとんどが家族連れで、のんびりと春のピクニック感覚で楽しんでいるようだ。広場の北西側の角には遊具類が設置されているが、そこにも桜が咲いて春の色彩を添えている。広場は基本的に草はらなので(かなり剥げているが)、広場全体が穏やかな印象だ。広場では駆け回って遊ぶ子どもたちの姿もある。穏やかな春の休日の風景だ。
桜咲く多摩川台公園
桜咲く多摩川台公園
多摩川台公園は、“公園全体を埋め尽くす”ほどの数多くの桜が咲き誇るわけではない。しかし緑濃い公園の中、広場の脇や樹林の中に咲く桜はたいへんに美しい。のんびりと花見散歩を楽しむにもよく、グループで花見の宴を催すにもいい。子ども連れで花見を兼ねた春のピクニックとして訪れるのもお勧めだ。今回訪れたのは桜が満開となった土曜日、お昼を過ぎて午後になるとさらにお花見の人が多くなってきたようだった。日曜日にはさらに大勢の花見客で賑わうのだろう。“桜の名所”の評判に恥じない、多摩川台公園である。
桜咲く多摩川河岸
桜の咲く時期の多摩川台公園に訪れたなら、公園から多摩川河岸へと降りてみるのがお勧めだ。ちょうど多摩川台公園横の多摩川河岸、多摩堤通りに沿って大きな桜が点在し、素晴らしい春景色を見せてくれる。
桜咲く多摩川河岸
桜咲く多摩川河岸
虹橋から下の道路に降りて多摩川河岸へ出ると「田園調布四丁目」交差点だ。多摩川に沿って多摩堤通りが延びている。この交差点から河川敷に降りた辺りの広場や、多摩堤通りとグランドとの間の斜面などに数本の大きな桜がある。この桜の姿がたいへんに素晴らしい。太い幹は、すでに老木と言っていいのだろう。周りに何も無いからか、丸く大きく枝を張って咲き誇る姿は見事なものだ。交差点下から北に視線を向ければ斜面に並ぶ桜が重なって見える。その光景も素晴らしい。野球の練習を終えた様子の、ユニフォーム姿の少年たちがその横を通り過ぎてゆく。お花見の人の姿はほとんどなく、散歩を楽しみつつ一休みする人の姿がちらほらとあるくらいだ。河岸の開放感も手伝って、気分が晴れやかになるような春景色を楽しむことができる。
桜咲く多摩川河岸
桜咲く多摩川河岸
交差点下の広場から、さらに下流側へ丸子橋の辺りまで、河岸の散策路を辿ってゆくのもお勧めだ。ところどころに見事な桜が咲いていて目を奪われる。広々と開放感に富んだ風景の中、多摩川の流れと河岸を彩る桜との組み合わせが見せてくれる春景色はたいへんに美しい。のんびりと川風を感じながら、桜の咲く風景を楽しみながらの散策は素敵なひとときだ。
桜咲く多摩川河岸
参考情報
本欄の内容は多摩川台公園関連ページ共通です
交通
多摩川台公園は東急東横線、東急多摩川線の多摩川駅が至近だ。駅の改札を出て西へ、徒歩1分ほどで公園入口に着く。

公園には駐車場はない。民間駐車場も公園付近にはない。多摩川駅から数百メートル東へ行くと環八通りで、環八沿いには民間駐車場が点在しているようだが、規模の小さなものがほとんどのようだ。車での来訪はあまりお勧めしない。

飲食
公園内にはレストランや売店などはない。多摩川駅の周辺には飲食店があるが、数は少ない。田園調布駅の周辺や環八沿いなどには飲食店が点在しているようだ。少し足を延ばしてみるといい。

多摩川台公園には芝生の広場などはなく、ピクニック気分でシートを広げてアウトドアランチを楽しむには不向きかもしれない。園内の随所にベンチや四阿があるから、2、3人程度ならお弁当を広げる場所を見つけることもできるだろう。桜の時期にお花見に訪れるのならレジャーシート持参が必須だ。

周辺
言うまでもないが、公園の西側には多摩川が流れている。河岸の散歩を楽しんでみるのもいい。

多摩川台公園の北側、田園調布の住宅街の中には宝来公園が、また東急線多摩川駅の東側には田園調布せせらぎ公園がある。どちらも小さな公園だが、公園散策の好きな人なら併せて訪ねてみるといい。

多摩川台公園の南側には浅間神社が建っている。さらに中原街道を渡って南へ、旧六郷用水に沿った散策路を辿って東急多摩川線沼部駅まで歩いてみるのも悪くない。

街歩きの好きな人なら田園調布駅を中心に田園調布の街を歩いてみるのも楽しめる。田園調布の駅からさらに北へ一駅で自由が丘だ。街歩きの好きな人は散策の足を延ばしてみるのをお勧めする。
桜散歩
東京23区散歩