佳景探訪
初秋の吹上しょうぶ公園
東京都青梅市の「吹上しょうぶ公園」はその名のように花菖蒲の名所として知られるところだが、初秋には彼岸花が園内を彩る。彼岸花が見頃を迎えた九月の下旬、吹上しょうぶ公園を訪ねた。



初秋の吹上しょうぶ公園

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初秋の吹上しょうぶ公園

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初秋の吹上しょうぶ公園
東京都青梅市の吹上しょうぶ公園は、その名が示すように花菖蒲の名所として広く知られている。六月の花期には谷戸地に設けられた菖蒲田に数多くの花菖蒲が咲き誇り、「花しょうぶまつり」も開催され、多くの来園者を迎えて賑わう。花菖蒲に特化した公園と言ってよく、菖蒲田の他には特に設備はなく、他の季節には訪れる人も少ないようだ。

その吹上しょうぶ公園で、初秋になると彼岸花が咲く。吹上しょうぶ公園は東西を尾根に挟まれた谷戸の立地で、西側は林が間近に迫っているが、東側の丘裾には木々を取り払った草地が設けられている。彼岸花はその草地で見ることができる。

昔ながらの里山の風景を残す吹上しょうぶ公園に、彼岸花の花はよく似合う。初秋の澄んだ青空の下、緑濃い風景の中に咲く彼岸花の鮮やかな赤はよく映える。園内の彼岸花はおそらく植えられたものだろう。草地一面を覆い尽くすというほどの数ではないが、園内の風景の美しさと相俟って良い風情を漂わせている。菖蒲田の畦にもぽつりぽつりと彼岸花が咲いている。これも興趣に富んでいる。里山の風景が残されているとはいえ、あくまで“公園”だから、少しばかり“人工的”な印象も伴うが、緑濃い風景の中に咲く彼岸花の美しさを愉しむには充分だと言っていい。

丘裾の草地に咲く彼岸花は、公園入口に近い方では赤いものが、奥まったところでは白いものが見られる。白い彼岸花がこれほどの数で見られるのは珍しいかもしれない。その中に、見慣れた彼岸花に混じって、少し形の違う花を見つけることができる。彼岸花によく似ているが、花の色形が違う。これは彼岸花と同じ属の別の花だ。公園には「リコリス」のネームプレートがあるが、おそらくショウキズイセン(鐘馗水仙)だろう。見慣れた彼岸花もショウキズイセンも、さらにキツネノカミソリやナツズイセンなども同じヒガンバナ科ヒガンバナ属の花で、総称してリコリスとも呼ばれる。彼岸花とリコリスは別の花ではなく、彼岸花も広義のリコリスの中のひとつというわけだ。

吹上しょうぶ公園では彼岸花やショウキズイセンを含めたリコリスを植えて整備しているようだ。リコリスは球根で育つ多年草だ。年月を経てさらに整備を続ければ花数もさらに増えてゆき、見応えも増すことだろう。

彼岸花が咲く季節、吹上しょうぶ公園内では萩や藤袴(フジバカマ)、女郎花(オミナエシ)といった花々も見ることができる。日差しを浴びて光るススキの姿も美しい。本格的な秋の訪れを告げる花々を愉しみながら、ゆっくりと園内を巡るのが、この季節の吹上しょうぶ公園の愉しみ方だろう。この季節、訪れる人もほとんど無く、静かなひとときが過ごせるのも嬉しい。

ただ、この季節はスズメバチの数が増え、攻撃的になる時期でもある。今回訪れたときも林の中にスズメバチの巣があったようで、その旨の注意書きがあり、来園者が不用意に巣に近寄らないように対策が施されていた。園内のベンチで一休みしていると、(巣からは充分に離れていたのだが)一匹のスズメバチの訪問を受けた。オオスズメバチではなく、キイロスズメバチのようだった。ベンチに置いた荷物にとまり、やがてこちらの手にとまり、何が目的なのか、探索するように這い回る。手の上を這い回るスズメバチはときおり肌を噛む。餌になるものなのかどうか吟味しているのだろうか。噛まれると少し痛いが、それほど強く噛むわけではなく、先の尖ったピンセットで挟まれたような感覚だ。どうしたものかと困ってしまったが、振り払うわけにもいかず、興奮している様子ではないので刺激しないようにじっと静かに動かず、スズメバチが飛び去るのを待った。緊張のひとときだったが、スズメバチに指の上を這い回られる(くすぐったい)感触も初めて味わったし、噛まれたことも初めてだったし、これほどの至近距離で活動中のスズメバチを(そして噛むときの顎の動きを)じっくりと見たのも初めてだった。じっと見ているとスズメバチが可愛らしくも見えてくる。貴重な経験だったが、できればこれっきりにしたい。初秋の里山散歩ではスズメバチに、特に巣には決して近づかないように、くれぐれも注意されたい。
参考情報
本欄の内容は吹上しょうぶ公園関連ページ共通です
吹上しょうぶ公園は花菖蒲の花期である6月には「花しょうぶまつり」が開催されており、開催期間中は無休、入園には料金が必要となる。

「花しょうぶまつり」開催期間中以外の時期(3月〜5月、7月〜11月)は無料で開放されており、自由に入園することができるが、水曜日は休園日とのことだ。

冬期(12月〜2月)は閉園される。

その他、開園時間等の詳細は青梅市サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

電車で来訪する場合はJR青梅線東青梅駅が便利だ。駅から北東側へ、徒歩で20分ほどか。

「花しょうぶまつり」開催期間中は駅から道案内の標識が設けられるとのことで、また公園を目指して歩く人も多く、迷うことはないだろう。

東青梅駅の一駅東側の河辺駅から都営バスで行くこともできる。青梅駅行きの路線や塩船循環の路線に乗り、10分ほどで「吹上しょうぶ公園入口」バス停に着く。

車で来訪する場合は青梅街道や奥多摩街道、圏央道青梅ICなどを利用してまず青梅市街へ向かえばいい。吹上しょうぶ公園は東青梅駅の北東、吹上地区の一角に位置している。青梅街道や奥多摩街道といった主要道からは北へ入り込まなくてはならない。市街地には一方通行の道路もあり、初めて訪れる人には少しばかり分かりづらいかもしれない。ナビを利用したり、事前に地図を確認しておくことをお勧めする。

吹上しょうぶ公園には数十台分の駐車場が用意されているが、「花しょうぶまつり」開催期間中は駐車料金が必要で、混雑も免れない。2008年6月に訪れた時にも駐車場に空きが出るのをしばらく待たなくてはならなかった。東青梅駅近辺にも駐車場があるが少ないようだ。青梅市でも公共交通機関の利用を勧めている。

公園駐車場は「花しょうぶまつり」開催期間以外の時期には無料開放されており、混雑することもないようだ。

飲食

吹上しょうぶ公園内には飲食店や売店などは設けられていない。公園近くにも飲食店は無いようだ。駅周辺の市街地へ戻れば飲食店が点在しているから、食事は市街地で好みのお店を探して楽しむのがいいかもしれない。

「花しょうぶまつり」開催期間中は公園内に休憩所が設けられ、お弁当を広げるのも不可能ではないが、何しろ来園者が多く、園内も混雑しているから、お弁当持参はあまりお勧めしない。

「花しょうぶまつり」開催期間以外の時期なら園内に設けられたベンチを利用してお弁当を広げるのも悪くない。緑濃い風景の中でのんびりとランチタイムを楽しむことができる。

周辺

吹上しょうぶ公園の北東側には有名な塩船観音寺がある。徒歩でも20分ほどの距離だろうか。併せて訪ねてみるのもお勧めだ。

東青梅駅から一駅西は青梅駅だ。車なら吹上しょうぶ公園から青梅駅近くまで10分ほどだ。青梅駅周辺も古い宿場の面影が残る町並みや古い時代の映画看板に飾られた町並みなど、散策は楽しい。時間に余裕があれば青梅市街の散策を楽しむのもお勧めだ。
初秋の吹上しょうぶ公園

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