佳景探訪
山中湖
山梨県山中湖村の中央部には村の名にもなった山中湖が横たわっている。山中湖は富士山を間近に望む観光地として広く知られ、夏の避暑地としても人気を集める。夏の盛りの八月初め、山中湖を訪ねた。



山中湖

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山中湖

山中湖

山中湖

山中湖
山中湖は、その名を知らない人はいないのではないか、と思えるほど、日本国内でも広く名を知られた湖のひとつだろう。山中湖は富士山の北側山麓に点在する五つの湖、いわゆる「富士五湖」のひとつで、同じく富士五湖のひとつである河口湖とともに富士山麓の観光地として人気を集めている。

山中湖は富士五湖の中で最も富士山に近く、最も広く(面積は6.67平方キロメートル)、最も浅く(水深は16メートル前後)、最も高い(標高982メートル)湖だそうだ(各数値は山中湖村観光課公式サイトの2012年現在の記述による)。標高982メートルというのは高所にある湖として日本全国でも3位に当たるらしい。山中湖は相模川(この地域では桂川とも呼ばれる)の源流で、富士五湖の中では唯一、天然の流出河川を持つ湖だという。山中湖は800年(延暦19年)の富士山の大噴火の際に流出した溶岩、いわゆる「鷹丸尾溶岩」によって桂川が堰き止められてできた、「堰止湖」である。

山中湖は山中湖村の中心に位置している。と言うより、山中湖の周囲に広がる地域が山中湖村であると言った方がいいのだろうか。江戸時代初期には山中湖の湖畔には平野村、山中村、長池村の三つの村があったそうだ。明治になってから平野村と長池村が合併、さらに山中村も合併して中野村となり、その中野村が1965年(昭和40年)に山中湖村へ村名の変更を行い、現在に至っている。

現在の山中湖村は山中、長池、平野、旭日丘の四地区から構成されており(行政上の住所は「山中」と「平野」しかない)、山中地区は湖の西側、長池地区は北側、平野地区は東側、旭日丘は南側に位置している。山中、長池、平野の各地区は、それぞれかつての山中村、長池村、平野村のあった地域に相当するのだろう。旭日丘地区も住所としては平野だから、おそらくかつての平野村の範囲だったのだろう。それぞれの地区は地理的な要因からか、それぞれに特色があって雰囲気が異なっている。山中湖観光を楽しむときには、それぞれの地区の性格を覚えておくといい。

西側に位置する山中地区は村役場が置かれており、山中湖村の中心と言っていいところだが、観光地としての賑わいでも中心と言っていい。湖岸を辿る国道138号線沿いには数多くの飲食店や土産物店が建ち並び、湖岸には貸しボート店が並んでいる。随所に無料駐車場が用意されているから車で訪れた人が立ち寄りやすいということもあるのだろう。

旭日丘地区はホテルやペンション、キャンプ場などの多い地区で、比較的静かな佇まいを見せている。山中湖美術館や山中湖テディベアワールドミュージアムなど、ミュージアムも多い地区だ。湖岸には旭日丘緑地公園があり、秋の紅葉の名所としても知られている。

平野地区は合宿施設の多いところだ。湖岸の道路沿いには飲食店や土産物店などが並んでいるが、少し奥へ入るとスポーツ合宿用の施設が数多くあり、特に夏休みになると大学や高校などの合宿場所として使われることが多い。合宿中の学生たちの姿も夏の山中湖を象徴するもののひとつかもしれない。

長池地区は山中湖の北側に位置し、緑濃い丘陵が湖岸近くまで迫っている。民宿やペンションなどが多いが、国道沿いには飲食店などは少なく、静かなところだ。湖岸には長池親水公園が整備されており、車を駐めて湖岸の散策も可能だ。長池地区からは山中湖の向こうには遮るものもなく富士山を眺望することができ、その見事さもよく知られている。

観光地としての賑わいを見せる山中地区で、その賑わうを楽しむのもいい。貸しボートを利用したり、白鳥の形をした遊覧船に乗ってみるのも楽しいだろう。それらが湖を行き交う様子を湖畔から眺めているだけでも楽しいものだ。あるいは北側の長池親水公園から山中地区の賑わいを対岸に眺めて静かなひとときを過ごすのもいい。場所によってさまざまな表情を見せる山中湖の、それぞれの景観を楽しんでおきたい。

そしてまた富士五湖の中で最も富士山に近い湖であるならば、(残念ながら今回訪れたときには富士山には雲がかかり、その姿を見ることができなかったが)やはり湖と富士山とが織り成す景観の美しさを堪能しておきたい。富士山は山中湖の西南西の方角に位置しているから、平野地区や長池地区の湖岸からは湖の向こうに富士山を見ることになる。その眺望がやはりいちばんのお勧めだろう。

山中湖を一周すると約14km、歩いて巡るには少し距離があるが、車で訪れたなら快適なドライヴが楽しめる。また湖畔には自転車専用のサイクリングロードも整備されているから、レンタサイクルを利用してサイクリングを楽しむのもいい。

標高1000メートルほどの山中湖は夏の平均気温が20度だそうだ。夏の避暑を兼ねた行楽には絶好のところだ。景観を楽しむだけの観光ではなく、サイクリングやキャンプを楽しむために訪れてもいい。ミュージアム巡りなどを楽しむのも一興だろう。周辺の山々を巡るハイキングも人気があるようだ。さまざまな楽しみ方のできる、“懐の深い”山中湖である。


山中湖/雲の切れ間に見る富士
山中湖は「富士山にいちばん近い湖」だそうだ。湖畔からの富士山の眺望は山中湖の大きな魅力のひとつと言っていい。しかし、残念ながら今回訪れたときには富士山には雲がかかり、その姿を見ることができなかった。長池地区の親水公園からしばらく眺めていたのだが、雲の切れ間から頂上部分が少し見え隠れしただけだった。雲を纏ってなかなか姿を見せてくれない富士山、それはそれでひとつの興趣というものかもしれない。


山中湖/コブハクチョウ

山中湖/コブハクチョウ
山中湖は白鳥が越冬にやってくる湖としても知られている。白鳥の越冬地としては最南端、最も標高の高いところだという。冬になると越冬のためにやってきたオオハクチョウやコハクチョウの姿が見られるらしいが、夏にはもちろん姿はない。近年ではコブハクチョウが定住するようになり、夏でも彼らの姿は見ることができる。湖の上を滑るように泳ぐ白鳥の姿は優雅なものだ。見ていると、何羽ものコブハクチョウが貸しボートに近寄ってゆく。餌をもらえると思って近寄るのだろうか。

今回訪れたとき、山中地区の湖岸でコブハクチョウの姿を間近に見ることができた。湖岸に降りて近くからカメラを向けてもまったく気にするようではない。慣れているのだろう。もっと近くから撮影しようと近づいてみると、さすがにクワッと怒られた。
参考情報
交通

山中湖へは富士急行線富士山駅から路線バスで25分ほど、あるいはJR御殿場線御殿場駅から路線バスで40分ほどだ。三島駅からの路線バス(90分ほど)もあるようだから新幹線を利用してもいい。

山中湖は鉄道の駅から離れており、また湖畔での移動を考えれば車での来訪が便利だろう。車で訪れる場合は東名高速道路を御殿場ICで降り、国道138号線を北上、あるいは中央自動車道富士吉田線を山中湖ICで降りて国道138号線を東進するのが近い。

山中湖は国道138号線と国道413号線、県道729号線が繋がって沿岸部を一周しているが、随所に無料駐車場が用意されており、利用することができる。8月初旬の土曜日に訪れたときにはどの駐車場も空きがあって利用することができたが、南西側の飲食店などが建ち並ぶ一角は観光客も多く、駐車場も混み合っていた。日曜日にはもっと観光客が多くなり、駐車場も混み合うだろう。

飲食

山中湖の湖岸には道路沿いを中心に数多くの飲食店が点在している。特に西側や東側の湖岸に多く、観光地としての賑わいを見せている。それらの店のどれかを選んで、山中湖の景色を見ながらの食事がお勧めだろう。

陽気の良い季節であれば、お弁当を持参したり、テイクアウトのものを買って旭日丘緑地公園などを利用してアウトドアランチを楽しむのもいいい。

周辺

山中湖畔にはさまざまなミュージアムが点在している。それらを巡ってみるのも楽しい。

湖畔を離れれば、山中湖の北西側、県道717号線沿いに「山中湖花の都公園」がある。花の好きな人ならぜひ訪ねてみたいところだ。さらに北西の方角へ足を延ばせば忍野村、有名な忍野八海なども訪ねてみたい。さらに北西へと足を延ばせば河口湖だ。
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