佳景探訪
曽々木海岸
石川県輪島市の東端、珠洲市との市境が近い辺り、大きな穴の開いた「窓岩」などの奇岩群が独特の景観を見せる海岸がある。「曽々木海岸」といい、国の名勝、天然記念物にも指定されている。夏の暑さが残る九月の初旬、曽々木海岸を訪ねた。



曽々木海岸

曽々木海岸

曽々木海岸

曽々木海岸

曽々木海岸
石川県輪島市の北東部、珠洲市との境が近い辺りに曽々木という地区がある。曽々木の海岸は日本海の荒波に浸食された岩場が“自然の造形美”とも言える風景を造り出している。「曽々木海岸」の名で広く知られ、国の名勝、天然記念物にも指定されている。

その曽々木海岸海岸の象徴とも言える奇岩が「窓岩」と呼ばれるものだ。陸地から海へ小さな岬のように突き出た岩場にそそり立つ板状の大岩の中ほどに大きな穴が開いているのだ。穴は直径2mほどだという。その穴を“窓”に見立てて「窓岩」と呼ばれているのだろう。この穴はちょうど東西の方角に抜けているため、「窓岩」の東側に立てば沈む夕日を“窓”越しに見ることができるという。“窓”から差し込む夕日はなかなかの絶景らしい。

大きな穴の開いた岩というだけで充分に“奇岩”と呼ぶに相応しいが、まるで彫刻作品のような全体の形や上部に樹木を乗せた景観もなかなか見応えのあるものだ。近づいて見るときと、遠ざかって見るときとでは「窓岩」の角度が違っているために別の表情を見せるのもおもしろい。

「窓岩」から東側へと歩いて行くと、海岸には小さな岸壁が設けられており、小さな漁港を成している。ボートのような漁船や漁具が無造作に置かれている光景も楽しい。海岸にはわずかな浜辺もあるが基本的には磯辺で、波に洗われた岩々が荒々しい表情を見せる。“ミニ窓岩”とでも呼べそうな、小さな穴の開いた岩もあった。

磯辺にはウミネコの姿があった。数羽のウミネコが磯辺の岩の上で羽を休め、ときおり飛び去っては、また戻ってきて別の岩の上に留まる。ニャァニャァという、まさに猫のような鳴き声が可愛らしい。なかなか楽しい出会いだった。

国の名勝、天然記念物に指定されている曽々木海岸だが、“観光地”的な賑わいはなく、駐車場と四阿、トイレなどを備えた「ポケットパーク」と呼ばれる施設が設けられているだけだ。しかしその静かさもまた魅力のひとつだろう。「窓岩」はまさに“奇岩”と呼ぶに相応しいもので、能登に訪れた際には見ておきたいもののひとつだ。海から遠い地域に暮らす人などにとっては荒々しい磯辺と日本海の景観そのものも魅力あるものに違いない。


曽々木海岸
「窓岩」のある一角の東側には南に聳える岩倉山から延びた尾根が海に張り出して断崖を成している。かつては海岸を辿る際の難所だったらしい。江戸時代中期に道が開かれ、明治の中頃に手掘りのトンネルが開通、車両の通行可能なトンネルが開通するのは昭和30年代の終わり頃だったらしい。そのトンネルも2007年(平成19年)3月25日に発生した能登地震で被災、現在は2009年(平成21年)に開通した八世乃洞門新トンネルが国道249号線を通している。


垂水の滝

垂水の滝

垂水の滝
八世乃洞門新トンネルを東に抜けると珠洲市との市境が近いが、そのトンネル脇の断崖に「垂水の滝」という滝がある。海に張り出した断崖から直接海に落ちる(実際には磯辺に落ちている)という滝で、これも能登の観光名所のひとつに数えられている。日本海に面しているために冬季には強風が吹き付け、そのために落ちる水が風に煽られて下まで落ちてこない、ときには滝口からそのまま上に吹き上げるという珍しい現象を見ることができるらしい。そのために「吹き上げの滝」という別名もあるという。

今回訪れたのは九月の上旬、初秋の能登は穏やかでほとんど風もなく、「垂水の滝」は白い筋となって海辺の断崖を落ちている。おそらく水量も多い方ではないのだろう。「垂水の滝」は途中に段があって、二段の滝になっている。滝のすぐ下を遊歩道が辿り、真下から見上げるように滝を眺めることができる。もちろん飛沫がかかるが、暑さの残る初秋の日にはそれも涼やかで楽しい。真冬の強風に煽られる「垂水の滝」の姿も見てみたいものだが、初秋の日の穏やかな姿も悪くはない。

「垂水の滝」横の海岸から海を眺めると、沖に浮かんだ岩場に数羽の鳥の姿があった。ウミウのようだった。
参考情報
交通

奥能登には鉄道路線が通っていないため、訪れるときは車が便利だ。輪島市へは金沢市方面から国道249号線を北上、あるいは「のと里山海道(旧能登有料道路)」から県道1号線を経由して北上するのがわかりやすい。高岡市方面からなら国道160号線を北上、七尾市街を経由して「のと里山海道(旧能登有料道路)」へと辿るか、氷見市から国道415号線で能登半島の“付け根”を横断、「のと里山海道(旧能登有料道路)」へと辿るのがわかりやすいだろう。遠方の人は空路で能登空港まで来て、能登空港からレンタカーを利用するのも一案だ。

曽々木海岸は輪島市中心部から国道249号線を東へ20kmほど辿ったところにある。「窓岩」近くに設けられた「窓岩ポケットパーク」、八世乃洞門新トンネルの西側に設けられた「曽々木ポケットパーク」、八世乃洞門新トンネル東側の珠洲市真浦海岸に設けられた「真浦ポケットパーク」の、それぞれの駐車場が利用できる。「曽々木ポケットパーク」の駐車場は小さいが、他は余裕がある。「垂水の滝」には「真浦ポケットパーク」が近い。

飲食

曽々木海岸周辺や珠洲市真浦海岸周辺に数は少ないながら飲食店が点在している。選択肢を広げようと思えば、輪島市街や珠洲市街へ移動すればいい。

輪島市街や珠洲市街で予めテイクアウトのものを調達しておき、海岸の堤防に腰を降ろしてランチを楽しむのも一興だろう。

周辺

西へ10kmほど行けば有名な「白米の千枚田」、さらに10kmほど辿れば輪島市の中心部だ。東へ行けば4kmほどで「すず塩田村」、そこからさらに20kmほど海岸沿いに辿れば禄剛崎だ。国道249号線に沿って途中から南へ折れれば20kmほどで珠洲市街だ。
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